歯牙移植とは?治療方法やおこなうための条件もていねいに解説

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歯牙移植

「できるだけ生まれ持った歯を維持して食生活を楽しみたい」と考える方にとって、歯牙移植は選択肢のひとつになるのではないでしょうか。

ここでは歯牙移植の治療ステップや条件のほか、利点やリスクも伝えています。インプラントや入れ歯に抵抗がある方や歯を失って悩んでいる方は、歯牙移植についての知識を深め、自身にあう治療方法を選ぶために活用してみてください。

この記事の目次

1.歯牙移植の治療概要について

1-1.歯牙移植とはどのような治療?

歯牙移植とは、抜歯が必要となったときやすでに歯が抜け落ちている場合に、自身のほかの歯を移植して代わりに使用する、という方法です。生まれ持った歯を残したいと考える方にとっても検討しやすい、歯の再生療法になります。

 

1-2.歯牙移植をおこなうケース

欠損している場合をはじめ、大きな虫歯やひび割れなどの問題があり抜歯が必要な場合に、歯牙移植をおこなうケースがあります。主に奥歯に適用される方法で、1本だけブリッジやインプラントを入れることを考えている、という状況の方は歯牙移植の対象になりやすいです。

 

1-3.歯牙移植をおこなう条件

まずは移植できる歯があることが、歯牙移植をおこなう条件となります。親知らずや骨のなかに埋まっている埋没歯といった、口内で機能していない歯が使われるのが一般的です。移植する歯のサイズが移植先の根や骨の形にあうかどうかも問題となるため、前歯への移植は適用できる可能性が低くなります。また、移植する歯が健康なことも条件のひとつとなり、歯周病などにより「歯根膜」という部分が少なくなっている場合は難しいです。手術による体への負担や成功率などの観点から、40歳くらいまでにおこなうことが推奨されています。

 

1-4.歯牙移植の治療ステップ

移植先に抜くべき歯がまだ残っている場合は、まず抜歯をします。その後に、歯根膜を痛めないようていねいにドナーとなる歯を移植するという流れです。歯のなかにある神経はくっつかないため、移植後はトラブルを防ぐために神経を取り除く治療が必要になります。

 

1-5.治療後、歯が安定するまでの期間は?

移植をおこなった後は定期的に調整をおこない、2週間から3週間経った頃に神経の治療を開始します。約4カ月から5カ月程度で歯根膜が骨とくっつき、安定して噛めるようになります。少し時間はかかりますが、自身の歯として使えるので負担軽減につながりやすいです。

 

1-6.歯牙移植のおおよその費用は?

歯牙移植は保険適用となるケースもあり、移植先に歯が残存していることが第一条件です。そのため、すでに歯が抜けている部分に対して歯牙移植をしたいと考えている場合は、保険対象外となります。なおかつドナーとなる歯が、親知らずまたは歯茎に埋まっている歯の場合のみ保険が適用されます。保険適用の場合にかかる費用の相場は1万円前後、一方で自由診療の場合は5万~10万円必要となりますが、インプラント治療をおこなうよりは費用が抑えられます。

歯牙移植

2.歯牙移植をおこなううえで知っておきたいこと

2-1.歯牙移植のメリットや作用

治療の際には、クッション性のある歯根の膜も歯と一緒に移植するため、安定すると噛み心地がよいのが特徴です。また、移植をするにあたって周囲の歯を削る必要がないため、負担も抑えやすいです。そのほか、もともとお口のなかにある歯を使うので、アレルギー反応の心配も少ないといったさまざまなメリットがあります。前述の通り、条件を満たせば保険適用となるほか、自由診療のケースでもインプラントと比較して安価な点も検討しやすいです。

 

2-2.歯牙移植をおこなううえでの注意点やデメリット

歯牙移植を検討する際に知っておきたい注意点は、移植後に歯根膜がうまく安定しない場合もあり、技術的にも難しい手術ということです。また、数年後に根が吸収されて虫歯を引き起こしたり歯が抜け落ちたりするケースもあるため、リスクについても考慮したうえで歯牙移植をするかどうか決断したほうがいいでしょう。

 

2-3.歯牙移植後のトラブルや原因、改善方法

歯牙移植後に起こりやすい問題のひとつに「アンキローシス」があります。歯根膜が不足していると歯や骨が不自然に癒着してしまい、結果的に歯根を溶かして抜け落ちます。ただ、歯根が溶けて歯が抜けるまでには長い年月がかかるとされているため、それまでの期間は使用できるケースもあるので、リスクも踏まえたうえで検討するのもひとつの手です。アンキローシスの対処法としては、歯周組織の再生を促す膜を設置する「歯周組織再生治療」があります。

歯牙移植

3.まとめ

歯牙移植の治療方法をはじめ、条件や費用、メリットやデメリットについて紹介してきました。生まれ持った歯を活用するという点に魅力を感じ移植に興味を持っている方も、治療の全容について理解が深まったのではないでしょうか。歯牙移植に興味を持たれている方は、お口の状況やリスクも踏まえて、まずは治療が可能かどうか歯医者さんに相談してみましょう。

 

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監修医

野村 雄司先生

本町通りデンタルクリニック 理事長

経歴

2003年 大阪歯科大学卒業
2007年 大阪歯科大学保存学講座入局
2009年 まごころ歯科勤務
2012年 まごころ歯科退職
2012年 本町通りデンタルクリニック開業
2013年 大阪歯科大学保存学講座歯学博士号取得
現在に至る。

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