歯医者さんでの感染リスクとは?衛生管理への考え・行っていることをまとめました

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    「歯医者さんは感染症にかかりやすい?」「歯医者さんで行われる感染予防対策って?」そんな疑問をお持ちの方、多いのではないでしょうか。

    新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、感染予防について改めて考えるようになった方もいるかと思います。

    こちらの記事では、歯医者さんへ通院することによる感染リスクや具体的な感染予防対策例、衛生管理に対する考え方を紹介しています。

     

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    この記事の目次

    1.なぜ歯医者さんは感染リスクが高いと言われるのか?

    1-1.歯科医師と患者さんの距離、待合室での距離

    歯医者さんでは、通常お口をあけながら直接口腔内に触れて治療を行います。そのため、患者さんの血液や粘膜に直接触れる機会が多く、濃厚接触を避けることが難しい環境です。

    また、歯医者さんに限らないことですが、待合室に十分なスペースが設けられていない場合、患者さん同士の距離が近かったり、換気等が難しい密閉された空間であったりすることが、患者さん間での感染拡大につながる可能性を高めてしまいます。

    1-2.治療中に飛沫が飛ぶ

    虫歯を削るときに使用するタービンや歯石を削るスケーラーといった器具は、たくさんの空気と水を活用します。
    そのため、削りカスが発生すると周囲に飛散してしまいます。飛沫には血液や唾液などが混ざることがあるので、血液や唾液に存在している細菌も一緒に飛散されることとなります。

    1-3.治療器具の管理も重要

    歯科治療により発生した削りカス・唾液・血液は、治療中に飛散するだけでなく治療に使用する器具へ付着し、その結果間接的に細菌に触れてしまうことがあります。器具の消毒や滅菌処理が不十分だった場合、患者さん間で感染が引き起こる危険性を持ちます。
    そのため、使用後は患者さんごとに滅菌処理をしたり、使い捨てできるものは使い捨てのものを採用したりと、清潔に保つようにしています。

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    このような危険性に対し、感染を抑えるために具体的にどのような策がとられているか、「2.歯医者さんで行われている衛生管理の例」で詳しくお話していきます。

    2.歯医者さんで行われている衛生管理の例

    ※この章の内容は、あくまで例として取り上げています。歯科医院ごとに設備や対策が異なりますのでご承知おきください。

    2-1.歯科診療に関わる人の感染予防

    歯科医師や歯科衛生士など、歯科診療に関わる人たちへの感染を防ぐことを目的としています。

    診療を行った後や患者さんの口腔内に触れた後は手洗い・エタノール消毒を徹底して行うこと、また、あらかじめグローブやマスク、エプロン、アイシールド・フェイスガード等を着用することが挙げられます。

    2-2.歯科診療で使う器具の衛生管理

    治療で使用する器具は、洗浄(汚れや血液などの除去・表面に付着している汚れ取り)・消毒(器具に付着している菌の増殖抑制・除去)・滅菌(器具に付着している全微生物の死滅・除去)の処理を行うことが大切になります。

    滅菌後の保管については、滅菌パックなどといった清潔な環境のなかに包装して保管することで再汚染の防止へつなげています。

    2-3.診療室・待合室など、院内環境への配慮

    治療中に発生する飛沫を飛散させないよう口腔外バキュームを活用するほか、診療ユニット周りを拭いてきれいにすることで清潔な診療スペースの維持に努めます。

    また、飛散の拡散防止のために、診療ユニットごとにパーティションを設置したり、個室の診療スペースを採用したりしている歯医者さんもあります。

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    待合室では、定期的な換気、不特定多数の方が触れるドアノブなどの拭き取りや消毒が行われています。また、待合室の混雑を避けるために、予約時間を守ってもらうように呼びかけを行い、感染拡大防止につなげています。

    現在流行している新型コロナウイルス感染症に対する厚生労働省の考えや歯医者さんの取り組みなどに関してはこちらの記事にて詳しくとりあげていますので、参考にしてみてください。

    【関連記事】歯が痛いけれど、コロナが心配…歯医者さんの感染予防への取り組みは?

    3.感染予防に伴う衛生管理の考え方

    2章にて取り上げた取り組みは、「標準予防策(スタンダード・プリコーション)」「感染経路別予防策」と言った、感染予防策の考えに基づき行われています。

    4-1.標準予防策

    感染予防で大切になることは、感染経路を絶つことです。歯医者さんをはじめ、医療機関で基本的に考えられているものとして「標準予防策」の考え方があります。

    標準予防策とは、「自分がなにかしらの感染症にかかっていることを気づいていないまま診療にくる患者さんもいる」と考え、感染症の有無に関わらず全ての患者さんに対して行われる感染対策です。

    この考え方に基づき、汗を除く体液・分泌物・排泄物などの接触が予想される際には、手袋の着用や手洗いの実施、必要に応じてマスクやガウン、ゴーグルの着用を行っています。標準予防対策により医療従事者自身の感染を防ぎ、それが院内感染発生を予防することにもつながっています。

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    4-2.感染経路別予防策

    感染予防として、全ての人を対象に行う標準予防策に加えて行う考え方です。

    これは、感染性の高い特定の病原体の感染経路を遮断することを目的にしているため、標準予防策と併せて行われます。歯科診療としても関わりのある感染経路としては、空気感染・飛沫感染・接触感染が挙げられます。

    飛沫感染・・・咳やくしゃみ、会話などで生じる飛沫を浴びたり、吸い込んだりすることによる感染経路。歯科診療においては、虫歯で歯を削った際に飛び散ってしまう飛沫なども感染経路となります。

    空気感染・・・飛沫感染で想定されている飛沫より細かい粒子の水分が、全て蒸発して長時間空気中に拡散され、これらを吸い込むことによる感染経路。

    接触感染・・・皮膚や粘膜、傷などに対して直接的あるいはその間にある環境等を介した間接的な接触による感染経路。

    4-3.新型コロナウイルス感染症でよく耳にする「エアロゾル感染」って?

    新型コロナウイルス感染症により、その感染経路として「エアロゾル感染」という言葉をよく耳にするようになりました。
    「エアロゾル」とは、気体や液体中に、微小な液体や固体の微粒子が浮遊して広がっている状態を指します。微粒子の大きさはさまざまです。

    つまり、「エアロゾル感染」とは、空気中にただようこれらの粒子により感染してしまうことを指します。粒子の大きさにより、感染経路が「飛沫感染」と「空気感染」に分かれて定義されているので、「エアロゾル感染」はこれら二つを含んだものとも言えます。

    4.歯科医院のホームページで確認を

    新型コロナウイルスの流行に伴い、院内の衛生管理への取り組みをホームページに掲載している歯医者さんが増えています。受診の際は事前に公式のホームページを確認してみましょう。

    また、EPARK歯科では各歯科医院の新型コロナウイルス感染予防のための取り組みを掲載しています。周辺の歯医者さんをまとめて調べるのに便利です。

    ▼△EPARK歯科で歯医者さんの衛生管理を確認する△▼

    5.まとめ

    歯医者さんでの感染経路や感染予防に対する考え方、実際に行っている感染対策例などを紹介してきました。細菌はとても小さいため、肉眼で確認することはできません。だからこそ、医療機関は感染予防のためにさまざまな対策を行い、それを徹底することでリスク軽減に努めています。

    歯医者さんが取り組んでいる衛生管理を知る一方で、診療に行く際にマスクを着用したり、予約をしてから行くことで待合室にいる時間を短縮したりと、患者さん自身で感染しないようできる行動もあります。ひとりひとりの意識で感染拡大を抑えていきましょう。

     

    参考URL
    医療施設等における感染対策ガイドライン

     

    【監修医 松岡 浩司先生のコメント】

    この記事をご覧の皆さんは、様々な情報を入手してご心配で読まれているかと思います。

    歯科治療における新型コロナウイルスへの感染は、現在のところ確認されていませんが、日頃から医科歯科では感染予防対策は行われていますので、治療は放置をせず、かかりつけ歯科医師とも相談しつつ継続など必要な処置は行っていただきたいと思います。

    監修医

    松岡 浩司先生

    松岡歯科クリニック 院長

    経歴

    1986年 日本歯科大学 卒業
    1988年 パール歯科医院 勤務
    1995年 松岡歯科クリニック 院長就任
    現在に至る

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