歯肉癌をはじめ口腔がんの症状・治療法を解説!セルフチェック方法も紹介

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歯肉癌といった、お口の中にできる癌についてあまり知らない方も多いのではないでしょうか?また存在自体は知っていても、具体的にどういうものなのか知っている方は少ないかと思います。

ここでは進行度別に症状を説明しているほか、治療方法もまとめていきます。口腔がんのことを詳しく知りたいと思っている方は、これを読んで知識を深めていただければと思います。

この記事の目次

1.歯肉癌とは?進行度の分け方や原因について解説

1-1.歯肉癌は口腔がんの一種

「口腔がん」とは、口のなかで発見されたがんのことを指し、「歯肉癌」も口腔がんの一種です。

口腔がんの種類は大きく分けて六つあり、舌がん・歯肉がん・頬粘膜がん・口腔底がん・口蓋がん・口唇がんに分類されます。

身体全体のがんのなかで、口に症状があらわれる方は多くありませんが、口腔がんのなかでは、歯肉癌が舌がんに次いで二番目に多いと言われています。

1-2.歯肉癌の進行度はどうやって分けられるか

口腔がんを含む、がんの進行度は「がんの大きさがどのくらいか」「周辺リンパ節への転移の有無」「がんが顎の外までおよんでいないかなど、がん転移の有無」をチェックし、ステージ0~4までの5段階に分類します。

ステージ0に近いがんほど比較的小さい状態のがんですが、ステージ4に近付くほど進行しているがんであると言えます。

 

ステージ0

いわゆる「上皮内がん」の状態でリンパ節の転移もない状態

ステージ1

がんが上皮内をこえている状態ではあるが、がんの大きさは2cm以下で深さが5mm未満、リンパ節の転移は確認できない状態

ステージ2

がんの大きさが2~4cmで深さが10mm未満、または大きさが2cm以下で深さが5~10mmとなり、リンパ節へ転移しつつある状態

ステージ3

がんの大きさが4cmまたは深さが10mm以上でリンパ節への転移は確認できない状態、もしくは、がんの大きさが2~4cm程度であっても、リンパ節へがんが転移している状態

ステージ4

がんが顎の外まで広がっているなど、ほかの臓器へ転移している状態

 

口腔がんの診断方法としては、大きく分けて「画像診断」と「病理診断」があり、画像診断ではレントゲン・CT・MRIなどでがんの大きさや深さ、頸部リンパ節に転移がないかのチェックをおこないます。

病理診断では病変組織を一部切り取ったうえで顕微鏡検査をし、がんが深い場合は針を刺して病変をチェックすることもあります。

1-3.タバコや飲酒などの生活習慣や口内環境が関連している

がんになるリスクが高い要因として挙げられるのが、まずは「喫煙している方」です。

口腔がん・咽頭がんになる確率はタバコを吸わない方と比べて、男性では2.4~4.3倍程度、女性では約2.5倍がんリスクが高くなるとの報告があります。

次にリスク要因として挙げられるのが「飲酒している方」です。飲酒をすることによって口腔がん・咽頭がんになる確率は、まったく飲酒をしない方と比べ、男性では約1.8~3.2倍もリスクが高くなるとの報告もあります。

また、合わない入れ歯や慢性的な虫歯などもリスク要因として挙げられます。

【参考】国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ

歯肉 癌

2.口腔がんの症状はどのようなものがあるか進行度別で解説

2-1.初期の口腔がんで現れやすい症状

基本的に初期の口腔がんでは、あまり症状を感じられない患者さんが多く、がんによる痛みや出血なども見られません。

しかし、がんができたところには触ってみると硬いしこりのようなものがあります。異物感やなかなか治らない口内炎など、少しでも気になる方は早めに歯医者さんを受診しましょう。

2-2.進行した口腔がんで現れやすい症状

がんが進行すると、しこりが大きくなるパターンと、身体や口のなかへと深く入ってしまう場合があります。

がんの進行具合によっては潰瘍ができて、出血や痛みが出ることもあります。

また、進行のスピードによっては「発音しづらい」「口が開けられず、食事などに支障が出る」「口が開けられない」と訴える患者さんもいるようです。

歯肉 癌

3.歯肉癌を含む口腔がんの治療方法を説明

3-1.進行度や年齢、部位などによって治療方法が選択される

がんの治療方法としては大きく分けて3種類あり、「外科的手術」「放射線照射」「抗がん剤治療」が挙げられます。進行度はもちろん、患者さんの年齢やがんの部位、既往歴、全身の健康状態などさまざまな側面を考慮して、治療を決定していきます。

外科的手術で対応するケースが多いですが、がんの進行が深ければ抗がん剤・放射線治療を併用しておこなわれることもあります。

3-2.手術によって治療する外科療法

がんの外科的な手術法としては、以下の三つが挙げられます。

切除

がんがある部分を手術で切除します。このときにがんの周囲の組織も含めて大きめに切除することで、再発防止を目指します。

頸部郭清術

首のリンパ節へ転移している場合や、転移の疑いが濃厚なときに採用される手術方法です。転移したリンパのみ切除するのではなく、ほかのリンパ節や周囲の組織、筋肉なども同時に切除します。

再建術

手術によって失われた部分を補うために、身体のほかの部分を移植する手術方法を指します。

おもに上腕やお腹の部分の皮膚や筋肉が使用されることが多いです。

3-3.放射線照射する治療方法

高エネルギーエックス線などの放射線照射をほどこすことによって、がんを小さくし、がんの消失を目指す治療方法です。

身体の外側からエックス線を当てる外照射とよばれるものと、放射線が出る針を直接がんのある部分に刺す組織内照射の2種類があります。

3-4.抗がん剤などを使用する化学療法

抗がん剤は副作用の懸念などから、進行したがんにのみ使用される場合が多いようです。

抗がん剤治療は手術法や放射線照射などをおこなったうえで併用されるパターンが一般的です。

歯肉 癌

4.口腔がんを早期発見するためのポイント

4-1.セルフチェックするポイントを解説

自身のお口の状態や生活習慣について、以下のような特徴がある場合は口腔がんの恐れがあります。

お口の中を確認するときは、明るい場所で大きな鏡を用意して、舌はガーゼなどでやさしく持ち上げ、底の方まで確認してみましょう。

指で触って硬いしこりや腫れはないか

粘膜が赤や白になっているところはないか

治りにくい口内炎がないか

合わない入れ歯などを長期間にわたって使用していないか

しびれや麻痺、舌や口の動きは悪くないか

 

4-2.口腔がん検診で早期発見を

口腔がんの診断は視診や触診、そしてMRIや病理検査などによって診断されます。

早期の発見・治療によって改善しやすくなるので、気になる症状がある方は早めに歯医者さんへ行くことをおすすめします。

また、自治体によっては口腔がん検診をおこなっているところもあり、市が検診費用を一部負担してくれるほか、一定の年齢を過ぎると無料で受けられる地域もあるようです。

詳しくは住んでいる自治体に問いあわせてみてください。

歯肉 癌

5.まとめ

歯肉癌は、身体全体のがんのなかの割合でいうと数%しか発症例はありませんが、ほかのがんと同じように、改善するためには早期発見・治療が重要になります。

また喫煙や飲酒だけでなく、合わない入れ歯や治療をせず放っておいたままの虫歯でも、口腔ガンのリスクが高まります。

まずは自身でセルフケアチェックをして、しこりや腫れがないか定期的にチェックするとよいでしょう。

 

参考:https://www.jdha.or.jp/topics/health/c/153/


【監修医 貝塚浩二先生のコメント】

口腔がんの発生に係る要因は数多くありますが、代表的なものは喫煙と飲酒です。他にも不潔口腔衛生状態、適合の悪い入れ歯、歯の鋭縁(歯を支えている骨がとがった状態になっていること)、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染なども原因とされています。 口腔がんのできやすい場所は舌・歯ぐき・頬の粘膜ですが、中高年齢の方は、毎月1回のセルフチェックを強くお勧めします。特に、喫煙や飲酒等の習慣がある方は、怪しいと思ったらすぐにかかりつけ歯科医師や総合病院の歯科口腔外科を受診してください。

 

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監修医

貝塚 浩二先生

コージ歯科 院長

経歴

1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る

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