歯周病は多くの方が感染している恐れがあり、進行すると歯が抜け落ちる危険性があります。
歯周病検査で定期的に調べるのが大切ですが、どのような検査内容なのか、費用はどの程度かかるのかわからない、という方も少なくありません。この記事では、歯周病や歯周病検査についてまとめていますので、検査に迷っている方はぜひ参考にしてください。
※ 掲載する平均費用等はあくまでユーザー様のご参考のために執筆時点の情報を提示したものになります。
改正、施術内容、症状などにより、施術にかる費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.歯が抜け落ちる危険性がある歯周病とは
歯周病とは、歯の周りの組織が炎症を起こす病気のことで、歯肉炎・歯周炎の総称です。その原因は歯周病菌と呼ばれる細菌で、磨き残しやケア不足で口内にたまった歯垢(プラーク)の中に多く存在しています。
歯磨きやケアが行き届かないまま放置された歯垢が、「歯周ポケット」と呼ばれる歯と歯ぐきのすき間にある溝にたまり、歯ぐきの内側で炎症を起こします。
歯周病の怖いところは、自覚症状があまりなく、本人が気づかないうちに進行してしまうことです。
最悪の場合は、歯ぐきと骨が破壊され、歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気なのです。日本人の多くの方が発症しており、歯を失う大きな理由が虫歯と歯周病だといわれています。
2.歯周病検査の内容とは?
2-1.歯医者さんで行われる検査内容
歯周病は初期に自覚症状がほとんどないため、歯医者さんで定期的な検診を受けることが望ましいとされています。歯周病の検査は、症状や進行状況に合わせて、いくつかの検査を組み合わせて行われます。
主な検査としては、歯と歯ぐきのすき間にある歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査、歯を支える骨の状況を調べるレントゲン検査、歯周病の原因となるプラーク(歯垢)の状況を調べるプラークの付着状況検査などがあります。
それぞれどんな器具を使って検査を行い、どのように治療に活かすのか、詳しく見てみましょう。
2-2.歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査
プロービング検査でわかるのは、「歯周ポケット」の深さです。前述の通り、歯周病は歯周病菌が歯の周りに繁殖し、歯と歯ぐきの間の溝である歯周ポケットに入り込み炎症を起こす病気です。
口腔内が健康であればその深さは2mm程度ですが、歯周病が進行するにつれ深くなっていき、10mm以上になるケースもあります。この歯周ポケットの深さを調べる検査が、プロービング検査です。
プローブという、目盛りのついた探針(針状の細い器材)を、歯と歯ぐきのすき間に差し込んで溝の深さを確認します。この時、出血があるかどうかもあわせてチェックします。
2-3.骨の状態を調べるレントゲン検査
歯周病は、歯肉が炎症を起こすほか、病気が進行すると歯周病菌が歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かしてしまうこともあります。骨は歯ぐきの中にあるため、肉眼で確認することはできません。
レントゲン検査では、埋まっている骨の量で病気の進行を知ることができます。量が少なければ、歯周病が進行しているということです。
また、骨の密度を確認することで骨の質も調べることができるのも、この検査の大きな特徴です。骨の密度が少ない場合、レントゲン写真は黒っぽく写り、密度が大きい部分は白く写ります。病状が改善してくるに従い、骨の密度は増してくることがわかっています。
2-4.プラークの付着状況の検査
歯周ポケットのチェック、骨のチェックとともに大切な検査として、歯周病菌のチェックがあります。この菌はプラークの中に多く存在し、これが原因となって歯周病が起こります。プラークがどの部位に、どれだけの量付着しているのかを調べることで、プラークのつかない口腔内の環境を整えるために必要な治療法を導くことができます。
プラークを放置しておくと、やがて固まって歯石となってしまいます。歯石になってしまうと、どんなにブラッシングをしても自分では取り除くことができなくなります。
そうなる前に検査でプラークがつきやすい箇所を把握し、正しいブラッシングの仕方や、ブラッシングで届かないところは、デンタルフロスや歯間ブラシを使うなどの指導をすることも可能になります。
プラークの付着を調べるには、専用の染色液を使って調べます。プラークが付着している部分は、染色液によって色が変化するので一目でわかるようになっています。
3.歯周病検査にかかる費用
3-1.歯周病検査は基本的に保険診療
自覚症状のない歯周病は、気がつかないうちに症状が進んでしまい重症化してしまうことが多いため、歯医者さんで定期的な診察を受け初期段階で発見することが望ましいとされています。
しかし、費用面を心配してためらっている方も多いのではないでしょうか。
歯周病検査は、基本的には保険診療の範囲内で行われます。保険診療の場合には負担額は3割となりますが、初診料やスケーリング(歯石の除去)があわせて行われ、その合計費用の3割で計算されることが多いです。
保険治療の歯周病検査の中に、プロービング検査やプラークの付着検査、レントゲン検査などを含み、初診料やスケーリングとあわせて3500円程度かかります。
3-2.自由診療の歯周病検査
歯周病検査は、保険診療での検査のほかに、さらに詳しく検査するためにさまざまな自由診療の検査を取り入れている歯医者さんもあります。保険診療は患者さんの費用負担が少なく済む点が大きなメリットではありますが、検査に使用する器具や材料は、健康保険で決められているものしか選べません。
一方、自由診療の内容は歯医者さんによって違いがありますが、歯周病の進行に合わせて必要な診察、方法を用いて治療に当たることができます。
ただし、費用が高額になってしまう場合も多いので、歯医者さんと相談して必要な検査を受けるようにしましょう。
自由診療の検査では、かみ合わせや歯の周りをより詳細に撮影して判断するために、CT検査を取り入れている歯医者さんも多いようです。
さらに細菌検査では、歯周病の原因になる菌を特定し、必要な薬剤や予防方法の提案をすることもあります。
4.歯周病検査は痛い?
歯と歯ぐきの周りには、たくさんの神経が通っています。ここまで歯周病の検査の内容や金銭面についてみてきましたが、検査の時に感じる「痛み」について気になっている方も多いのではないでしょうか。
プロービング検査は、前述の通り「歯周ポケット」の深さを調べる検査です。針状の器具を使うため、少しだけチクチクとした痛みを感じる場合もあります。
さらに、プラークが固まってできた「歯石」を取り除く時にも、炎症を起こしている歯肉に触れなければならないため、少しだけ痛みを感じることがあるようです。虫歯のようなずきずきとした痛みとは異なりますが、痛みに弱い方や不安な時は、歯医者さんに相談してみるとよいでしょう。
5.まとめ
日本人の多くが発症しているといわれている歯周病は、自覚症状がないまま進行する危険な病気です。普段から歯磨きといったセルフケアをしっかりと行っていても、磨き残しやかみ合わせが原因で歯周病となるケースもあります。
虫歯と同様に進行してから治療するのは大変ですので、痛みや症状がなくても定期的に歯医者さんで検査を受けることが大切です。歯周病の検査は基本的に保険診療で行っていますので、歯周病が気になる方は、一度歯医者さんに足を運んでみましょう。
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監修医
小川 隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る
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