鼻血や鼻詰まりが続くのは上顎洞癌の恐れも?症状や治療方法を解説

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上顎洞癌

「風邪でもないのに鼻水・鼻詰まりが続いている」「何も刺激していないのに鼻血が出る」「虫歯もないのに歯が痛い」といった症状で不安になる方もいるのではないでしょうか。もしかしたら、これらの症状は上顎洞癌の恐れもあります。ここでは、体に表れる症状や上顎洞癌の治療について掲載しているので、少しでも思いあたることがある方は一度確認してみてください。

この記事の目次

1.上顎洞癌の症状は?

1-1.初期段階の症状

上顎洞とは鼻周りの空洞の一種で、上顎洞は鼻の両脇にある部分です。上顎洞は上顎骨という顔の上半分にある骨に囲まれているので、癌が上顎洞内にのみある初期状態には、症状を感じない方が多いようです。しかし、ときには副鼻腔炎のような鼻詰まり、膿、出血などの症状が出るケースもあります。

 

1-2.お口の中に現れる症状

上顎洞癌になった方のうち、36%が初期症状として歯の痛みを感じているというデータがあります。上顎洞癌は口の中にも症状が現れやすい病気です。

また「上の歯茎が腫れてきた」といった症状や「口が開けにくい」といった開口障がいを示す方もいるので、気になる方は早めに歯医者さんへ相談してみましょう。

【引用】一般社団法人 日本口腔顔面痛学会 https://jorofacialpain.sakura.ne.jp/?page_id=3129#5

 

1-3.鼻に現れる症状

鼻腔付近にできた上顎洞癌では、鼻に症状が現れる患者さんもいます。
鼻の症状としては、嗅ぐとにおいのある膿のようなものが鼻から出てくる、鼻水と血が混じった鼻汁が出てくるといったものが挙げられます。

 

1-4.目に現れる症状

上顎洞癌が上の方の部位にある場合、目に症状が出る方もいます。

本やテレビの映像が二重になってみえる「複視」、目が飛び出したようになる「眼球突出」をはじめ、涙がこぼれやすいといった症状が出るケースもあります。

 

1-5.脳神経に現れる症状

上顎洞癌の進行が進むと、癌の範囲は上顎洞内だけにとどまらず、骨にも広がっていきます。

腫瘍が頭の骨にまで進行すると、脳神経にまで影響がおよび、顔面痛や頭痛を感じる方も少なくありません。

 

 上顎洞癌

2.上顎洞癌の治療方法

2-1.上顎洞癌の疑いがある場合はどの科を受診?

上顎洞癌の代表的な症状としては「歯の痛み」「目の出っ張りを感じる」「片方だけ鼻詰まりを感じる」「鼻血が出る」などが挙げられます。

上顎洞癌は、平面的なレントゲン撮影だけでは判断がつきにくいので、MRIやCTを使用した頭蓋骨を立体的にとらえる撮影が必要です。また確定診断には、腫瘍の一部の組織・細胞を採取し、顕微鏡で確認する病理検査もおこなわれます。

したがって、さまざまなレントゲン器材や検査機器を備えている医療機関で受診することをおすすめします。歯医者さんに相談する場合は、口腔癌に対応できる歯科口腔外科を選びましょう。

 

2-2.上顎洞癌の基本的な治療の流れ

上顎洞の周辺には、眼球をはじめとした重要な部位が入りくんでおり、かつ顔面という見た目の問題も加わるため、慎重に検討をしたうえで治療方法を決めていく必要があります。そのため、まずは薬によって腫瘍の縮小を図り、そのうえで手術をおこなっていく、といった方法が主に採用されています。

また近年では、「選択的動注化学療法併用放射線治療」という治療もおこなわれています。
この方法では、「大腿動脈」という太腿のあたりにある血管からカテーテルを挿入します。そこから直接抗癌薬を投与しつつ、並行して放射線治療を進めていきます。
そのため、手術によって顔の見た目に影響が出てしまうことを避けられます。

いずれも顔面を温存し、噛みあわせをはじめとした機能をできるだけ損なわないような治療方法を、医師とともに選択していきます。

 

上顎洞癌

3.まとめ

上顎洞癌はお口にも症状が出るケースがある病気で、おおよそ3分の1に「歯に痛みがある」といった症状が現れています。

初期の上顎洞癌では症状が現れない方も多いのですが、早期発見が脳神経への影響を抑えることにもつながります。上顎洞癌の治療は顔面に影響をおよぼす処置にもなるので、少しでも疑問を感じるときは、歯科口腔外科のある医療機関で受診してください。

 

【監修医 貝塚浩二先生のコメント】

口腔癌は特に舌癌が多いといっても、40年患者さん診て来たけど、癌であったことはまれです。
近年では慢性副鼻腔炎の患者が減少しているため、このがんを発症する人も少なくなってきています。

 

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監修医

貝塚 浩二先生

コージ歯科 院長

経歴

1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る

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