喫煙と歯周病の関係とは?影響や治療方法、禁煙の与える効果をご紹介

    歯周病 喫煙

    タバコが歯周病のリスクにも関係があるということはご存じですか?喫煙者で歯ぐきやお口に違和感がある場合、歯周病である可能性も考慮した方がよいでしょう。

    タバコがどう歯周病に影響するのか、加熱式タバコもリスクはあるのか、禁煙が歯周病治療に効果があるかどうかに関してもまとめています。喫煙者で歯周病を心配される方は、この記事をどうぞ参考ください。

    この記事の目次

    1.喫煙と歯周病の関係とは?

    1-1.喫煙は歯周病リスクを高める

    私達の歯は歯茎や骨、歯根膜などの歯周組織によって支えられています。

    歯周病とは、プラークと呼ばれる歯垢がこれらの歯周組織に炎症を起こして、最悪の場合歯を喪失してしまう病気です。

    喫煙者はタバコを吸わない人よりも、歯周病にかかりやすいと言われています。

    タバコにはニコチン、タール、一酸化炭素をはじめとした約200種類以上もの有害物質が含まれています。

    これらの有害物質が歯周組織や私たちの体に影響を与えるため、喫煙を続けていると歯周病にかかりやすくなるのです。

     

    1-2.加熱式タバコも歯周病のリスクはある?

    加熱式タバコは通常の紙巻きタバコと比較をすると、タールなどの有害物質の量は少なくなっており、燃焼させないため一酸化炭素は発生しません。

    しかし、加熱式タバコにもニコチンやその他の有害物質が含まれます。現状では歯周病との関係性はまだ研究段階であり、しっかりとしたエビデンスが取れてはいませんが、歯周病のリスクへの関連性があると考えられています。

     

    歯周病 喫煙

    2.喫煙が歯周病に与える3つの影響

    2-1.歯周病菌にかかりやすくする

    タバコに含まれるニコチンには、血管収縮作用と免疫機能を下げる作用があります。

    血管収縮作用によって血流が悪くなることで、歯ぐきに必要な酸素や栄養素が届かなくなり、口腔内が歯周病菌の繁殖しやすい環境となります。

    さらに免疫機能の低下によって細菌に対する抗体も減少しているので、歯周病にかかりやすくなるのです。

    また、一酸化炭素もニコチンと同様に免疫力を低下させる作用があります。タールは発がん性があることでも知られていますが、唾液の分泌量を減らしたり、歯の表面に沈着したりする特徴があります。そのため、歯周病を引き起こす原因となる歯垢や歯石がつきやすくなります。

     

    2-2.歯周病に気づきにくくする

    歯周病の症状の一つである「歯ぐきからの出血」によって、歯周病に気づく人もいます。

    しかし、喫煙者の場合はニコチンの「毛細血管収縮作用」で血流が悪くなり、タールの「抗炎症作用」で炎症が抑えられるため、歯ぐきからの出血や腫れの症状が出にくいです。

    歯周病が進行するまで自覚症状の現れない人もいるため、重症化してから気づくことも少なくありません。

     

    2-3.治療に時間がかかるようになる

    タバコを吸う人は歯周病になりやすいだけでなく、タバコを吸わない人よりも治りが遅いと言われています。

    タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素、タールなどの有害物質によって免疫力の低下、唾液の減少が引き起こされ、プラークが付着しやすくなる環境にもなるため、非喫煙者より治りづらくなるのです。喫煙を続けている限り、歯ぐきの状態は悪いままとなるので、治療をしても十分な効果が見込めない場合も多いです。

    多少症状は良くなるかもしれませんが、しっかりと歯周病を治療するには、原因となるタバコを止めることが大切になってくるようです。

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    3.歯周病の治療方法と禁煙の効果

    3-1.歯周病の治療方法

    歯周病の治療は、歯医者さんで歯周病の進行度合いを検診したのち、治療計画を立てて行っていきます。

    歯周病治療では原因を除去するために、日頃の歯磨きがかかせません。

    歯医者さんでは、患者さん自身でしっかりとプラークを除去できるよう、正しい歯磨きのやり方を指導してくれます。

    歯磨きによって歯ぐきの炎症が落ち着いてくると、歯医者さんで歯石除去も行いやすいです。

    しっかりと歯石除去が行えると細菌が減り歯ぐきが引き締るので、歯周病の改善が期待できます。

    歯の咬み合わせが悪いと歯垢が溜まりやすく、歯周病が再発する原因にもなるので、歯医者さんでは歯の咬み合わせチェックも行っています。

    必要な場合は歯を削ったり、抜歯したりして咬み合わせを調整することもあるようです。

    上記の方法でも歯周病の状態が改善されない場合は、外科治療が行われることもあります。

     

    3-2.歯周病治療に禁煙が与える効果

    禁煙すると歯ぐきの状態改善が期待できます。

    時間はかかりますが、喫煙によって黒ずんでいた状態からも、だんだんと健康的な色に変化をしてくるでしょう。

    禁煙を行うと歯ぐきの健康状態が改善されるだけでなく、喫煙によって低下していた免疫力も戻ってきます。

    その結果、歯周病治療の効果も現れやすくなり、歯周病も改善に向かっていきます。

    歯周病が進行をしているケースでも禁煙は効果的だと言われていますので、歯医者さんで禁煙をすすめられることが多いようです。

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    4.歯周病以外に喫煙が与える口腔内への影響

    4-1.歯や歯茎が黒くなる

    通常人間の歯は白く歯茎はピンク色をしていますが、喫煙者の場合は歯が黄色~黒色に、歯茎は黒色に色素沈着をしていることが多いです。

    変色の原因は、タバコに含まれるタールやニコチンといった有害物質となります。

    タールが付着をすることで黒く見えるだけでなく、ニコチンによって血流が悪くなることも歯ぐきの変色に影響を与えるようです。

     

    4-2.他の人にもわかる程、口が臭くなる

    タバコには、アンモニアやスカトールといった悪臭成分が含まれています。

    これらの成分は糞尿の臭い成分と同じものですので、とても臭いです。

    喫煙をすると口が臭くなり、中には非喫煙者からすると耐えられないほどの口臭を漂わせる人もいます。

     

    4-3.虫歯が発生しやすくなる

    喫煙者は、虫歯にもなりやすいと言われています。

    タバコに含まれるタールが、虫歯の原因となるプラーク(歯垢)を付着しやすくするためです。

    また、ニコチンやタールが口腔内の粘膜に吸収されたり、血管が収縮したりすることで唾液の分泌も減るので、細菌を洗い流す自浄作用も低下します。

    その結果、口内にプラークが付着しやすく、細菌が流れにくくなる環境となるため、虫歯ができやすくなるのです。

     

    4-4.ガンになる恐れがある

    口腔内で発生するがんには、舌がん、頬粘膜がん、歯肉がん、咽頭がんなどがあります。

    これらのがんは、タバコを吸っているとさらに発生しやすいです。

    タバコには何百といった有害物質が含まれており、直接それらを吸い込む口内が影響を受けやすくなります。

    口腔内のがんは気づきにくく、気づいた頃には体に転移をしていることもあるようです。

     

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    5.まとめ

    喫煙を続けていると歯周病になりやすいのですが、症状がでにくいため自分では発症に気づかない場合もあります。

    不安なら、定期的に歯医者さんでの検診がおすすめです。

    歯周病は見つかって治療を始めても、喫煙を続けている限り治りにくいとも言われています。

    症状をしっかりと改善させるためにも、歯医者さんから禁煙をすすめられることが多いでしょう。

    タバコは歯周病に限らず、体にさまざまな影響を与えます。

    お口をはじめとした体の健康のためにも、禁煙の検討をおすすめします。

    一人で禁煙が難しいと考える場合は、禁煙治療をしている医療機関に相談をしてみるのも良いでしょう。

     

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    監修医

    小川 隆介先生

    後楽園デンタルオフィス 院長

    経歴

    2005年 日本歯科大学 卒業
    2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
    2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
    2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
    現在に至る

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