舌癌の手術はどんな方法でおこなわれる?おおよその入院期間なども紹介

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舌癌 手術 方法

「舌がコリコリする」あるいは「口内炎みたいなできものが治らない」といった症状があり、「もしかして舌癌かも」と当記事にたどり着かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、口腔癌のひとつである舌癌の手術方法や入院期間、舌癌の見極め方などを掲載しています。気になる症状がある方のほか、これから舌癌の治療にのぞまれる方も参考にしてみてください。

この記事の目次

1.舌癌手術の種類について

1-1.舌部分切除術

早期の舌癌で範囲が狭く浅い場合、舌の可動部を部分的に切除する舌部分切除術がおこなわれます。局所麻酔を使用し日帰りや数日の入院ですむ場合もありますが、患部が舌の奥だったり吐き気が強かったりする際には全身麻酔が採用されます。多少の変形が残ることがありますが、切除部分が小さいため飲食や発音機能への影響は少ないようです。

 

1-2.舌半側切除術

癌の範囲が舌の半分に近い広さまで広がっている場合、疾患部のある側を半分切除する舌半側切除術がおこなわれます。可動部のみを切除する舌可動部半側切除術と舌根までの舌半側切除術があり、舌を新しくつくり直す再建手術をあわせておこなう場合もあります。術後1週間程度は流動食や点滴で栄養管理をしますが、切り取った範囲が舌の半分以下であれば飲食や味覚への影響は少ないと言われています。

 

1-3.舌亜全摘出術と舌全摘出術

癌が進行してしまっている場合、舌を半分以上切除する舌亜全摘出術か、すべてを摘出する舌全摘出術がおこなわれます。可動部のみの切除となることもあり、これを舌可動部全摘出術といいます。機能維持のため再建手術が施されますが、機能障害は残る傾向にあるようです。術後1週間は点滴や鼻からの流動食となり、その後嚥下練習をおこなうものの、口からの食事のみで栄養が摂取できるようになるには1ヶ月から2ヶ月かかるケースも多いです。

 

1-4.手術前後の放射線治療

放射線治療には体の外からあてる外照射と、抗がん剤を動脈に流し込む動脈内化学療法があります。動脈内化学療法は、放射線治療の補助的処置になります。外照射は1日1回、数分間の照射を25回から30回前後にわけて実施するため、治療期間は約1ヶ月半になります。

また、手術を主体として補助的に処置する際には、下記のような目的があります。

 

・術前照射

術中に散らばる可能性がある癌細胞を死滅させることや取り除く癌を小さくすることで、手術をしやすくする

・術後照射

切除しきれなかった癌細胞を死滅させて再発の抑止につなげる

・術中照射

手術中に癌組織へピンポイントに放射線を照射する

 

舌癌 手術 方法

2.入院期間と術後のリハビリについて

2-1.おおよその入院期間

入院期間は癌の進行度合いや患者さんの状態、治療方針によって変動します。

初期の舌癌は1週間程度で退院できるケースがあるものの、ある程度進行した舌癌の場合、術後の放射線治療が必要となることがあり、3ヶ月前後と長期化するケースもあります。また、治療方針が決まってから治療を開始するまでに、2週間から3週間程度期間があく場合もあります。

 

2-2.手術後のリハビリテーション

手術後に、発音や発声が思うようにできない、あるいは食べ物を飲んだり噛んだり味わったりする機能が低下している場合は、これらの状態をできる限り戻すことを目的としたリハビリテーションに取り組みます。

リハビリテーションの内容は、下記を参考にしてみてください。

飲食物の飲み込み

残っている舌の大きさや再建の状態にあわせて、運動訓練や飲み込む動作の練習をします。最初に熱いものを飲むときのすする動作を練習し、うまくいかない際には椅子の背もたれなどを利用して首を後ろにたおし、重力を使って食べ物をのどに送り込む方法をおぼえたりします。

発声と発音の訓練

手術した部分はかたくなったり動きにくくなったりするため、傷口が落ち着いた段階で舌のストレッチなどがおこなわれます。また、唾液が飲み込めないことで発音や発声がうまくいかない際には、すする動作で飲み込んでからお口を大きく動かす訓練もおこないます。

装置を使用した練習

舌が小さくなってしまったことが要因で発声や飲み込みがうまくいかない方には、舌とあごの間を補う舌接触補助床という入れ歯のような器具を使用する場合があります。

 

舌癌 手術 方法

3.舌癌の危険性と見極め方

3-1.早期発見・早期治療が大切

舌癌はリンパ節への転移が早い癌として知られ、頸部リンパ節で急速に進行するものもあり、初診の時点で進行してしまっているケースが多い疾患のひとつです。初期であれば患部の切除を小さく抑えられるほか後遺症も残りにくいので、ほかの癌と同様に早期の発見と治療が大切です。

 

3-2.舌の違和感の見極め方

舌癌ができやすい箇所としては舌の両脇部分が多く、自身で発見しやすい癌といえますが、舌の裏側などに症状があらわれることもあるため注意が必要です。自覚症状としてコリコリとしたしこりやただれがあるものの、痛みや出血は癌が進行するまであらわれないことが多いようです。また、患部の状態が口内炎に似ているため見過ごされがちです。「治りにくい口内炎がある」「舌にまわりと比べて白い箇所がある」「口臭が強くなった」など、異変を感じたら歯医者さんへの受診を検討しましょう。

 

舌癌 手術 方法

4.まとめ

舌癌の手術の方法や入院の期間、放射線治療についてなどを紹介してきました。癌の進行度によって治療内容は難しくなり、後遺症も重くなる傾向にあります。初期の段階では口内炎と見分けがつきにくい舌癌の症状ですが、早期発見・早期治療が大切なため、気になる症状がある方は歯医者さんへの相談を検討しましょう。

 

【監修医 松岡浩司先生のコメント】

お口の中には癌は出来ない。と間違った考えをお持ちの方々がまだ数多くお見えになります。しこりや痛み、なかなか治りづらい・繰り返すような事があれば歯科医師に相談ください。

 

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監修医

松岡 浩司先生

松岡歯科クリニック 院長

経歴

1986年 日本歯科大学 卒業
1988年 パール歯科医院 勤務
1995年 松岡歯科クリニック 院長就任
現在に至る

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