「口を開けると顎が痛い」「口を開くと顎から音がする」「口が開けづらい」という症状があると不安に思うのではないでしょうか。顎の痛みには、顎関節症のほかにも別の病気が潜んでいる場合があります。
この記事では、顎の痛みが起こる原因や自身でできるケア方法、病気別の治療方法などを記載しています。また、治療にかかるおおよその費用も掲載していますので、顎の痛みで悩んでいる方は参考にしてみてください。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.口を開けて痛いときに考えられる病気と原因
1-1.顎関節症の疑いがある
お口を開けるときに痛みと同時に顎が「カクカク」と鳴ったり、開閉がうまくできなかったりする場合には、顎関節症の恐れがあります。原因は多岐に渡り、歯ぎしりや噛みあわせの異常をはじめ、無意識に食いしばってしまう癖なども顎関節症を誘発する要因につながりやすいです。そのほか精神的なストレスや姿勢なども関連している可能性があるため、まずは原因の特定をすることが大切です。
1-2.親知らずによる痛み
親知らずはお口のなかでもっとも奥に生える歯ですが、親知らずの炎症がのどや顎の関節あたりまで広がった場合、顎に痛みが生じることがあります。また、ひとつ手前の第二大臼歯の方に向いて親知らずが生えている場合、噛みあわせのズレが顎の痛みにつながることがあります。そのほか、噛みあわせになる歯がない親知らずが伸びて顎の動きを邪魔してしまい、結果痛みが生じて口を開けにくくなることもあります。
1-3.口腔がんの恐れも
口腔がんはお口のなかにできる悪性の腫瘍で、舌がんや歯肉がんなどが該当します。症状が進行するにつれて、お口の開閉がしづらくなったり痛みを感じたりすることがあります。口内炎と似たような症状もありますが、お口のしこりが2週間過ぎても治らないときには、医療機関で検査することをおすすめします。
1-4.そのほかの原因
口を開けると顎が痛い原因としてそのほかに考えられる疾患は、顔に突発的な痛みが生じる三叉神経痛(さんさしんけいつう)や、赤みを帯びた小さな水ぶくれが現れる帯状疱疹(たいじょうほうしん)、細菌やアレルギーが要因となって起こる唾液腺炎(だえきせんえん)などがあります。早期発見・治療が大事なので、顎の痛みがある場合はそのままにせず、医療機関へ相談しましょう。
2.顎の痛みはどの科を受診?治療方法やおおよその費用
2-1.どの科を受診すべき?
口を開けると顎が痛い場合には、歯科口腔外科を取り扱っている医療機関に相談しましょう。歯科口腔外科では、顎関節症をはじめ口腔がんや親知らず、唾液性疾患などの治療にも対応しているため、悩みを相談する際にスムーズです。
2-2.顎関節症の場合
顎関節症の治療では、マッサージで筋肉や顎関節をほぐしたり、炎症の改善を目指し消炎鎮痛剤を使用したりします。また、スプリントと呼ばれるマウスピースを睡眠中に付けて顎への負担を軽減する治療のほか、歯並びに原因があるならば歯列の矯正をする場合もあります。
費用ですが、保険診療の場合、初診時に2,000円から3,000円、再診の際に1,000円前後、スプリントの作製に5,000円程度かかり、治療期間は平均2カ月から3カ月です。 歯列矯正による自由診療の場合は、使用する矯正装置によって大きく異なるため、55万円から100万円前後と幅があります。さらに施術期間や症状によっても変動するため、歯科医師と相談しながら自身にあう治療方法を検討しましょう。
2-3.そのほかの病気の場合
・親知らずの場合
親知らずに痛みがあったり腫れていたりする場合や、ほかの歯へ悪影響を及ぼしてる場合は抜歯が必要となり、基本的に保険が適用されます。費用については、3割負担の場合で検査代が4,000円前後、抜歯は生え方の状態によって1,500円くらいとなります。
・がんの場合
口腔がんに限らず、がんの治療は進行度やその方法によって大きく費用が異なるため、一概にいくらと断定することができません。詳しくは医療機関へご確認ください。
3.顎が痛いときに自身でできる対処法
3-1.顎の力を抜いて安静にする
気づかないうちに顎に力が入っているケースもあるため、食いしばりに気をつけて普段は上下の歯が接触しないよう意識することが大切です。柔らかめの食事をはじめ、唇を閉じたまま顎の力を抜くトレーニングもして顎をリラックスさせましょう。また、就寝時は仰向けで寝るようにしたり、良い姿勢を保つよう意識したりすることも大切です。
3-2.市販の痛み止めを飲む
顎の痛みが強く食事ができないといった場合は、市販の鎮痛剤を服用して体への負担を軽減する方法もあります。とはいえ、痛み止めは原因を根本的に治療するものではないので、あくまでも一時的な対処法として使用し、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
3-3.マッサージや患部をあたためる
顎の周りに疲れや痛みなどがある場合は、血液の循環を円滑にするために頬の筋肉をマッサージすることがおすすめです。また急性の痛みは患部を冷やし、慢性的な症状は患部を温湿布やタオルなどであたためて顎をいたわりましょう。ただし、原因によっては痛みが増す場合もあるので注意が必要です。
4.まとめ
口を開けると顎が痛い場合に考えられる疾患や原因、治療方法や費用などについて紹介してきました。急な痛みに見舞われた際には、自身でできる対処法を参考に顎を安静にすることを心がけましょう。慢性的な痛みに悩んでいる方は、できるだけ早く歯科口腔外科を受診して、原因を調べたうえで治療をおこなうことが大切です。
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監修医
遠藤 三樹夫先生
遠藤歯科クリニック 院長
経歴
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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