虫歯などで歯を失ったときは銀歯で治す。これが当たり前だったのは昔の歯科治療で、近年では歯を失った場合「銀歯にしますか?」「セラミックにしますか?」と声をかけられることが非常に多くなりました。
実際にセラミックを選択する患者さんが増えていることがわかっています。では、その違いは何か詳しく見ていきましょう。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
1.銀歯でなく、セラミックが選ばれる4つの理由
セラミックとは瀬戸物などの陶器、焼き物などに使われる素材で天然歯と見分けがつかないほど、自然な被せ物の歯のことを言います。
従来の被せ物といえば銀歯でしたが、銀歯とセラミックの実施比率は約70%の方がセラミックを選ばれているという結果が出ています。それではなぜ今、セラミックニーズが高まっているのか、セラミックが選ばれる4つの理由を詳しくご紹介いたします。
1-1 ツヤのある自然で白い歯になる
セラミックの大きなメリットは見た目の美しさではないでしょうか。銀歯が見えてしまうと一目で治療した歯ということがわかってしまいます。
セラミックは陶器のようなツヤがあり、セラミックを作る時に自身の歯の色に微調節してくれるので、自身の天然歯に見た目を近づけることができます。
1-2 虫歯になりにくい
大人の虫歯は歯の磨き方などの問題ではなく銀歯と歯の隙間から虫歯になったり、銀歯の中で虫歯になったりしていることが多くみられます。
銀歯の劣化により隙間ができ、そこから虫歯菌が発生します。その反対にセラミックは歯との密着度が高く表面も滑らかで、その素材ゆえ経年劣化も少ないため虫歯の2次再発リスクが低いとされています。どれぐらい経年劣化がないかというと、銀歯の平均寿命7年に比べ、セラミックの平均寿命は8~10年できちんと管理すれば20年とも言われています。
1-3 歯茎が黒ずむリスクを予防できる
銀歯にしていた歯の歯茎が、気付けば黒ずんでいた。なんて経験はありませんか?それは銀歯の金属成分が溶け出し、もともとピンク色だった歯茎も、さらには健康な白い歯までも黒ずませる原因となります。
セラミックという素材は水分があるところでも安心な素材で、金属を使わないので溶け出す心配もありません。
1-4 金属アレルギーにならない
金属は口の中の水分に反応し、金属イオンとなり溶けだし、金属アレルギーを引き起こす原因となることがあります。
セラミックは陶器でできているので、金属アレルギーの心配がある人はセラミックをお勧めいたします。
2.セラミック治療の種類
いざセラミックと銀歯の選択をせまられた時、詳しく説明されず不安を抱えた方もいるはずです。治療内容や種類を知っておくとスムーズに治療を進めることができます。
さらに現在の健康保険は美容目的になる治療は保険が適用されず、セラミック治療は歯を美しくするためこれから紹介するすべての治療が保険適用外となります。それによって高額治療になりますが歯科によってはデンタルローンを組めるそうなのでお問い合わせくださいね。
2-1 セラミックインレー(詰め物)
セラミックイントレーとは100%セラミックで作られた詰め物です。口の中の水分を吸収せず、口内環境の変化にも強いため変色や劣化を最小限に抑えることができます。
反対に銀歯に比べると耐久性はやや劣る場合があります。セラミックイントレーのような詰め物であれば2.5万~4万で費用が収まります。
2-2 オールセラミッククラウン(被せ物)
オールセラミックとはセラミックだけを使って作る差し歯(人口冠)のことを言います。自分の歯に近い色合いにしてくれることから前歯や小臼歯によく使われ、従来の金属で作る差し歯より耐久性がよく、安全性が高く歯茎の黒ずみ問題もありません。
オールセラミックで平均的に4万円~7万円費用がかかり、前歯などの差し歯には7万円~15万かかる場合もあります。
2-3 ジルコニア
ジルコニアとはジルコニウムの酸化物でセラミックの耐久性を高めるために、セラミックの内側にジルコニアを使用したものをジルコニアオールセラミックスと呼びます。しなやかさと強度を兼ねそろえた素材で今注目されています。
ジルコニアも詰め物と被せ物とで料金が変わり4万~8万とお考えください。
2-4 ラミネートセラミック(ラミネートベニア)
ラミネートセラミックとは歯の表面や一部分だけをセラミックにする方法に用いられ、薄いプレート状になったセラミックを張り付ける治療方法です。
歯の隙間を埋めたり、周りの歯に形を合わせたり、整えることができるのでモデルの方の利用が多い治療です。ホワイトニングでは白くならない人や自身の歯をあまり削りたくない人にお勧めですが、リスクもあり、少なからず健康な歯を削ること、歯ぎしりやかみ合わせによって欠けることがあることを知っておいてください。料金は1本5万~10万と歯科の美容診療でも金額が大きく違います。
2-5 ハイブリッドインレー
ハイブリッドインレーとは、セラミックとレジン(プラスチック)を合わせて作られた詰め物で、セラミックのみより柔らかく、対合歯に優しいので奥歯の大きい詰め物に適しています。
その反面プラスチックが含まれることで色調は多少劣り、水分を吸収して経年劣化もあります。1本3万円~4万円で他と比べると少し安価になります。
3.セラミック治療の流れ
では実際歯科に行ってセラミック治療をする場合、どんな治療内容になるのか、どんな工程で行われるのか初めての方は不安もあるかと思います。いざ当日焦らず治療を受けるためにセラミック治療の流れをお教えいたします。
3-1 問診
まず治療する歯、セラミックをお考えの歯を医者に診てもらいます。虫歯や歯の根が健康であるか確認するためレントゲンを撮る歯医者がほとんどです。虫歯の大きさによってセラミックイントレーになるか、オールセラミッククラウンになるか変わってきます。値段やかかる時間なども歯科によって違いますのでしっかり相談しましょう。
3-2 型取り
大抵の場合、虫歯を取り除いた状態まで治療し、型取りをします。かみ合わせもありますので治療の歯の両サイドも入るような大きさ、上下も型取りします。この時自身の歯の色に合わせてくれ色合いの確認もされます。
3-3 セラミック歯の装着
できたセラミックを何もつけていない状態で設置。大きさかみ合わせなど調節し、接着剤でつけて装着。さらに微調整し、磨いて完了です。
4.セラミックの治療期間
歯医者を苦手とする人には、治療時間の長さや通う頻度、治療期間の長さを懸念している方が多くいます。お仕事をされている方や小さいお子様を持たれている主婦の方は歯科に通う時間が取れず、通い始めるのを躊躇される方も…そこでセラミックにはどのくらい期間がかかるのか知っておき目安に考えて頂ければと思います。
4-1 治療期間は2~4週間
1本の歯をセラミックにするのにかかる期間はおおよそ2~4週間で、回数にすると3回で完了します。また最近では、セラミック治療システムという数枚写真を撮るだけで被せ物が完成し、問診から装着まで1日で済む画期的な機器を導入している歯科もあります。
4-2 歯周病治療や矯正の必要があれば長くなる
歯周病の治療、虫歯が根まで侵入して根をとることになればさらに根の治療、周りの歯も綺麗にするため矯正の必要があればその分だけ通う期間は長くなります。
5.まとめ
セラミックが選ばれている理由は見た目の美しさに加え、虫歯やアレルギーのリスクの軽減などメリットが高いことでしょう。是非、選択をせまられた時の参考にしてください。
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監修医小川隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
■院長経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る