「気がついたら唇にできものができていた」なんて経験がある方、多いのではないでしょうか。さらに、痛みや腫れ、ひび割れなどがあると、食事が取りづらかったり話がしづらかったりと、日常生活に支障がでてしまうこともあります。
この記事では、唇にできものができる原因や考えられる病気、治療はどの科を受診すれば良いのかなどについて解説しています。唇のできものが気になり、不快に思っている方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
1.唇の病気、症状と原因
1-1.口角炎・口唇炎
口の端や唇に、かさつきやかゆみ、乾燥や出血などがある場合は、口角炎(こうかくえん)または口唇炎(こうしんえん)の恐れがあります。
お口のなかに起きる炎症のことを口内炎と呼ぶように、口角の皮膚に起きる炎症は口角炎、唇が炎症を起こしているものは口唇炎と呼ばれます。
体調不良や化粧品によるかぶれなど、原因は多岐にわたります。
自宅でおこなえるケアとして、唇を清潔に保ちできる限り患部を舐めないことのほか、乾燥を避けることも大切ですが、リップクリームが原因となる可能性もあるため、心配であれば医師に相談するのがいいでしょう。
また、ビタミンB2やB6、鉄分が不足すると口角炎が起こりやすくなると言われているので、不足しないよう食生活を見直すことも大切です。
なお、ほかの疾患という可能性もあるため、なかなか治らない場合は医療機関への受診をおすすめします。
1-2.口唇ヘルペス
小さな水ぶくれが唇やその周辺にできて、ピリピリとした痛みがある場合は口唇ヘルペスの可能性があります。
単純ヘルペスウイルスにより発生する感染症で、直接触れる以外にウイルスのついたタオルや食器からも感染するため、家族間で広まることが多いようです。
一度症状が落ち着いても、疲労や風邪によって身体の免疫力が落ちたときに、身体のなかのヘルペスウイルスが再活性化し再発することがあります。
症状がでたらできるだけ早めに医療機関で処置するのが望ましく、治療は内服タイプのものや外用薬の抗ヘルペスウイルス薬での対応となります。
人から人へ感染するため、症状がでている場合は人との接触や患部が触れるものの使い回しに十分注意しましょう。そのほか、患部に触れた手で目を触ると、角膜ヘルペスを引き起こす危険性があるので気をつけましょう。
1-3.そのほかに考えられる病気
単純な炎症であれば、比較的簡単な治療で済んでしまうことが多いですが、なかには重篤な病気がひそんでいることもあります。
たとえば下記のようなケースが挙げられます。
粘液嚢胞(ねんえきのうほう)
口のなかの唾液腺が唾液をうまく排出できずに、管のなかへ溜まっていることで起こる病気です。唇の内側にできる水ぶくれのような見た目をしたできものです。
治療は基本的に嚢胞部分を摘出する処置となります。
口唇がん
唇にできる悪性の腫瘍で、外側だけでなく内側の粘膜に症状があらわれることもあります。
自然に治ることはなく、早期発見が治療につながるため、唇に治りにくいできものがある場合は医療機関へ相談しましょう。
2.唇のできものは何科に相談したらいいの?
口唇炎や口角炎は、軽症であれば自然に落ち着いていきます。治りが遅い場合や、腫れ・かゆみが強い場合には無理をせず医療機関へ相談してください。
口唇ヘルペスが疑われる場合は、別の病気が隠れている場合や周囲の人に移してしまうリスクもあるため、まずは医療機関を受診するようにしましょう。
唇のできものであれば、皮膚科を受診するのがいいでしょう。また、症状によっては歯科口腔外科を扱っている歯医者さんや、耳鼻いんこう科でも対応しているので、かかりつけの病院か診療所がある場合はそちらへ相談しても問題ありません。
なお、口唇がんについては歯科口腔外科か耳鼻いんこう科の診療領域となります。
3.日常生活で唇にできものができないよう気をつけたいこと
3-1.唇への刺激を避ける
唇を噛むなど、刺激を与えたり傷ができたりすることで、炎症を引き起こすことがあります。傷は粘液嚢胞につながることもあり、原因が特定できた場合は、それを避けることが症状の改善と予防につながります。
3-2.生活習慣を整える
1-1で触れたようにビタミンB2やB6、鉄分が不足すると口角炎になりやすいと言われています。さらに、偏った食事や睡眠不足、ストレスの多い生活などが原因となり皮膚のカンジダ菌が口角炎を引き起こすことがあるため、バランスのいい食事と規則正しい生活習慣を意識しましょう。
3-3.唇の乾燥を防ぐ
唇が乾燥しあれてしまうと、トラブルの原因となることがあります。乾燥が気になるときは、リップクリームやワセリンを使用しましょう。
なお、乾燥しているときに唇を舐めたり、皮をむしったりすると逆効果です。舐めると一時的に水分で潤うような錯覚を起こしますが、唇の水分を蒸発させ乾燥を悪化させてしまいます。そのため、唇を舐める癖がある方はそれを意識して治すようにしましょう。
4.まとめ
唇にできものができる原因は、乾燥やウイルス、食生活や生活習慣の乱れなど多岐にわたります。そのため唇にできものができてしまったときは、症状に合わせた治療だけでなく、食事や生活パターンを整えるよう意識することも大切です。
重大な疾患が隠れているケースもありますので、「なかなか治りにくい唇のできものがある」「口だけの症状ではなく全身に不調がある」といった方は、自己判断はせず早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
参考サイト
舌がん・口腔がん 何科を受診すればいいの? | 日本耳鼻咽喉科学会
埼玉県皮膚科医会
ドクターコラム – 徳島県医師会Webサイト
【監修医 貝塚浩二先生のコメント】
唇は他の部位よりも角質層がうすいので、刺激よって荒れやすいので、できものができやすいし、場合によっては感染症や病気が潜んでいる、可能性があるので、早めに専門の診療科に受診しましょう。
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監修医
貝塚 浩二先生
コージ歯科 院長
経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る
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