「転んで口の中を切ってしまった」「運動中に口から出血した」「口にできものがあって痛い」といったときに、どうすればよいか困った経験はありませんか?
この記事では、口の怪我で、訪れるべき診療科情報やおおよその費用、自身でできる応急処置を掲載しています。また、怪我が治らない、悪化した場合に考えられる原因もまとめています。
この記事の目次
1.お口の傷・しこり・腫れで受診すべき医療機関や診療科目
1-1.見た目にもかかわる唇の切り傷
唇は出血しやすい部位になります。唇に怪我をしてしまった際は、まずは15分ほど圧迫止血をおこないましょう。
15分経っても血が止まらず、唇の切り傷が開いている状態であれば、縫いあわせが必要なケースもありますので、歯科口腔外科を受診することをおすすめします。
1-2.噛むなどでできた舌の裂傷
運動などで転んで舌を噛んでしまった場合も出血をともなうことが多いので、まずはあわてずに圧迫止血をします。
舌の裂傷も深ければ縫合する場合もありますが、舌は不用意に動きやすく一般的な歯医者さんでは治療が難しい場合もあります。このケースも歯科口腔外科を受診する方がよいでしょう。
1-3.ぶつけて歯が折れた・抜けた
歯が折れたり欠けたりした場合は、破損した部分によって緊急度が高いかを判断します。
歯の先端部分のみ欠けた状態で「冷たいものがしみる」程度であれば、できるだけ早めに歯医者さんを受診するくらいでよい場合が多いです。
しかし、歯の神経まで露出するほどに歯が欠けた、歯そのものが揺れている場合はできる限り早めに歯医者さんを受診しましょう。
1-4.口の中のできもの
痛みや赤み、腫れなどがある場合は細菌やウイルスに感染しているケースもありますが、生活習慣の乱れによる口内炎の場合もありますので、まずは自宅でお口の中を清潔にして様子をみてみましょう。
しかし「腫れや痛みがだんだん大きくなってきた」「口内炎が2週間以上続く」などの症状があれば良性腫瘍やがんの恐れもありますので、その際は歯科口腔外科を受診することをおすすめします。
1-5.唇や口の中の腫れ
口内炎ができている、虫歯や歯周病が原因となって腫れているといった場合があります。
どちらの場合も、まずはかかりつけの歯医者さんで相談してみるのがよいでしょう。
口内炎のケースでは、歯医者さんでレーザー治療などを受ければ、症状がすみやかに治まることも多いようです。歯周病や虫歯の場合でも、早期発見・治療をすることでかかる時間や費用を抑えやすいです。
また唇が腫れている場合、食べ物や薬剤、ホワイトニングの光線のアレルギー反応で起こるアレルギー性血管性浮腫や、温度の変化や振動、外傷、ストレス、日光などの物理的刺激による血管性浮腫といったものがあります。これらは総称してクインケ浮腫と呼ばれています。
2.お口の怪我やできものの応急処置
2-1.舌や唇を切って血が出ているとき
舌や唇を怪我して出血している場合は、清潔なガーゼなどをもちいて圧迫止血してください。
血が止まって落ち着いたあとには、氷で10分ほど患部を冷やすと腫れを防ぎやすくなります。
2-2.歯に怪我をしたとき
歯が一部欠けていても折れた歯を接着できる場合がありますので、濡れたガーゼなどに包んでできる限り早めに歯医者さんを受診しましょう。
歯が抜けた場合でも同様に再植できることがあります。牛乳か生理食塩水、イオン系飲料などに抜けた歯を浸して、すみやかに歯医者さんにみてもらいましょう。
2-3.口内炎の痛みがある
一般的な口内炎であれば、乱れた生活習慣の改善や患部を清潔に保つこと、身体をしっかりと休ませることで改善されるケースもあります。
また、粘膜を保護する作用のあるビタミンB群のサプリや、トラネキサム酸など抗炎症作用のある薬を服用し、様子をみるのもよいでしょう。
2-4.唇に腫れが見られる
唇の炎症でも、口内炎と同様のセルフケアによって症状が和らぐこともありますが、化粧品・歯磨き粉・食品・金属類などの接触や摂取によって口唇炎が起こる場合があります。
上記に記載したものに心当たりがある場合は、刺激物質を避けるだけで症状が落ち着くこともあります。
3.口の中を怪我した場合のおおまかな治療費用
3-1.お口の怪我やできものの治療は保険診療?
基本的には健康保険が適用されますが、レーザー治療など一部の処置によっては自由診療と設定している歯医者さんもあります。
また、仕事中や通勤中の事故で歯の外傷があった場合においては、「労災保険」が適用されるケースがありますので、詳しくは加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。
3-2.見た目を整える治療は自由診療の場合も
病気や怪我による理由で歯医者さんの治療を受けた場合は、一般的には健康保険を適用できますので、口を打撲・損傷したときも同様となります。
しかし「失った歯をインプラントにしたい」など、見た目をよくすることに重きをおいた治療は自由診療になるケースがあります。
4.悪化した場合は早めの受診を!口腔がんの可能性も
口の中にできるがんを「口腔がん」といいます。長期にわたって口内炎が続く、腫れや炎症が広がってきた場合は、口腔がんである恐れも考えられます。
また、とがった被せ物や合わない入れ歯などを装着し続けた際に、炎症が慢性的となり潰瘍ができてしまうケースもあります。痛みが続く場合は無理をせずに、早めに歯医者さんへ相談しましょう。
5.まとめ
もしも歯や舌を怪我してしまい、傷が深くて血が止まりにくい場合は、縫合が必要なケースもありますので歯科口腔外科を受診することをおすすめします。
歯が脱落した場合は、あわてずに牛乳に歯を浸して、すみやかに歯医者さんでみてもらいましょう。ケースによってはそのまま再植できることもあります。
唇や粘膜のできものであれば、市販の薬や安静にすることで様子をみてもよいですが、2週間以上続くような口内炎は、口腔がんなどの危険性もありますので、できるだけ早めに歯医者さんへ相談しましょう。
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監修医
小川 隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る
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