「歯は白いのだけど、なんか違和感がある白かも?」なんてこと、ありませんか?かわいい子供の歯に、何が起こっているのか気になりますね。実は、黒くなくても虫歯の可能性があり、早めの対処が必要な場合もあります。
そこで、ここでは白いけど健康ではない場合の見分け方や対処法、家庭でできる治療法だけでなく、歯科医院でできる痛くない治療法についても紹介します。健康な白い歯を守るため、ぜひチェックしてくださいね。
この記事の目次
1.子供の歯が不自然に白くなる2つの原因
1-1 初期虫歯
乳白色や透明感のない白で周りと比べて違和感のある箇所はありませんか?虫歯は黒いというイメージがありますが、そうとは限りません。
お口の中は、食後に酸性になり歯が溶けて(脱灰)、酸性からアルカリ性に戻ると溶けた部分が修復される(再石灰化)というサイクルを繰り返しています。通常なら、このサイクルは正常に保たれていますが、再石灰化が追いつかなくなると虫歯になります。
歯が黒くなるのは、溶けた部分が柔らかくなり着色しやすくなるためで、永久歯に多くみられます。乳歯は白いままの虫歯も多くみられ、柔らかいということもあり、虫歯の進行が早いという特徴があります。年齢別になりやすい箇所を確認していきましょう。
・2歳ごろ 母乳虫歯や哺乳瓶虫歯と呼ばれる前歯の虫歯になりやすいです。
・3歳ごろ 奥歯も生えそろい、しっかり噛んでご飯を食べる子供が増える時期ですが、
臼歯は手入れがしにくく溝が虫歯になりやすいです。
・5歳ごろ おやつの種類も増え、歯と歯の隙間に挟まりやすく、虫歯の確率が上がります。
・6歳~ 6歳臼歯を始めとして、永久歯が多くなる時期です。生えたての永久歯は柔ら
かく虫歯になりやすいです。
1-2 歯石
前歯の裏側など、プラーク(歯垢)が残りやすい位置に、歯ではない白いものが付着していれば、歯石でしょう。唾液は、歯の再石灰化を促進しますが、プラークも再石灰化します。プラークが再石灰化したものを歯石といい、歯と同じように再石灰化されているため白いのです。
歯石はプラークが石化したものなので、細菌がたくさん住んでいることから、歯周病の原因となります。歯周病以外にも、心臓病や骨粗しょう症などの原因にもなるため、定期的に取り除くことをおすすめします。
歯石を取り除くための道具は、ドラックストアやインターネット通販で購入することができますが、エナメル質や歯茎を傷つけてしまう可能性があります。定期的に歯医者さんでクリーニングしてもらうのがベストです。
お子さんの歯石に関する詳しい情報は【取ったほうがいい?子どもの歯石を正しくケアする方法】にもまとめています。
2.家庭でできる虫歯と歯石対策
2-1 再石灰化の促進
初期虫歯であれば、削ることなく再石灰化で対処できる可能があります。糖の含まれる食べものや飲みものを口に入れると、細菌がそれらをエサにして口の中を酸性にします。口の中が酸性に傾くと、歯の表面が溶けてしまう脱灰(だっかい)が起こります。
しかし、唾液中のミネラルや歯みがきのおかげで、酸性から徐々にアルカリ性に戻り、溶けた歯を修復する再石灰化が始まります。再石灰化はこのようなサイクルで起こりますが、より再石灰化の時間を長くすることで、初期虫歯を補修することができるのです。
2-2 おやつは時間を決める
再石灰化に必要なのは時間です。酸性からアルカリ性になった口内で、時間をかけて歯が修復されていきますが、途中で飲食してしまうと、このサイクルがリセットされてしまうため、飲食の間隔をなるべくあけることをおすすめします。
例えば、朝ごはんを食べて歯磨きしたら、おやつやお昼ごはんまで、お茶や水以外を口にしないようにするといったイメージです。ついジュースやお菓子を口に入れたくなりますが、間食は時間を決めることで、再石灰化の時間を長くすることができ、より歯を修復する時間が長くなります。
家庭でできる歯石予防は【赤ちゃんの歯石はそのままでも大丈夫?正しい対処法】にも掲載しています。こちらもご参考にしてください。
2-3 セルフケア
歯磨きでプラークを落とすことができます。うがいだけでは、あのネバネバを落とすことはできません。プラークは細菌の塊であり、放置すると口臭や歯周病の原因となります。また、再石灰化によって歯石となり、処置が必要になるなど厄介です。
さらに、歯磨きだけでは50%ほどのプラーク除去率であっても、歯間ブラシやデンタルフロスを使えば80%程度まで上昇するため、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで口内環境を守ることができます。
3.歯医者さんでできるケア
3-1 定期検診
毎日ケアしているつもりでも、虫歯になったり歯石が付いてしまうことがあります。それでも、定期的にケアをしていれば、リスクを減らし子供の負担を減らすことにつながります。
定期的に歯科医で虫歯や歯石の検診を受けることで、早期発見・早期治療を実現します。検診とは主に歯の状態のチェックと、歯磨きやフッ素塗布なので、痛い・怖い思いをしないので、歯医者嫌いにならないというメリットも見逃せませんね。
3-2 シーラント
奥歯の形状は複雑で、虫歯になりやすいのが特徴です。特に気をつけたいのは歯ブラシの歯が入りにくい上部の溝です。奥歯の溝に食べかすが溜まり虫歯になりやすくなるのですが、シーラントはこの溝をプラスチックで埋めて守るというものです。
シーラントを塗っていないところはしっかり磨く必要があったり、途中でシーラントが取れてしまうこともあったりと、決して万能であるとは言い切れません。しかし、白いプラスチックなので見た目も違和感なく、施術中も痛みがないため、歯医者が苦手という子供たちにもおすすめです。
シーラントの詳しい情報は【子どもの歯を虫歯から守る!歯医者さんもおすすめする「シーラント」の働きを紹介】にまとめていますので、こちらの記事も活用してみてください。
4.痛みに抑えた虫歯治療
4-1 サホライド
昭和40年ごろから行われている虫歯の進行止薬です。塗るだけなので痛みがなく、歯を削れない年齢の子供でも簡単に虫歯の処置ができます。ただし、歯が黒くなってしまい、色は落ちないというデメリットがあるので、目立つ箇所の場合はよく検討する必要があるでしょう。
4-2 最新治療
ドックベストセメント療法やレーザー治療、ヒールオゾン療法など、最近では歯を削らなくても虫歯を治療できるという方法が多数開発されています。以前のように削らずに治療ができるため、痛みや振動が苦手な小さな子供たちへの治療としても注目されています。
4-3 笑気麻酔
痛くない治療であっても、絶対歯医者さんで治療したくないという子供もいるでしょう。そんな時には「笑気吸入鎮静法(しょうききゅうにゅうちんせいほう)」という選択肢もあります。
専用のマスクでガスを吸い、うとうとしているけど意識がある状態で、泣いたり暴れたりということもなく、リラックスした状態で歯科治療に臨めます。
子供やお年寄りでも、安心して使用できるガスなので、歯医者嫌いで困っているという場合には、相談してみることをおすすめします。
5.まとめ
白い歯でも、それが健康な歯ではない場合もあります。また、一見小さく見える白い虫歯も、中は進行して穴が空いている場合もあるため、まずは歯医者さんに相談してみましょう。毎日のケアも大切ですが、プロのケアも合わせて利用することで、より的確に歯を守ることができます。
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監修医
中村 達哉先生
大和駅前歯科 院長
経歴
2000年 横浜歯科技術専門学校 卒業
2000~2003年 横浜市内歯科医院院内ラボ 勤務
2010年 鶴見大学歯学部 卒業
2010年 鶴見大学歯学部附属病院 勤務
2011年 ランドマーク歯科三島 勤務
2013年 スカイビル歯科 勤務
2015年 大和駅前歯科 継承開院
現在に至る
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