【要約】
セラミック治療は、セラミック系の材料を詰め物や被せ物などに使用する歯科治療です。天然歯に近い色調を再現しやすく、金属を使用しない種類もあります。材料によって強度や特徴、適応が異なり、欠けや破折、脱離、周囲のむし歯が生じる可能性もあります。
セラミック治療とは?特徴や種類、治療の流れ・期間を解説
むし歯などで歯の一部を削った場合、詰め物や被せ物によって歯の形や機能を補うことがあります。
詰め物や被せ物には金属やレジン、セラミックなどさまざまな材料があり、それぞれ見た目や強度、適した治療部位などに違いがあります。
セラミックは天然歯に近い色調を再現しやすく、金属を使用しない種類もあります。一方、欠けや破折が生じる可能性があり、治療内容によっては自由診療となります。
この記事では、セラミック治療の特徴や種類、治療の流れ、治療期間について紹介します。
※本記事に掲載している自由診療の料金は、2026年4月時点でEPARK歯科に掲載されている歯科医院の税込み料金情報を参考にしたものです。料金は地域や施術内容、使用する機材、歯科医院の方針等によって異なります。実際の料金や副作用、リスク等については受診予定の歯科医院へご確認ください。
この記事の目次
1.セラミック治療の4つの特徴

歯科治療で使用されるセラミックは、詰め物や被せ物などの修復物に用いられる材料です。
セラミックには複数の種類があり、色調や強度などの性質も異なります。治療する歯の位置や状態、噛み合わせ、希望する見た目などを踏まえて材料を選択します。
1-1 天然歯に近い色調を再現しやすい
セラミックの特徴のひとつは、天然歯に近い色調や透明感を再現しやすいことです。
金属製の修復物とは異なり、白い材料を使用します。周囲の歯の色に合わせて色調を調整することで、天然歯に近い見た目を目指すことができます。
ただし、仕上がりは使用する材料、周囲の歯の色、土台となる歯の状態などによって異なります。
1-2 修復物の周囲にむし歯が生じることもある
詰め物や被せ物をした歯でも、その周囲に歯垢がたまるなどすると、新たにむし歯が生じることがあります。これは二次う蝕などと呼ばれます。
セラミック修復では、適切な接着操作や修復物の適合、日常のセルフケアなどが長期的な維持に関係します。
日本歯科保存学会 「CAD/CAMインレーの臨床指針 第2版」
https://www.hozon.or.jp/member/statement/
セラミックを使用すれば、むし歯が再発しないというわけではありません。治療後も毎日の歯磨きや歯間清掃、定期的な歯科受診を続けることが大切です。
また、セラミック修復物を使用できる期間には個人差があります。材料の種類、治療する歯の状態、噛み合わせ、セルフケアなどによって異なるため、「何年もつ」と一律に示すことはできません。
1-3 金属を使用しないなら歯ぐきの変色が起こらない?
金属を使用した被せ物では、使用する金属や口腔内の状態などによって、歯ぐきの周囲に変色がみられる場合があります。
一方、金属を使用しないオールセラミックやジルコニアなどの修復物では、修復物の金属成分が溶出することによる歯ぐきの変色を抑えることができます。
ただし、歯ぐきの黒ずみにはさまざまな原因があるため、セラミック治療によってすべての歯ぐきの変色を予防できるわけではありません。
1-4 金属を使用しない種類を選択できる
歯科用金属から金属イオンが溶出し、金属アレルギーに関係する場合があります。
金属アレルギーがある場合には、金属を使用しないオールセラミックやジルコニアなどが選択肢になることがあります。
ただし、セラミックを用いた治療でも、治療方法によってはほかの材料を併用することがあります。金属アレルギーがある方は、使用する材料について事前に歯科医師へ伝えましょう。
2.セラミック治療の種類

セラミック治療には、使用する材料や修復する範囲によって複数の種類があります。
また、「白い材料を使う治療=すべて自由診療」ではありません。セラミックを使用した審美目的の治療の多くは自由診療ですが、一定の条件を満たすCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーなど、白い非金属材料を用いた治療でも保険診療の対象となるものがあります。
厚生労働省 『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について(令和8年5月29日)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00td0141&dataType=1&pageNo=1
保険適用の可否は、治療する歯の位置、使用する材料、口腔内の状態などによって異なるため、歯科医院で確認しましょう。
2-1 セラミックインレー(詰め物)
セラミックインレーは、セラミック系材料を用いて作製する詰め物です。むし歯などで削った部分を補うために使用します。
天然歯に近い色調を再現しやすく、レジン系材料と比較して吸水や変色が起こりにくいことが特徴です。
一方、使用する材料や噛み合わせなどによっては、欠けや破折、脱離などが生じることがあります。セラミック製のインレーやオンレーについては、長期経過における主な失敗原因として破折・チッピングなどが報告されています。その他に、むし歯の再発、噛み合わせ変化による脱離も考えられます。
PubMed 「Survival Rate of Resin and Ceramic Inlays, Onlays, and Overlays: A Systematic Review and Meta-analysis」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27287305/
治療費の目安は、約57,000円~100,000円/本です。
※2026年4月時点のEPARK歯科掲載自由診療税込み料金情報を参考に編集部集計
2-2 オールセラミッククラウン(被せ物)
オールセラミックは金属を使用せず、セラミック系材料で作製する被せ物です。
色調や透明感を調整しやすいため、天然歯に近い見た目を目指すことができます。また、金属を使用しないため、金属の溶出による歯ぐきの変色や金属アレルギーを避けたい場合の選択肢になります。
一方、使用するセラミックの種類や噛み合わせなどによって、欠けや破折が起こることがあります。
近年の系統的レビューでは、リチウムジシリケートやジルコニアなどを使用した一部のオールセラミッククラウンについて、金属セラミッククラウンと同程度の5年生存率が報告されています。ただし、セラミックの種類や設計によって成績は異なります。
PubMed 「A Systematic Review and Meta-analysis Evaluating the Survival, Failure, and Complication Rates of Metal-Ceramic, Veneered, and Monolithic All-Ceramic Tooth-Supported Single Crowns-Part 1」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41489982/
費用目安は、約96,000円~120,000円/本です。
※2026年4月時点のEPARK歯科掲載自由診療税込み料金情報を参考に編集部集計
2-3 ジルコニアクラウン
ジルコニアは酸化ジルコニウムを主成分とするセラミック材料です。歯科用セラミックの中でも高い強度をもつことが特徴です。
ジルコニアだけで修復物の形を作る「モノリシックジルコニア」や、ジルコニアのフレームに陶材を重ねて色調を調整するタイプなどがあります。
強度が求められる奥歯の被せ物などに使用されることがありますが、適応は噛み合わせや残っている歯質などを踏まえて判断します。
また、ジルコニアであっても破折、欠け、脱離などのトラブルが起こらないわけではありません。最新の研究でも、ジルコニア修復物の予後は修復物の種類や観察期間などによって異なることが示されています。
PubMed 「Clinical outcomes of zirconia dental restorations: A systematic review and meta-analysis」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42575241/
費用目安は、約80,000円~116,000円/本です。
※2026年4月時点のEPARK歯科掲載自由診療税込み料金情報を参考に編集部集計

2-4 ラミネートセラミック(ラミネートベニア)
ラミネートセラミックは歯の表面に薄いセラミックを接着する治療方法です。
歯の色や形、歯と歯の隙間などを整える目的で行われることがあります。
クラウンのように歯全体を覆う治療とは異なりますが、症例によっては歯の表面を削る必要があります。また、噛み合わせや歯ぎしりなどの影響によって、欠けたり外れたりする可能性があります。
適応できるかどうかは歯の状態によって異なるため、治療前に歯科医師による診査・診断が必要です。
費用目安は、約60,000円~90,000円/本です。
※2026年4月時点のEPARK歯科掲載自由診療税込み料金情報を参考に編集部集計
2-5 ハイブリッドインレー
ハイブリッドレジンを用いたインレーは、レジンにセラミック系のフィラーを配合した材料で作製する詰め物です。
セラミックのみで作られた材料とは、強度、吸水性、変色などの性質が異なります。時間の経過とともに摩耗や変色などがみられる場合があります。
使用できる部位や適した症例は、歯の状態や噛み合わせなどによって異なります。
費用目安は、約40,000円~70,000円/本です。
※2026年4月時点のEPARK歯科掲載自由診療税込み料金情報を参考に編集部集計
3.セラミック治療の流れ

セラミック治療の具体的な工程は、むし歯の状態や治療する歯、使用する修復物などによって異なります。
ここでは、一般的な流れを紹介します。
3-1 問診
まず、治療を希望する歯や気になっている点について歯科医師に相談します。
口腔内を診察し、必要に応じてX線検査などを行い、むし歯の範囲や歯の根、周囲組織の状態などを確認します。
そのうえで、詰め物にするのか被せ物にするのか、どの材料が適しているのかなどを検討します。
自由診療を選択する場合は、治療内容だけでなく、費用、治療期間・回数、主なリスクなどについても確認しておきましょう。
3-2 型取り
むし歯がある場合は必要な部分を取り除き、修復物を装着できるよう歯の形を整えます。
その後、印象材を使って型取りをする方法や、口腔内スキャナーで歯の形をデジタルデータとして読み取る方法などで、修復物を作るための情報を採取します。
被せ物などでは、周囲の歯と調和するように色調を確認することもあります。
修復物が完成するまで期間が必要な場合には、仮の詰め物や仮歯を装着することがあります。
3-3 セラミック修復物の装着
完成した修復物を口の中で合わせ、歯との適合、噛み合わせ、色調などを確認します。
必要な調整を行ったうえで、歯科用の接着材料などを用いて装着します。
装着後にも噛み合わせなどを確認し、必要に応じて調整・研磨を行います。
セラミックを装着した後も、むし歯や歯周病を防ぐためのセルフケアと定期的な歯科受診が大切です。
4.セラミックの治療期間

セラミック治療に必要な期間や通院回数は、治療する歯の状態や修復物の種類、製作方法などによって異なります。
4-1 治療期間・回数は歯の状態や製作方法によって異なる
むし歯を取り除いて詰め物や被せ物を作るだけで済む場合と、歯の神経や根の治療が必要な場合とでは、治療期間が大きく異なります。
また、口腔内スキャナーやCAD/CAMシステムを導入している歯科医院では、口腔内をデジタルで読み取り、院内で修復物を設計・製作できる場合があります。
症例や設備によっては短期間で装着まで行えることもありますが、すべてのセラミック治療を当日中に完了できるわけではありません。
4-2 歯周病治療や根管治療などが必要であれば長くなる
治療する歯に大きなむし歯があり、歯髄や歯の根の治療が必要な場合は、その治療を行ってから修復物を作製することがあります。
また、歯周病がある場合は、歯ぐきや歯を支える組織の状態を整えるために歯周病治療を行う場合があります。
噛み合わせや歯並びなどに問題があり、別の治療が必要な場合も、全体の治療期間は長くなります。
治療を始める前に、自分の場合に必要な治療内容、期間、通院回数について歯科医師に確認しましょう。
5.まとめ
セラミックは、天然歯に近い色調や透明感を再現しやすく、金属を使用しない種類を選択できる歯科用材料です。
セラミックインレー、オールセラミッククラウン、ジルコニア、ラミネートベニアなど複数の治療方法・材料があり、それぞれ特徴や適した症例が異なります。
一方、セラミックであっても欠けや破折、脱離、修復物の周囲のむし歯などが起こる可能性があります。また、すべての白い修復治療が自由診療というわけではなく、一定の条件を満たすCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーなどは保険診療の対象となります。
見た目だけで材料を決めるのではなく、治療する歯の状態や噛み合わせ、材料ごとのメリット・デメリット、費用、治療期間などについて歯科医師から説明を受け、自分に合った治療方法を検討しましょう。
【参考サイト】
・厚生労働省 『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について(令和8年5月29日)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00td0141&dataType=1&pageNo=1
・日本歯科保存学会 「CAD/CAMインレーの臨床指針 第2版」
https://www.hozon.or.jp/member/statement/
・PubMed 「A Systematic Review and Meta-analysis Evaluating the Survival, Failure, and Complication Rates of Metal-Ceramic, Veneered, and Monolithic All-Ceramic Tooth-Supported Single Crowns-Part 1」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41489982/
・PubMed 「Survival Rate of Resin and Ceramic Inlays, Onlays, and Overlays: A Systematic Review and Meta-analysis」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27287305/
・PubMed 「Clinical outcomes of zirconia dental restorations: A systematic review and meta-analysis」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42575241/
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監修医小川隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長

■院長経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る










