歯周病と糖尿病の関係とは?影響を与える流れや治療で改善できる理由

    歯周病 糖尿

    歯周病と糖尿病が関係していると聞いて、驚いたことがある人もいるのではないでしょうか?

    実はこれらの病気は、お互いに影響を与えあっているとされています。

    この記事では、そんな歯周病と糖尿病がいったいどのように関係をしているのか、影響し合う流れ、歯周病治療によって糖尿病にどんな影響があるかをまとめています。

    歯周病以外に糖尿病と関係があるお口の病気も掲載しているので、歯周病でお悩みの方や糖尿病との関係性が気になる方は、ぜひご覧ください。

    この記事の目次

    1.歯周病と糖尿病はどんな関係?

    1-1.歯周病の症状や原因とは

    歯周病は、細菌感染によって起こる口腔内の病気です。

    歯茎が腫れる、歯磨きすると出血する、口がネバネバする、口臭がするなどの症状が見られます。

    最悪の場合、歯茎や骨が壊れて支えられなくなり、歯を失うこともあります。

    歯周病の原因はプラーク(歯垢)と呼ばれる細菌のかたまりで、億を超える細菌が棲んでいると言われています。

    その中に、歯周病を引き起こすとされる歯周病菌もいます。

    ブラッシング不足、糖分の過剰摂取といったプラークが溜まりやすい生活のほか、喫煙やストレスも歯周病になりやすくなる恐れがあります。

     

    1-2.糖尿病の症状や原因とは

    糖尿病とは、「インスリン」の分泌量や働きが不十分となることで起こる病気です。

    膵臓から分泌されるインスリンには、血液中の糖を一定に抑える働きがあります。

    しかしインスリンの分泌量が足りなかったり、働きが不十分であったりすると、血糖値が上がってしまうのです。

    血糖値の高い状態を放っておくと血管を傷つけることにつながり、心臓や腎臓、目、神経などの病気を引き起こす恐れがあります。

    また糖尿病には、のどが渇く、おしっこの回数が増える、体重が減る、疲れやすいなどの症状が見られます。

    痛みがないので症状に気づきにくく、定期検診や合併症を引き起こしたときに、初めて自分が糖尿病であると気づく人もいるようです。

     

    1-3.歯周病と糖尿病の関係

    二つの病気は、お互い密接に関係しています。

    歯周病は第6の糖尿病合併症であると言われるほど、糖尿病の人がかかりやすい病気の一つです。

    一方歯周病の人は症状が悪化すると、血糖コントロールに影響を与えるため、糖尿病につながったり、症状を悪化させたりする恐れがあると考えられています。

    それぞれを治療することで、もう一方の症状が改善されることも期待できると言われています。

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    2.それぞれに与える影響

    2-1.歯周病から糖尿病になる流れ

    歯周病は下記の流れで糖尿病につながると言われています。

    1.歯周病になると、炎症性物質の「TNF-α」が多くつくられるようになります。

    2.TNF-αが増えることによって、インスリンの働きが抑えられてしまいます。

    3.インスリンの働きが不十分になると、血糖コントロールができなくなり、高血糖につながる恐れがあります。

    4.高血糖状態が続くことで糖尿病につながったり、すでに発症をしている場合は、症状の悪化につながったりすることもあります。

     

    2-2.糖尿病から歯周病になる流れ

    糖尿病は下記の流れで、歯周病につながると言われています。

    1.糖尿病の人はインスリンの働きが不十分であるので、高血糖状態となります。

    2.高血糖状態となると唾液の量が減り、口が渇きやすくなります。

    3.口が渇くと、免疫をつかさどっている白血球の機能が低下します。

    4.白血球の機能が下がることで歯周病菌にかかりやすくなったり、すでに発症をしている場合は症状の悪化を招いたりすることもあります。

     

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    3.歯周病治療がもたらす影響

    3-1.歯周病の治療方法

    歯周病の治療は歯医者さんでの歯石除去や、患者さん自身で行う正しい歯磨きによるプラークコントロールが基本となります。

    必要に応じて、歯のかみ合わせ調整や抜歯が行われることもあります。

    上記の治療方法で改善が見られない場合は、外科治療での手術が行われます。

     

    3-2.歯周病の治療で糖尿病の改善が期待できる理由

    歯周病治療によって、血糖値コントロールの状態がよくなったというケースもあるようです。

    歯周病の治療を行うことで、インスリンの働きを抑制していたTNF-α(炎症性物質)の量が低下するため、治療前よりもコントロールがよくなります。

    その結果、糖尿病の改善にもつながることが期待されるようです。

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    4.歯周病以外の口腔内症状と糖尿病

    4-1.口腔カンジダ症との関係

    糖尿病と関連のあるお口の症状の一つに、口腔カンジダ症があります。

    口腔カンジダ症は「カンジダ・アルビカンス」と呼ばれる、真菌(カビ)の一種が引き起こす感染症です。

    口の粘膜に白いぶつぶつが現れる特徴をもち、痛みや味覚障害の症状がでる場合もあります。

    カンジダは私たちの体に常在している菌で、普段は悪さをすることがありません。

    ただし免疫力が低下すると、カンジダが増えやすくなります。

    糖尿病の患者さんは免疫力が低下しているため、口腔カンジダ症にかかりやすくなるようです。

     

    4-2.口腔乾燥症との関係

    口腔乾燥症とは、水分の摂取不足や水分の大量喪失といった原因によって、唾液の分泌量が低下し口の中が渇いてしまう病気です。

    糖尿病の患者さんは、多尿の症状が現れた場合に水分が大量喪失されるため、口腔乾燥症が引き起こされると言われています。

     

    4-3.味覚異常との関係

    糖尿病治療で使われる薬剤によって、味覚異常が現れることもあるようです。

    薬が亜鉛の代謝に影響することで、味覚の症状がでると考えられています。多くのケースでは治療が終わって薬を飲まなくなると、味覚は徐々に戻ってくるそうです。ただし、改善には時間がかかると言われています。

     

    4-4.お口の臭いとの関係

    糖尿病の患者さんには、口臭の症状が現れる人も少なくありません。

    発症すると糖のコントロールが難しくなるため、代わりに脂肪を分解吸収してエネルギーとして使うことがあります。

    そして脂肪を分解する際には、ケトン体と呼ばれる物質が必要となります。

    ケトン体の主成分は、甘酸っぱい臭いがする「アセトン」であり、これが口臭を引き起こす原因となるようです。

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    5.まとめ

    歯周病と糖尿病は、互いに関係する病気です。

    どちらかの症状があると、もう片方の病気の発症や進行に影響を与える恐れがあります。

    自分が歯周病もしくは糖尿病である場合、もう片方の病気にかかっていないか、定期的にチェックを行うとよいでしょう。

    また、糖尿病の患者さんが歯周病を発症しているときには、糖尿病の状態によっては歯医者さんだけで治療の判断が難しいこともあるようです。

    そのようなときには、糖尿病治療を行ってくれている主治医の先生に、相談が必要となるケースもあります。

    もし自分に歯周病の疑いがあれば、まずは一度歯医者さんの受診を検討してみてください。受診時には、糖尿病の治療中であることを伝えるとよいでしょう。

     

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    監修医

    小川 隆介先生

    後楽園デンタルオフィス 院長

    経歴

    2005年 日本歯科大学 卒業
    2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
    2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
    2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
    現在に至る

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