歯科医院で親知らずなどを抜歯したあと、血餅と呼ばれる歯の穴をふさぐゼリー状の塊が気になって、舌や指で触ってしまう方もいるようです。
この記事では、血餅の役割、抜歯後の出血や痛みなどが落ち着くおおよその時期、歯を抜いたあとに血餅が取れてしまわないように、食事などの日常生活で注意したいポイントをご紹介します。
血餅が取れてしまったときの対処方法も載せていますので、参考にしてみてください。
この記事の目次
1.抜歯後に血餅が取れないように気をつけた方が良いこと
1-1.抜歯後にできる血餅とは?
そもそも血餅とは、抜歯後にできる穴のなかにある血の塊のことです。
血餅には血を止める、抜歯後の傷を保護するなどの大切な役割があります。
ほかにも歯を支える骨がむき出しにならないように保護し、二次的な感染リスクを抑えるためにも重要です。
1-2.食事はやわらかい食べ物を中心にする
抜歯後数日間は、患部がデリケートになっているため、やわらかい物を食べるようにしましょう。
具体的には、卵がゆや野菜スープ、シチューなどタンパク質や野菜を豊富に含む食事がおすすめです。
逆に避けた方がよいのは、ポテトチップスやせんべいといった硬いお菓子や刺激の強い食べ物です。
このような食べ物は患部の傷口を刺激する恐れがあります。
また、抜歯をした当日は、麻酔の効果が切れるまで飲食は控えましょう。

1-3.抜歯当日は激しいうがいはしない
抜歯した当日から数日間は、血餅が安定していないため、激しいうがいは避けましょう。
強くうがいをして血餅が取れてしまうと、治癒が遅れる恐れがあります。
出血が気になる場合は、強くうがいをせず、清潔なガーゼを患部にあてて10~20分ほど圧迫するように噛んで止血します。
それでも血が止まらない場合は、早めに歯科医院へ相談し、指示を仰ぎましょう。
1-4.抜歯した箇所の歯磨きはできるだけ避ける
抜歯した当日は、抜歯した箇所を直接磨くことは避けましょう。
歯磨きはうがいを伴いますし、歯磨き粉の成分が抜歯をおこなった患部に刺激となる場合もあります。
食事後など「どうしても口の不快感が気になる」という方は、お水を軽く口に含み、強くゆすがずにそのまま吐き出す程度にとどめましょう。
1-5.運動や入浴、飲酒など血流がよくなることは避ける
運動や入浴といった血行を促進する行為は、抜歯当日は避けた方が良いでしょう。血行が良くなると出血しやすくなる場合があるためです。
また、アルコールの摂取も血流を促し、出血のリスクが高まる可能性があるため避けましょう。
1-6.内服薬を出されたら指示通り服用すること
抜歯後に抗菌薬や痛み止めなどが処方された場合は、歯科医師や薬剤師の指示に従って服用しましょう。
自己判断で中止すると、感染や痛みのコントロールに影響する場合があります。

2.血餅が取れても大丈夫?慌てないように対処
2-1.抜歯当日から翌日の出血はガーゼなどで止血を
抜歯した直後は出血しやすい状態にあるので、清潔なガーゼで10~20分ほど患部を圧迫するように噛んで止血します。
その際、ティッシュや化粧用コットンは避けた方がよいでしょう。
患部に繊維が残りやすく、刺激になる恐れがあるためです。
2-2.血餅が取れたら歯科医院へ相談
もし、数日が経過してから抜歯をした箇所の痛みが強くなった、口のなかから白い塊や赤い塊が出てきたといった場合は、血餅が取れている可能性があります。
早めに歯科医院へ相談しましょう。
血餅が取れてしまうと、ドライソケットにつながる可能性があります。
ドライソケットとは、血餅の形成がうまくいかず、歯を抜いた穴の骨面が露出し、強い痛みをともなうことがある状態です。
口の中から赤や白の塊が出てきた場合や、痛みが強まる場合は注意が必要です。
ドライソケットの治療では、患部を洗浄・消毒し、薬剤を入れて経過をみることがあります。
感染が疑われる場合には抗菌薬、痛みがあるときには痛み止めが処方されることもあります。
痛みが長引く、穴に食べ物が入って食事が不便といった面がありますが、治癒までの期間には個人差があります。
必要に応じて、麻酔をして抜歯した穴の中を処置し、新たな出血と血餅の形成を促す再掻爬(さいそうは)と呼ばれる治療を行うこともあります。

3.血餅がなくなり、歯ぐきがきれいになる時期とは
3-1.歯ぐきが落ち着くまでおおよそ1カ月かかる
抜歯したあとの歯の穴が落ち着き、日常生活に支障が少なくなるまでには、おおよそ1カ月ほどかかることがあります。
ただし、抜歯には簡単な処置から、顎の骨の近くにある神経に近接した親知らずを抜くような難しい抜歯までさまざまなケースがあるため、歯ぐきが落ち着くまでの期間は状況により異なります。
3-2.抜歯後の歯ぐきの穴の癒える過程とは
抜歯後は、血餅を足場にして少しずつ新しい組織が作られていきます。
歯ぐきの表面がふさがっていく時期や、骨が修復されていく時期には個人差があり、抜歯の難易度や全身状態によっても異なります。
そのような経過をたどり、抜歯後の歯ぐきや骨が周囲の組織となじむまでには、数カ月単位の時間がかかることがあります。その間は無理をせず、患部を刺激しないように過ごしましょう。
3-3.抜歯後に起こる症状
抜歯後に起こる可能性がある症状としては、痛み、腫れ、出血、発熱、しびれ、内出血などが挙げられます。
発熱が続く、痛みや腫れが強くなる、大量の出血が止まらないといった場合は、合併症や感染の可能性もあるため、早めに歯科医院へ連絡し指示を受けましょう。
また、抜歯後にしびれが続く場合があります。麻酔の影響で一時的に起こることもありますが、長引く場合は神経への影響が関係している可能性もあるため、歯科医師に確認することが大切です。
患部の内出血により、口の周りの皮膚に色の変化が出ることもあります。多くは時間とともに薄くなりますが、気になる場合や長引く場合は相談しましょう。

4.まとめ
血餅とはかさぶたのようなもので、抜歯後に歯ぐきや歯を支える骨を保護する大切な役割があります。
舌や指で触ったり、取ったりしないよう注意しましょう。
また、血餅が取れてしまわないように、抜歯当日から翌日にかけては、強いうがい、患部への歯磨き、入浴や運動、飲酒など血行を促進する行為は控えてください。
抜歯後の歯の穴が落ち着くまでの期間には個人差があるため、その間は患部を刺激しないように生活し、気になる症状があれば早めに歯科医院へ相談しましょう。
【参考サイト】
・日本口腔外科学会「口腔外科相談室 手術、手技に関して」
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_syujyutu/
・日本歯科医学会「歯科診療ガイドラインライブラリ」
https://www.jads.jp/guideline/
【あわせて読みたい】
・歯周病は進行すると抜歯が必要?抜歯の基準や方法について解説
監修医
遠藤 三樹夫先生
遠藤歯科クリニック 院長
経歴
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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