インプラントのメリット・デメリットと治療を受ける際の注意点

    虫歯やケガで歯を失ってしまった方には、人工の歯根を埋め込む「インプラント治療」を検討してみてはいかがでしょうか?インプラントは他の歯を傷つけず、美しさや装着感、維持力を得られるというメリットがあります。

    ただし、いくつかの問題点もあります。ここでは、インプラントのメリットとデメリットについてまとめました。自分に合った治療方法を選ぶ際の参考にしてください。

    この記事の目次

    1.インプラントの6つのメリット

    ①噛む力が強い

    インプラント治療は、天然歯の状態の約80%まで噛む力が回復すると言われています。歯が折れることも少なく、ぐらつきもなく、自分の歯と同じように何でも噛むことができます。入れ歯のように味覚や熱さの感覚が低下することもないため、食事を楽しむことができます。

     

    ②見た目が自然

    インプラントは見た目が天然の歯と同じように美しく仕上がります。前歯を失った場合、入れ歯では金具が見えてしまうことがあり、人前で笑顔になるのに抵抗を感じる方もいます。しかし、インプラントならそのような抵抗感が少なく、自然な笑顔を取り戻すことができます。

     

    ③違和感がない

    インプラント治療は、人工歯根を埋め込むことで失った歯を補う方法です。そのため、入れ歯のように合わなくて口の中が痛くなることや、食べるときにがたつくことはありません。また、噛むときに違和感がないため、しっかり噛むことができ、全身の健康維持にも役立ちます。

     

    ④健康な歯を傷つけない

    インプラント治療は、失った歯の部分だけを治療します。ブリッジのように両隣の健康な歯を傷つけることがないため、安心です。また、噛み合わせを維持できるので、周囲の歯の健康も守ることができます。

     

    ⑤顎の骨がやせない

    顎の骨は歯を支える役割を果たしていますが、歯を失うと骨がやせてしまいます。顎の骨がやせると見た目が老けて見えることがあります。インプラントを入れることで顎の骨を刺激し、骨のやせを抑制できるため、見た目の若さを維持するのに役立ちます。

     

    ⑥寿命が長い

    インプラントの寿命は約10年と言われています。入れ歯が約5年、ブリッジが約7年なので、インプラントの方が長持ちすると言えるでしょう。中には数十年も同じインプラントを使い続けた例もあります。治療後も適切なメンテナンスを行い、寿命を延ばすよう心がけましょう。

    2.インプラントの5つのデメリット

    ①手術が必要

    インプラントは、骨の中に人工歯根を埋め込む治療です。外科手術が必要なため、局所麻酔を使用します。手術後には腫れや痛み、内出血が生じることがあります。また、稀に手術中に大きな神経や血管を傷つけて麻痺が残るケースもあります。

     

    ②治療期間が長い

    インプラント治療は、開始してすぐに被せ物をするわけではありません。個人差はありますが、歯科用CT検査や噛み合わせの確認、インプラントが骨と定着するのを待つ期間などを含めて、平均で3~10ヶ月かかります。忙しい方のために短期コースを用意している歯医者さんもあるので、相談してみましょう。

     

    ③治療費が高額になる

    国が定めた病気や外傷によって広範囲に顎の骨が失われた場合、インプラント治療は保険適用となります。ただし、これは非常に限られた範囲であり、ほとんどのケースでは自由診療となります。インプラント治療に使用する医療機器や材料は高価なものが多いため、治療費も高額になります。

     

    ④治療に制限がある

    インプラント治療はすべての方にできる治療ではありません。重度の糖尿病や骨粗鬆症の方はインプラントと骨が結合しなかったり、歯茎や骨の手術痕がうまく治癒しない場合もあります。全身疾患を抱える方は、インプラント治療の前にかかりつけのお医者さんに相談してみましょう。あごの骨が完成していない20歳以下の人も一般的にはできないケースが多いです。

     

    ⑤メンテナンスが必要

    インプラントは人工の歯なので虫歯にはなりませんが、自然の歯と同様に歯石が付きます。インプラントの周辺組織は歯周病になりやすいため、歯石を放置すると歯周病が重症化し、インプラントが抜けてしまうことがあります。インプラントの寿命を延ばすためにも、メンテナンスを行い、周囲の歯の健康を守ることが重要です。

    3.前歯・奥歯のインプラントのメリット・デメリット

    前歯のインプラントのメリット

    失った前歯の治療には、インプラントの他にブリッジなどの方法があります。しかし、前歯は顔の表情に影響し、噛むときの使用頻度も高い歯です。インプラントはブリッジのように周囲の歯を傷つけることがなく、自分の歯のようにしっかり噛むことができるため、治療を受ける価値が大きいと言えるでしょう。

     

    前歯のインプラントのデメリット

    前歯は平べったい形をしており、前歯を支える骨は奥歯よりも薄いため、治療の難易度が高くなります。治療を始める前に必ず歯医者さんに相談し、十分に納得してから治療を開始しましょう。

     

    奥歯のインプラントのメリット

    奥歯は噛み合わせにとって重要な役割を果たします。インプラント治療によって正しい噛み合わせでしっかり噛むことは、脳の血流を良くし、身体の免疫力を高める効果が期待できます。また、インプラントは周囲の歯を傷つけないため、周囲の歯への負担を減らすことも可能です。

     

    奥歯のインプラントのデメリット

    奥歯は強い力がかかるため、失った歯と同じ本数のインプラントを埋め込む必要があることが多いです。また、奥歯は歯磨きがしにくく、汚れが溜まりやすい場所です。汚れが溜まると歯周病になりやすくなるため、定期的なメンテナンスを行いましょう。

    4.インプラント治療を受ける際の注意点

    インプラントの知識を持つ

    インプラントの基礎知識を持つことで、歯医者さんの説明が理解しやすくなります。説明をきちんと理解できるようになると、疑問や質問もしやすくなるでしょう。自分に合った治療方法を選ぶためにも、正しい知識を持ち、間違った情報に流されないようにしましょう。

     

    自分に合った歯医者さんを選ぶ

    インプラント治療を行う歯医者さんは、医院によって大きく異なります。それぞれの歯医者さんがどのようにインプラント治療に取り組んでいるかを把握し、歯医者さん選びに活かすことが重要です。また、自分の不安や疑問、質問に丁寧に答えてくれる歯医者さんを選びましょう。

     

    自分の身体のことをちゃんと伝える

    先生が治療計画を正確に立てられるように、できるだけ多くの情報を伝えることが重要です。過去の病歴や現在の病気、服用している薬などを漏れなく伝えましょう。全身疾患を持っている方は、事前にかかりつけ医に相談してください。また、持病がある方は、かかりつけ医と歯科医師が連携して治療を進めることもあります。

     

    事前に行う検査の目的を知る

    きちんとした検査を行うことは、インプラント治療のトラブルを回避するのに役立ちます。歯科用CTなど、さまざまな検査が必要ですが、口内の状態や既往歴によって必要な検査と不要な検査が異なります。各検査の目的を正確に把握し、不安なことやわからないことがあれば、その都度確認するようにしましょう。

     

    自分の生活スタイルを伝える

    治療にあたって通院や手術に影響を与える可能性がある生活スタイルがあれば、事前に伝えましょう。海外渡航、転勤、仕事、運転が必要な業務、育児や介護などが治療方針を決定する要素となります。インプラントによるトラブルを回避するためにも、自分の生活スタイルを歯医者さんに伝え、一緒に治療計画を立てましょう。

    5.まとめ

    インプラントにはメリットとデメリットの両方があります。インプラントは自分の歯のように噛むことができ、残っている歯に負担をかけず、見た目も美しく、歯を失う前に近い生活を送ることができます。しかし、治療期間が長く、治療費が高額になるというデメリットもあります。自分に合った治療法を選ぶために、歯医者さんと相談し、納得のいく治療法を選びましょう。

    監修医

    髙橋 貫之先生

    本町通りデンタルクリニック 歯科医師

    経歴

    2003年 大阪歯科大学 卒業
    2003年 大阪歯科大学 大学院歯学研究科博士課程 入学
    2007年 大阪歯科大学 大学院歯学研究科博士課程 修了
    2008年 大阪歯科大学 勤務
    2016年 大阪歯科大学歯周病学 助教退職
    2016年 本町通りデンタルクリニック 勤務
    現在に至る

    日本歯周病学会 歯周病専門医

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