高田歯科医院

中学3年生の頃、たまたま読んでいた新聞記事に「目が悪い人と、歯が悪い人が10年前よりも増えてきた」という文章を見ました。同時期に仲良くしていた親戚が医大に合格し、お祝いの席で「これからは医者より歯科医師の時代かもしれんな」と、話していたんです。

また、「俺は人に使われるのが上手じゃないから、人に使われるより、自分ががんばって人を使う立場になりたい」という内容のことを僕に話してくれたのですが、何だかかっこいいなと思ったんです。
それで、自分の中で「歯科医師になろう！」と決心したようなところがあります。親や兄弟に歯科医師は一人もいなかったので、親の七光ではなく自分の力を試すことができると思いました。

大学時代は硬式野球部でしたが、夏休みは寄付集めなんかで、先輩と一緒にOBの歯科医院を訪ねるんです。それも楽しくて、実際の診療を少し見せてもらったり、立地条件はどうかなど、自分の開院を少しイメージしたりもしていました。

これはある程度仕事を始めてから思ったことですが、ただ単に教科書を前にして勉強しているのとは違い、患者さまという人を相手にして診療をし、信頼関係を構築することは悩んだり苦労したりすることもありますが、いろいろと工夫することができる面白さがあるなと感じました。

歯科大学が増えたことで歯科医院も増えたので、量より質が問われるようになり、競争率が上がったということです。

歯科医師になろうと決めて、九州歯科大に入りましたが、最初の講義で教授に言われたのは「歯科医師の良い時代は終わりました。皆さまがここに受かるちょっと前くらいまでがピークだった」ということでした。要するに、歯科医院が少なく患者さまが多かった時代は終わって、患者さまが歯科医院を選ぶようになったということです。テクニックだけではなく、患者さまとのコミュニケーションやさまざまな知識を歯科医師は当然勉強しなくてはなりません。そこが変わったところだと思います。

無病息災を目指したいですが、私は一病息災でも良いと思っています。例えば、歯科医院に来院される患者さまが歯周病になっていたとします。この歯周病という一つの病気を治療するために、ブラッシング指導を受け、歯周病治療を受けた後、歯周病を理解し今後どうしていくべきかを考えるようになっていただいています。そこには食事、運動、睡眠、姿勢を含めた生活習慣の見直しが当然入って来ています。それは、一病を治療するために行ったことが、お口全体の健康につながっていくということを分かっていただけると信じているからです。

歯科医院に来るのは、何かしらの歯のトラブルが原因です。症状は歯や歯茎に出ていますが本当の原因はお口の中だけにあるのではないことがあります。その一つの例として生活習慣が関わっていることがあります。歯茎に近いところが帯状に虫歯になっていたら、水の代わりにスポーツドリンクを飲んでいる可能性があります。そんな患者さまには「スポーツやってる？」と聞いて、その方の症状の背景や原因を掘り下げます。運動して身体は健康になっても、虫歯になっては歯の健康を損なってしまうわけですから、お口の健康にも目を向けてもらうように指導します。そのための情報は提供して、意識を変えていただくようにしています。

富雄のお隣の駅は「学園前」で、そちらは高級住宅街なのですが、富雄はそれに比べるともっと庶民的で肩ひじ張らず住みやすい街だと思います。

最近認知されてきて奈良の人なら誰でも知っているかと思いますが、富雄はラーメン激戦区です。当院の下にもラーメン屋があり、どんぶりの上に野菜が山盛りで出てきます。お腹を空かせた学生や若いサラリーマンが並んで食べています。そのほか、個人的に好きな洋食屋もあります。ハンバーグとかステーキがメインですが、野菜もおいしくて、雰囲気も落ち着いています。あとは、うなぎ料理のお店です。うなぎのコースがとてもおいしいです。たまにうなぎが食べたいと思ったときは、そこに行きます。

趣味のテニスをしている時間です。以前に比べたら、行く時間は少なくなってきましたが、行けるときは1時間だけでも顔を出すようにしています。テニスをしているときは、仕事は忘れています。頭の切り替えができるのが良いですね。

また、睡眠も大事にしていて、24時までには寝て翌朝6時までには起きるよう心がけて1日のリズムをつくっています。

これから伝えたいメッセージは、「長い目でお口の健康のパートナーとして、お口の健康について一緒に考えていきましょう」ということです。

口は呼吸をする、会話をするだけでなく食事をするという大事な器官です。しかし「口から何を入れますか？」「口から何を入れたらダメですか？」という質問に対してきっちり説明できる歯科医師は少ないと思います。ですので、当院では食事の指導もしております。

歯周病は単なる感染病ではなく、生活習慣病です。そのため、食生活や嗜好品まで考えていく必要があります。その情報は発信し、患者さまにもお口の健康に目覚めていただきたいです。お口の健康に対しての取り組みが、家族やお子さま、ご両親にまで広がっていくことが歯科医師としての喜びだと思っています。