顎の痛みで病院へ行くべき?原因やどの科を受診するのが良いか紹介

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女性 顎 痛い

「顎の痛みで病院に行くべき?」「そもそもどの科を受診すれば良いのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では顎に痛みがある場合にどの科を受診するのが良いのかをはじめ、考えられる病気や原因、対処方法などを紹介しています。
顎の痛みで歯医者さんに行こうと考えている方はぜひこの記事を読んでみてください。

この記事の目次

1.顎に痛みが出る病気と原因

1-1.顎関節症の症状と原因

顎関節症とは顎の関節周囲の筋肉や関節の軟骨、関節そのものに異常が生じ、痛みなどを引き起こす疾患です。
「顎が痛い」「口が開かない」「顎を動かすことで音が鳴る」という3つが代表的な症状として見られます。

原因はさまざまで、これと言い切ることは難しいのが現状です。
生まれつきの関節の弱さや噛みあわせの悪さ、スポーツなどでの外部からの衝撃、また、ストレスや不安といった心の問題など複数の要因が重なり合って発症することが多いです。

 

1-2.虫歯や親知らずが原因

根尖性歯周炎

顎の痛みには、虫歯が関与している場合があります。虫歯が悪化すると、根尖性歯周炎という状態になります。
これは細菌によって、歯の根もと周辺の組織が炎症を起こす疾患です。
もし奥歯が虫歯になって根尖性歯周炎になった場合、痛いのは歯なのですが顎の痛みと勘違いしてしまうことがあります。
症状が進行して虫歯菌が神経を殺してしまうと、痛みを感じなくなります。
その状態でさらに治療せずにいると、歯を支える歯槽骨に虫歯菌が侵入し、顎の痛みにつながる危険性があります。
顎周囲が大きく腫れる、口臭がきつくなるといった症状も出ます。

智歯周囲炎

親知らずが原因でなる智歯周囲炎という疾患も顎の痛みにつながります。
親知らずは最後に生えてくるため、斜めに生える、半分近く埋まったままになるなど、異常な生え方をすることがあります。
この状態では上手に歯を磨くことができず、歯垢がたまりやすくなります。
歯垢がたまると細菌が繁殖しやすくなるため、智歯周囲炎という親知らず特有の症状を引き起こす原因となります。
歯肉が炎症を起こし、進行すると膿が出たり、顎の下のリンパ腺や扁桃腺が腫たりして、顎の痛みにつながることもあります。

女性 虫歯 痛い

1-3.そのほかの病気によるもの

神経障害性疼痛

こめかみから顎にかけて分布する三叉神経に異常がおこる三叉神経痛では、電撃を受けたような痛みを感じることがあります。
頭蓋骨の中で血管や腫瘍などで圧迫されることで生じ、顎周囲に痛みが出るので、顎の痛みと勘違いしてしまいます。

三叉神経に沿って発疹が出てくる帯状疱疹でも顎の痛みとして感じてることがあります。
原因はウイルス感染によるものなのですが、顎周囲に出るため歯医者さんに行ってしまう方も多いようです。

いずれの場合も神経障害によるものなので、歯医者さんでは治療が難しい場合があります。このような場合は神経内科の受診をおすすめします。

ストレスや精神疾患によるもの

精神的なストレスが原因で顎周囲に痛みを感じる場合があります。
うつ病や不安障害など、思いあたる節がある場合は心療内科で相談してみてください。

心臓疾患によるもの

心臓病、心筋梗塞や狭心症がある場合にもその疾患に関連した痛みが下顎に出る場合があり、注意が必要です。
この場合、早めの治療が必要な恐れもあるので循環器内科に相談しましょう。

2.顎関節症は治るのか

2-1.症状が改善していく可能性はある

顎関節症は食いしばる、歯ぎしりをするなどの日常生活での行動が原因となることがほとんどです。
問題となる行動を改善する、薬を服用するなどで自然に改善すると言われています。
まずは歯医者さんの指示にしたがい、マウスピースを使用したり、薬を服用したりするなどの治療をおこないましょう。
状態にあわせた治療で自然と改善する場合があります。

難しいのが、顎の状態が軽症なのか重症なのかを事前に判断することです。
違和感や痛みがないかを定期的に歯医者さんでチェックして、悪化を防ぐ必要があります。
定期的なチェックをしながら治療をすることで、痛みや違和感といった症状も改善していく場合があります。

顎関節症の治療をおこなっていく中で、痛みなどが持続して過剰な不安を抱くと、うつ病といった疾患を併発することがあります。
このうつ病であったり、線維筋痛症などの疾患を合併していると難治性の顎関節症と呼ばれる状態になることもあります。
こういった状態になると、薬や生活指導、理学療法といったセルフケアだけでなく歯医者さんでの治療も作用しにくい状態となります。
こうなることを防ぐためにも、定期的な歯医者さんでのチェックが必要です。

マウスピース

2-2.自宅でできることは?

顎関節症が疑われるけど、なかなか歯医者さんに行けないという方も多いでしょう。
そんな方でも、家庭でできる対処方法もありますので紹介します。

アイシング

顎のアイシングは、急性の痛みを落ち着かせることが期待できます。
特に何もしなくても痛いような場合、炎症が疑われるためアイシングで血流を滞らせることで痛みの軽減が期待できます。

食生活の改善

痛みがある場合、顎への負担となる行動は控えましょう。
具体的には片方でばかり噛まない、硬いものを食べない、大きく口を開けないといったように注意しましょう。

マッサージ

顎周囲の筋肉が固くなると、それが原因で顎周囲に痛みが出てしまうことがあります。
側頭部やこめかみ、首の前側といった筋肉をやさしくマッサージすることで痛みの緩和が期待できます。

温湿布

特に筋肉の痛みが慢性的に続いている場合、温湿布が良い場合があります。
ただし、痛みが増す場合には中止しましょう。

 

2-3.治療しない場合はどうなる?

顎関節症は前述した通り、自然に改善する可能性がありますが、異変をそのままにすると重症化する恐れがあります。
重症化した場合、顎周囲のみだけでなく、全身に症状が出てしまう危険性があります。

具体的にはめまい、頭痛、耳や目・鼻の痛み、腰痛などの症状が出ることがあります。
慢性化してしまった場合、脳に異常がでる場合もあり、痛みがなかなか取れないだけでなく、うつ病や不安症といった疾患にもつながる恐れがあります。
顎に異常を感じた場合は、早めに歯医者さんを受診することをおすすめします。

3.顎関節症はどの科を受診?診断の仕方や治療方法も紹介

3-1.そもそもどの科を受診すべきか

顎関節症は歯科の代表的な疾患です。
まずは歯医者さんを受診して、顎関節症かどうかを判断してもらいましょう。
もし違った場合にはどこを受診すべきか歯医者さんに判断を仰いでみてください。

歯医者

3-2.顎関節症を診断するための検査

「顎が痛い」「口を開くことができない」「口を動かすと音がなる」の3つのうち1つでも当てはまり、顎や歯以外の疾患がなかった場合、顎関節症と診断されます。
検査として、問診や触診・視診・噛みあわせの検査、画像診断などをおこないます。

問診

どういったことに困っているのかを患者さんから聞き取り、口が開かない、噛むと痛いなど顎関節症特有の症状が出ているかどうか確認します。

視診

顔の形や姿勢など全体を診て顎の状態を確認する方法です。

触診

筋肉や顎周囲の関節を実際に触って、筋肉や顎の動きを診ていきます。

噛みあわせ

実際に噛むことでお口の中で悪影響がないか、一部だけ磨耗していないかなどをチェックします。

画像診断

エックス線検査やMRI検査で顎の骨や関節軟骨に変形などの異常がないか確認します。
また、MRIやCTでは顎関節症以外での痛みを除外するために、顎以外の部分に異常がないかも診ていきます。

 

3-3.治療方法を紹介

顎関節症の治療では、できるだけ削る、被せ物をするといった方法を選択しないということが重要になります。
その方法で症状の改善が得られなかった場合、元に戻せないことがあるためです。
具体的な内容としては、以下の通りです。

マウスピース/スプリント

装具を使って顎の支えを作る治療です。
筋肉の過緊張や顎のズレが見られる方に働きが期待できます。

理学療法

筋肉を柔らかくすることや、顎の動きを引き出すことで顎関節症の症状を和らげる目的でおこないます。
マッサージやホットパック、低周波治療器による電気刺激を使った物理療法と、下顎可動化訓練や筋力増強訓練、ストレッチといった運動療法があります。
特に筋肉の過緊張が見られている方や顎をうまく開けないといった症状がある方におこないます。

薬物療法

消炎鎮痛剤やステロイド、筋弛緩剤などの薬物を使用して痛みの緩和を図る治療です。
特に痛みが強い方は一時的に痛みを緩和する目的でおこないます。

4.まとめ

顎周囲の痛みが出る原因と考えられる疾患、治療方法について紹介しました。
顎に出る痛みは原因がさまざまで、診断が難しいようです。
自然に改善することも多いですが、重大な疾患が隠れている場合もあるので痛みが続くようでしたら一度歯医者さんで診てもらいましょう。
病院にすぐに行くことが難しい場合は、自宅でできる対処法も参考にしてみてください。

【監修医 松岡浩司先生のコメント】

顎の痛みに自覚する原因がなければ、ガンなど重篤なことにもなりかねません。自己判断はせずに歯医者さんでご相談ください。

 

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監修医

松岡 浩司先生

松岡歯科クリニック 院長

経歴

1986年 日本歯科大学 卒業
1988年 パール歯科医院 勤務
1995年 松岡歯科クリニック 院長就任
現在に至る

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