【歯科医師監修】舌の”できもの”!原因や対処方法、何科を受診したらいいかを解説

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舌 できもの

舌の”できもの”や”しこり”が気になって困る方やできたなかなか治らなくて心配になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。舌の”できもの”は、生活習慣の乱れなどによる口内炎が原因であることもありますが、それ以外の大きな病気や感染症によるものの場合もあります。

まずは、自分の症状や原因をはっきりさせて、治療に臨んでいくことが大切になります。

こちらの記事では、口内炎をはじめ、舌の”できもの”の原因や症状、それに対する治療方法を掲載しています。また、日頃から気をつけていきたいことや舌に”できもの”ができたときに何科を受診したらよいかということも紹介していますので、”できもの”でお困りの方は役立ててください。

この記事の目次

1.原因別!舌にできる”できもの”の症状と治療方法

症状 特徴 原因
アフタ性口内炎 ・中心が白く腫れ、その周りは赤く腫れる。 ・詳しい原因は不明
・ストレス・疲れ・免疫力の低下などとの関係があると言われている。
カタル性口内炎

・粘膜の赤い腫れ
・水疱 など

・入れ歯
・矯正器具の不具合による刺激など

ヘルペス性口内炎

・舌だけでなく、唇やのどに近い粘膜に水疱ができる。
・発熱や痛みを伴うこともある。

ヘルペスウイルスによる感染症
(飛沫感染および接触感染)

口腔カンジタ症

・痛みはほどんどない。
・白い苔のようなものが、口腔内に付着。

免疫力の低下などによるカンジタ菌の増殖
アレルギー性口内炎 ・白色の潰瘍ができて、その周りが赤く腫れる。

・義歯で使用されている金属
・食べ物
・薬
などに対するアレルギー

地図状舌 ・舌の白い苔が原因で部分的にはげ、赤い地肌が見えてしまっている状態。 ・はっきりとした原因は不明
・アルコールや熱いものなどの局地的な刺激
・ビタミンB群の不足やストレス
との関係が考えられる。
白板症

・こすっても落とすことができない白板が口腔内の粘膜にできる。
・食べ物が染みることや、ものが当たった際に痛くなることがある。

明確な原因は不明
・喫煙・アルコールの刺激
・ビタミン不足
・加齢や体質
などとの関係が考えられている
紅板症 ・他の部分と比較して鮮やかな紅色になっている。
・食べたり飲んだりした際や、歯ブラシが当たった際に刺激がある。
全体の80%以上が50歳以上であるなど、高齢者の方ができやすい傾向。しかし、若いときも発生の危険性はある。

下記にて、症状別に治療方法などを含めて詳しく説明しています。

 1-1.口内炎

舌の”できもの”として代表的なものが口内炎です。口内炎ができてしまう原因は様々であり、原因に合わせて対処することが大切になります。

【代表的名な口内炎の症状と原因】

アフタ性口内炎

口内炎のなかで、一般的に見られる種類です。症状としては、白い円状の腫れができ、その周りに赤い腫れができます。アフタ性口内炎はストレスや疲れ、免疫力の低下などが原因で引き起こります。

また、舌を噛んだ・粘膜が傷ついたなどの外的要因によりできる場合もあります。 アフタ性口内炎は、基本的には、1~2週間程度で自然に治ります。

しかし、なかなか治らない・何度もすぐに再発するなどの場合、慢性の炎症性疾患であるベーチェット病の症状のひとつなど、他の病気が隠れているときがあるため注意が必要です。

カタル性口内炎

入れ歯や矯正器具などの接触や頬を噛むことによる刺激、細菌の繁殖が原因で起こる口内炎です。

口腔内の粘膜が赤く腫れ、場合によっては水疱ができます。入れ歯や矯正器具による刺激が原因の場合には、歯医者さんに行き治療器具を調整する必要があります。

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1-2.感染症による症状

舌に”できもの”ができる原因として、ウイルス感染や細菌の増殖があります。

ヘルペス性口内炎

唾液の接触感染や飛沫感染などから単純ヘルペスウイルスに感染すると、「ヘルペス性口内炎」になってしまいます。
ヘルペス性口内炎では、舌や唇、歯茎だけでなく、のどに近い粘膜などあらゆる箇所に水疱が発生し、激しい痛みや発熱を伴うこともあります。薬による治療を行うことで、症状を改善させます。

口腔カンジタ症

口腔内に常にいるカンジタ菌が、免疫力の低下などが原因で増殖することによって起きる疾患です。

カンジタ症の症状としては、痛みはほとんどなく白い苔のようなものが口腔内に付着します。最初のうちはこすればとれることもありますが、慢性化するにつれてとりづらくなります。

また、痛みを感じることや炎症を起こすこともあります。口腔内の清掃や薬により治療を行っていきます。

その他

手足口病に感染すると、一症状として口腔内に痛みのある水疱ができます。また、溶連菌感染症の症状のひとつに、舌にイチゴのようなブツブツができるというものもあります。

1-3.アレルギーによる反応

銀歯や金歯といった義歯に使用されている金属や食べ物、薬などの刺激に対するアレルギー反応として舌に”できもの”ができる場合があります。
このようにしてできる”できもの”は「アレルギー性口内炎」とも言われ、アフタ性口内炎のように、頬の内側や唇、舌などに白色の潰瘍ができ、その周りが赤く腫れます。

アレルギー性口内炎の発症はアレルギーの原因を取り除くことで防ぐことができます。銀歯などの詰めものが原因の場合には、歯医者さんに行き、アレルギーの起こらないメタルフリーの素材に変更することも検討してみてください。

1-4.地図状舌

舌に生えている白い苔がなんらかの原因で部分的にはげ、赤い地肌が見えてしまっていて、地図のように見える状態の舌を指します。

地図状舌は良性であり、痛みやかゆみはなく、赤い部分の形や大きさは日々変化します。地図状舌が発生する原因はわかっていませんが、熱いものやアルコールといった舌の局所的な刺激やビタミンB群の不足・ストレスなどが原因ではないかという考えがあります。

地図状舌は自然に治ることが多いです。繰り返し起こってしまうこともあります。

1-5.白板症

口腔内の粘膜、特に頬の内側や舌の側面・下側などに発生する白斑のなかで、こすっても落とすことができない、診察や検査などを行っても他の疾患に当てはまらないものを白板症と言います。

白板症は、悪性化してがんになってしまう恐れもあるため、前がん病変のひとつとしてあげられます。症状の特徴としては、イボ状であったり、腫瘍・潰瘍のようであったりします。

また、ただれているような場合もあります。白板症になってしまう原因は明らかになっていませんが、喫煙やアルコールなどの刺激や慢性的な刺激、ビタミン不足、加齢や体質などが関係しているのではないかと言われています。 治療方法としては、まずは刺激の元の除去を行うようになります。

1-6.紅板症

舌や歯茎などの一部の口腔粘膜が、周囲の色と違う鮮やかな紅色になってしまう症状を持ちます。初期では、刺激痛などが生じる場合もあります。悪性化する危険性が高く、すでにがん化してしまっていることもあります。

そのため、治療としては、該当箇所の切除が望ましいとされています。切除後も、悪性化しないように経過観察が必要になります。

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2.舌に”できもの”ができたときは何科に行けばよい?受診の目安は?

2-1.舌の”できもの”ができたら何科にいけばよい?

口内炎は基本的に、耳鼻咽喉科にて診療を行っています。

歯科口腔外科や内科、皮膚科などでも対応していることがあります。そのため、心配な際には受診の前にホームページなどで口内炎を見てもらえるか確認することをおすすめします。

特に歯科口腔外科はお口の中にできた腫瘍に関して診療を行っているため、舌にできた”できもの”の原因が不明で困ったら歯科口腔外科の受診の検討も視野にいれてください。

EPARK歯科では、舌にできたしこりや”できもの”など歯やお口の中に関する疑問や悩みと投稿し、歯科医師が回答してくれる「歯のお悩み相談室」を公開しています。
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2-2.舌に”できもの”ができたときの受診の目安

舌にできた”できもの”やしこりで最初に考えられるものは、口内炎です。口内炎は2週間程度で自然に治っていきます。口内炎の場合は、うがいや歯磨きなどによりお口の中を清潔に保ちながら、様子を見てみてください。

発熱や激しい痛みがある場合には、ヘルペスである場合を考えて、医療機関を訪れてください。

そのほか膿ができる、腫れる、痛みはないが”できもの”がどんどん大きくなるなどの症状がでてきた場合には、別の疾患が隠れていることもあるので、早めの受診を検討してみてください。

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3.日頃から気をつけていきたいこと

3-1.免疫力を高めていく

口内炎や口腔カンジタ症は、身体の免疫力が低下することで引き起こります。そのため、日頃からバランスのよい食事や十分な睡眠時間など、生活習慣を整えていくことで、舌にできる”できもの”やしこりの発生を抑えることができます。

特に口内炎はビタミンB群が不足すると起こりやすくなるため、摂取してみてください。ビタミンB群はストレスがたまるときも不足しがちなため、ストレスをあまりためないことも大切になります。

3-2.お口の中を清潔に保つ

口内環境を清潔に保つことで口腔内にしこりができる、”できもの”ができるといったトラブルの予防につながります。

正しいブラッシングやうがいなどを習慣づけてください。歯磨きのタイミングや磨けないときの対処方法について、【歯磨きのタイミングはいつがよい?食後すぐの歯磨きがNGな人もいる!?】に詳しい情報が掲載されているので、こちらも参考にしてみてください。

また、唾液が減少することで口内が乾燥し、舌が痛んだり、口内炎が発生したりしやすい状況が生まれます。そのため、日頃から鼻での呼吸を意識してみてください。

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3-3.定期的に口腔がんの検査を受けましょう

舌にできる”できもの”やしこりのなかには、1章で述べたように、がん化する疑いのあるものや、舌がんの初期症状であるものも含まれます。

「痛みがないから」「口内炎だと思ったから」と見逃し続けて困ることのないよう、”できもの”が治らない場合には、早めに医療機関を受診してください。

また、口腔がんは定期的な検査により、早期発見・治療を行うことができる疾患のため、定期的に口腔がん検診を受けることも検討してみてください。

4.まとめ

舌の”できもの”に関する情報をまとめてきました。日頃から、お口の中が乾燥しないよう気をつけながら清潔な口腔内の環境を保つことで、”できもの”ができにくい環境にしていくこともできます。

しかし、舌の”できもの”の中には悪性化してしまうものもあるため、なかなか改善しない・”できもの”が広がってきているなど症状が悪化してしまった際には、早めに医療機関に相談するようにしてください。

【監修医 松岡 浩司先生のコメント】

これくらいの”できもの”は自然に治る!と過信していると、大きな病に陥るケースが少なからずあり、命をおとしてしまう事も有ります。 毎日使う、口腔内の歯や歯肉の状態に違和感があれば、検診を待たずに受診をお勧めします。

 

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監修医

松岡 浩司先生

松岡歯科クリニック 院長

経歴

1986年 日本歯科大学 卒業
1988年 パール歯科医院 勤務
1995年 松岡歯科クリニック 院長就任
現在に至る

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