歯医者さんを予約しようと思ったものの、虫歯の治療費が気になって手が止まってしまった、という経験はありませんか?「治療が終わった後に思ったより高い金額だったらどうしよう」と不安を感じることもあると思います。ここでは虫歯の治療費用の目安や初診料について、また被せものの種類など、費用を左右するさまざまなケースについて解説していきます。 治療費がどれくらいかかりそうなのか知っておきたい、という方はぜひ読んでみてください。
1.虫歯の治療費が決まる四つの要因を解説
1-1.虫歯がどれくらい進行しているか
虫歯の進行度によって治療費は変わります。軽度の場合は虫歯を削った後、詰めものをして終了しますが、中度になると神経近くの治療または神経を抜くといったケースが出てきます。そうなると被せものやその土台なども必要になり、時間も費用もかかります。
さらに重度になると、歯を残すことができず抜歯にいたります。歯を失った部分は入れ歯やブリッジ、インプラントのような人工歯で補うことになるため、治療以外の部分にも費用がかかります。
1-2.虫歯を削った後、どのような素材の被せもの・詰めものを使うか
被せものや詰めものの種類はさまざまです。被せものの場合、見た目が白い硬質レジン前装冠や自然な歯の色に近いメタルボンドを使用します。詰めもので使用するのは銀歯と呼ばれるパラジウムのほか、見た目がより天然歯に近いセラミックスといった素材が一般的です。このほかにも幅広い素材があり、使用する素材によって保険適用できるかどうかも変わるので、どれを選ぶかで費用が大きく変わってきます。
1-3.保険診療か自由診療か
虫歯の治療費は、保険診療と自由診療のどちらを選択するかにより、大きく変わります。保険適用の治療を選択すると、素材には細かな規制があるため、被せもの・詰めものには決まった素材しか使用できません。しかし、見た目の美しさや素材の耐久性を考慮した治療をしたい場合には、全額負担する自由診療を選択することとなります。
1-4.前回の受診からどれくらい経っているか
前回の受診から数か月経過している場合、治療費に加え初診料も支払うことになります。初診料は初めての受診にのみかかる費用ではありません。歯医者さんから、継続的な管理が必要な病状や治療の説明を受けた場合、その日から2カ月、ほかの理由で通院していた方は最後の受診から1カ月が経過すると、再び初診料がかかります。
2.虫歯の進行度別!治療費の目安
2-1.歯の表面だけでとどまっている、初期の虫歯の場合
初期の虫歯は、治療が必要なものとそうでないものがあります。まだ治療の必要がなく、3~6カ月ごとの経過観察をする場合はクリーニングやブラッシング指導で1回につきおよそ1000~3000円かかります。虫歯の進行を防ぐフッ化物塗布をおこなった場合の目安は、500~1000円ほどです。
歯の表面を構成しているエナメル質が溶けた状態の虫歯は、その部分を削りレジンという白い詰めものをする治療が一般的です。削って詰めるまでが1回の処置で終わることが多く、費用は保険適用で1500~3000円ほどになります。
2-2.神経までは届いていないが少し進行している、中度の虫歯の場合
歯がしみる場合、エナメル質の下にある象牙質のさらに下、神経近くまで虫歯が達している恐れがあります。虫歯の大きさや神経を取る処置の有無で費用は異なりますが、治療だけで2000~4000円ほどかかります。
加えて、中度まで進行してしまうとレジンでは治療できないケースもあり、型を取って詰めものをする処置が必要です。保険診療のパラジウム、いわゆる銀歯の費用は2000円ほどですが、自由診療のハイブリッドやセラミックスになると3万5000円~6万5000円ほどかかります。
2-3.神経まで届いてしまった、重度の虫歯の場合
虫歯が神経まで届いてしまうと、激しく痛みます。その場合、神経を抜いて歯の根っこ部分をきれいにした後、土台をつくって被せものをしなければなりません。費用は治療や土台、被せもののを合わせて、保険診療でも1万円ほどみておきましょう。保険適用の金属の土台では2000円ほど、それに加えて銀歯と呼ばれる金属の被せもので3000円ほどです。自由診療になると土台が約1~3万円、被せものは素材によって約5~20万円と費用に幅があります。
3.虫歯の治療費が払えない場合はどうすれば良い?
3-1.虫歯はそのままにしていても治らない
一度進行してしまった虫歯は、痛みのあるなしにかかわらず、自然に治ることはありません。重度になると処置も大がかりになり治療費も膨らんでしまうため、虫歯に気づいたら早めに受診した方が費用も通院期間も少なくて済みます。
また、虫歯が恐ろしいのは、その影響がお口のなかだけにとどまらないことです。虫歯菌が神経に達すると、神経の血管から全身を巡ります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞、腎臓病といった疾患の引き金にもなりかねないため、きちんと治療することが大切です。
3-2.どうしても行けない場合は虫歯の痛みを抑えよう
仕事やプライベートで忙しく、すぐには受診できない場合、応急処置として痛みを抑える方法を試してみましょう。
・痛んでいる歯から食べかすや汚れを取る
歯にものが挟まって圧迫されているときは、歯ブラシやデンタルピック、デンタルフロスなどでやさしく取ります。
・頬を冷やす
氷のうをタオルで包んだものや氷水で冷やしたタオルを頬にあてて冷やします。発熱時の冷却シートを使ってもいいでしょう。氷や冷たい水を直接口に含むのは、敏感になっている神経を刺激してしまいます。
・鎮痛剤を飲む
市販の鎮痛剤は虫歯の痛みの緩和も期待できます。服用の際には薬剤師の指示や注意書きに従い、用法・用量を守って服用してください。
3-3.医療費を軽減する制度やクレジットカードを利用できる場合もある
治療費が気になり、歯医者さんに行けずにいる方へ、医療費にかんする制度をいくつかご紹介します。
・無料低額診療制度
低所得者や生活に困窮している方で一定の基準にあてはまる場合は、無料低額診療を利用することができます。ただし、あくまで一時的な措置のため受診できる期間は限られます。また、利用するための手続きを経て、この制度に対応している歯医者さんを受診する必要があります。
・医療費控除
1年間の医療費総額が、10万円もしくは年間所得金額の5%のうちどちらか少ない方を超えた場合、超えた金額を総所得金額から控除することができます。生計をともにしている家族がいるときは、医療費を合算することができるほか、通院にかかった交通費も対象になります。美容目的の治療の場合は、対象外となります。
・高額療養費制度
1カ月の医療費が限度額を超えた場合、超えた分の金額が支給される制度です。限度額は所得区分によって設定されています。
また、保険診療でもクレジットカード払いに対応している歯医者さんがあります。分割やリボ払いが可能なケースもありますので、気になる方は探してみてください。
4.まとめ
虫歯の治療費についての目安や制度についてまとめてきました。虫歯の進行とともに治療費は高額になり、被せものや詰めものは素材によって金額が変わります。虫歯は自然に治るものではないため、費用面だけでなく歯のためにも、早めの受診をおすすめします。また、医療費にかんする制度もありますので、一度確認してみるのもいいでしょう。
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監修医
小川 隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る
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