子どもの歯を虫歯から守る!歯医者さんもおすすめする「シーラント」の働きを紹介

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子どもの歯を虫歯から守る!歯医者さんもおすすめする「シーラント」の働きを紹介

子どもの歯を虫歯から守りたい!でも、どんな方法で予防すればいいのだろう?子どもの歯に関して悩みは尽きませんよね。ここでは、そんなお父さんお母さんに知ってほしいシーラントという予防歯科の技術を紹介します。虫歯予防といえば、歯みがきやフッ素などのキーワードが浮かびますが、それでも「虫歯になっちゃった」という人は少なくないはずです。この記事では、子どもの健康な歯を虫歯から守ってくれる助っ人的存在「シーラント」について解説していきます。

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※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。

この記事の目次

1.シーラントって何?

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虫歯予防にいいシーラント、どんなもの?

シーラントとは、奥歯の溝の凸凹を埋めて、虫歯菌が繁殖しないようにするものです。埋め込む素材はプラスチックで、奥歯の凸凹や前歯の裏側など、虫歯になりやすい部分に施します。

シーラントは予防歯科のための施術でありながら、保険適用内で行えるのも魅力的です。ただし、虫歯の治療に使えるものではなく、すでに虫歯になってしまっている歯には施せないことがほとんどです。もし、虫歯の歯にシーラントをするなら、虫歯治療がすんでからでなければ行なえません。まれに初期の虫歯にも適応できますが、基本的には予防目的で用いられる方法です。

乳歯も永久歯も、シーラントがおすすめ

シーラントは虫歯になりやすい歯の凸凹を埋めて、虫歯菌から歯を守ってくれる虫歯予防の方法です。

「乳歯は虫歯になっても、いずれ抜けるから大丈夫」と思っている人もいますが、実は乳歯の健康状態が永久歯に与える影響は大きいものです。乳歯のときに虫歯が奥深くまで進行すると、次に生えてくる永久歯にも虫歯菌がうつることもあるのです。

そうなれば、永久歯が生えてきた時点で虫歯になっている…という可能性もゼロではありません。生えたばかりのころは歯がやわらかく虫歯になりやすいので、例え生え変わるとしても、乳歯はきちんと虫歯予防をする必要があるのです。

ゆくゆく生えてくる永久歯を守るためにも、乳歯の時期からのシーラントがとてもおすすめです。乳歯は虫歯になりやすいので、歯みがきやフッ素の塗布だけでなく、シーラントも行って予防歯科を徹底しておくといいでしょう。

実は前歯にもいい!シーラントの働き

永久歯が生え変わったばかりのころは、前歯の裏に溝のようなものがあります。そこには汚れが溜まりやすく、虫歯の温床になりやすいです。

歯の裏は汚れていてもなかなか気づくことができず、歯みがきでも磨き残したり、虫歯になっても発見が遅れることがあります。そのため、前歯の裏にシーラントを施すことで、虫歯予防に期待ができるのです。

2.本当に実感できる?シーラントの働きとは

約66%もの歯が虫歯にならなかった!

虫歯予防調査の結果では、約66%もの歯が虫歯にならなかったという結果があります。歯の表面をコーティングするだけで虫歯予防によいのか?という疑問が湧くかもしれませんが、このような調査結果を見ると、シーラントは適切に施せば虫歯予防に期待ができるとわかりますね。

シーラントとフッ素加工でさらに作用アップ

シーラントの中には、フッ素化合物が含まれているものがあります。フッ素といえば、虫歯予防のために歯の表面に塗布するものというイメージがありますが、フッ素化合物が含まれているシーラントなら、シーラントの虫歯菌を寄せつけない働きと、フッ素の歯を強くする働きの両方が得られます。

フッ素化合物が含まれたシーラントは、施術したあとに徐々にフッ素化合物が放出されます。そのため、歯の強化・虫歯予防の作用を長い時間、得ることができます。

シーラントをするならいつがいい?

シーラントを子どもの歯に施すなら、いつごろに行うのがベストなのでしょうか。乳歯や永久歯が生えてすぐがいいのかな?と思いがちですが、そうではないようです。シーラントを行うベストなタイミングは以下の通りです。

・4歳〜5歳ころ…乳歯に
・6歳ころ…6歳臼歯に
・7歳〜8歳…生え変わった永久歯の前歯に
・9歳〜12歳…永久歯の奥歯に

シーラントは、奥歯や前歯に施すのが一般的です。そのため、前歯や奥歯が生えた際に行うのが、予防歯科の観点からは適しています。特に、永久歯は一生付き合う歯になりますので、前歯と奥歯が生えたそれぞれの時期に合わせてシーラントをするとよいでしょう。

3.シーラントをする際の注意点

シーラントは凸凹にしか施せない!

シーラントは、処置を施した歯の溝部分のみに虫歯予防の作用が見込めます。歯と歯の隙間や、歯と歯茎の間などには処置はできません。前歯の裏や奥歯の凸凹部分などにしか行えないので注意しましょう。

シーラントは半永久的なもの

シーラントはプラスチック素材を歯の凸凹に埋め込みます。歯の詰め物と同じようなものですので、ある日突然シーラントが外れてしまうトラブルもあります。一度だけ施せばよいというわけではないのです。

シーラントは、どちらかというと取れやすいともいわれており、外れた場合はその都度、塗り直す必要があります。知らない間に取れていることもあるので、定期的に検査などを行って、シーラントが剥がれていないかチェックしましょう。

シーラントをする前の歯が汚いと意味がない

シーラントを施す際は、前もって該当の歯の汚れを落としておく必要があります。きれいになっていない歯にシーラントを塗ると、歯とシーラントに間で虫歯が繁殖してしまうリスクがあるためです。
実際に歯医者さんで診療を受けるときには、事前に歯のクリーニングを行うので、歯医者さんに任せておけば問題ないでしょう。

シーラントは予防であり治療ではない

シーラントは、あくまで虫歯予防が目的の処置です。そのため、虫歯になってから行っても意味がありません。シーラントを施す場合は、虫歯の治療を終えてから行う必要があります。歯医者さんでも、虫歯がある状態でシーラントをすることはないはずなので、しっかり適切な判断を仰ぐようにしましょう。
お子さんにシーラントを検討している場合でも、虫歯が発生する前に、早めに歯医者さんに相談するようにしましょう。

4.シーラントの施術の流れ

歯をきれいにし、水分を取り除く

シーラントの施術の前に、まずは歯の汚れをきちんと落とす必要があります。また、きちんと汚れを取ったあとには水分もきれいに取り除かなければいけません。そのため、ラバーダム防湿という唾液がつかないようにする装置をつけて行なったり、綿などで唾液を排除しながらクリーニングをします。

シーラントの前処置

シーラントのペーストを歯の凸凹に流し込む前に、シーラントが歯にしっかりと接着するように、薬剤を塗布します。この薬は一旦水で洗い流す必要があり、洗ったあとで完全に患部を乾かしてからシーラント施術に入ります。

シーラント剤を塗る

薬を塗布したら、ペースト状のシーラントを歯の溝に流し込んでいきます。凸凹がなくなり、滑らかになるように流し込みますが、多くても少なくてもよくありません。余分なペーストを排除したりしながら、調整していきます。

シーラント剤を固める

シーラント剤は専用の光を当ててることで固まるようになっています。光を当てる時間は約20秒ほどで、それほど長くはありません。最後にきちんと固まっているかのチェックをして完成です。

5.シーラントの費用は?

1本500円前後で比較的リーズナブル

シーラントは保険適用の対象となり、歯1本あたり400円〜600円程度の費用ですみます。時間は1本15分程度で、長くても30分程度です。シーラントが保険適用となるのは6歳〜12歳までで、初期虫歯と判断された歯にのみ適用されます。

子どもの歯に施すのはとても有効ですが、たくさんの歯に施すと治療に長い時間がかかります。そのため、小さなお子さんでは治療時間が長すぎて嫌がるケースもあります。きちんと説明して納得させるようにし、施術の精神的負担ができるだけ軽くなるように心がけましょう。

6.まとめ

子ども 虫歯 シーラント

シーラントは、治療ではなく予防歯科のひとつの方法です。薬剤で予防をするフッ素とは違い、シーラントは物理的に歯を覆って虫歯を予防するものです。ひとりではまだ十分に歯みがきできない子どもに施せば、虫歯予防の大きな助っ人となるでしょう。必ずしなければいけないものではありませんが、前歯だけ、奥歯だけなど、虫歯になりやすい部分に施せば、十分メリットを感じられるはずです。虫歯になった状態では施せないものなので、気になるようなら早めに歯医者さんに相談だけでもしてみましょう。

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      監修医 遠藤三樹夫先生

      遠藤歯科クリニック

      院長

      【経歴】
      1983年大阪大学歯学部 卒業
      1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
      1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
      1988年遠藤歯科クリニック 開業
      現在に至る
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