歯が何故か黒い!?子供の歯が1本だけ黒くなっていたり、黒い点がついていたりしませんか?大切な子供の歯ですから、そんな歯が見つかると心配になりますよね。
歯が黒いとすぐに虫歯だと思いがちですが、それはもしかすると虫歯ではないかもしれません。虫歯の他にもさまざまな理由から、歯が黒く変色してしまうことがあるのです。
そこで、ここでは子供の歯が黒くなってしまったときのタイプ別の対処法や、その理由についてお伝えします。子供の歯を守るための方法を知っておきましょう。
この記事の目次
1.子供の歯が黒い場合に考えられる4つの原因
1-1 神経に問題がある場合
1本、あるいは数本の歯が全体的に黒(濃い目の灰色)っぽい場合、歯の神経に異常がある可能性があります。ここ数日の間に転んで口を打ったり、何かにぶつかったりしませんでしたか?外から力が加わり、歯の根っこを打撲して神経が死んでしまっているかもしれません。
神経が死んでしまうと、歯に栄養が行き渡らなくなるため、徐々に灰色や黒になります。断裂した毛細血管から象牙質に、血液が流れでて着色しているのです。打った時は痛くても、次の日にはケロリとして、痛みを訴えることがなかったために、歯の色が変色してから初めて気がつくというパターンが多いですね。
そんなとき、まずは歯医者さんを受診し、レントゲンで確認してもらいましょう。痛みや腫れがなければ経過を観察する場合もありますが、神経をキレイに取り除き洗浄する必要がある場合もあります。歯の状態や歯医者さんの考え方、年齢など、さまざまなことを加味して診療方法を決定しますので、疑問があれば遠慮なく質問しましょう。ただし、治療しても白くなることはありません。
大人の場合は、ウォーキングブリーチという漂白をすることもありますが、乳歯には負担が大きいためほとんど使われることはありません。どうしても白くしたい、という場合は歯専用のマニキュアを使うという方法もあります。
1-2 ステイン(着色汚れ)
茶渋のように茶ばんでる、黒っぽいものが付いている場合、着色汚れ(ステイン)が原因のことが多いです。ステインは、ワインやコーヒーが原因といわれていますが、チョコレートやココアといった色の濃いものや、バナナやリンゴなどの果物、緑黄色野菜も原因となります。
お子様が良く飲まれる麦茶や緑茶なども着色しやすい飲み物で、ステインは生活をしていると避けられないものです。
日々のケアで除去することもできますが、小さなお子さんの弱い歯を1日に何回も磨いたり、強い力を入れて磨くとエナメル質を傷つけることもあるので、注意が必要です。濃い色の飲みもやおやつを控えめにしてみるなど、食生活の見直しをしてみましょう。
また、ステインが原因で虫歯になることはないので、特別対処する必要はありません。気になる場合は、専用のクリーナーで少しこすったり、綿棒でこすってみるのもいいでしょう。
ただし、力を入れすぎたり硬い素材を使ったりすると、エナメル質が傷ついてしまうので、気を付けてください。まずは歯医者さんでクリーニングをしてもらうという方法が適切でしょう。
歯医者さんによっては、クリーニング後に虫歯予防もかねてフッ素塗布をしてくれるところもあります。
フッ素塗布に関する説明は【やるべき?避けるべき?子どもの虫歯予防にフッ素塗布は有効】にて掲載しています。
1-3 サホライドでの虫歯治療が原因
虫歯のように白い部分と、黒い部分がまだらになっている場合、サホライドでの虫歯治療が原因かもしれません。サホライドとは、虫歯の進行を止めるための薬のことで、歯を削る必要がないことから、小さな子供の虫歯治療によく用いられています。
このサホライドの成分のひとつである銀が、虫歯に吸着し酸化して黒く変色します。奥歯や歯の裏なら目立ちませんが、前歯だとかなり目立ってしまいます。ちなみに治療後は、3ヶ月に1度など定期的に歯医者さんで進行していないか経過観察することが必要です。
サホライドで黒くなってしまった場合も、白い歯に戻ることはありません。永久歯への生え変わりを待つか、既に永久歯へ生え変わっている場合は黒くなってしまった部分を削って白色の詰め物をするしかありません。最近は、サホライド以外にも削らない虫歯治療があります。治療前にサホライド以外の方法について、歯医者さんと相談してみましょう。
1-4 進行した虫歯
ぽつんと黒い点があったり、溝に沿って黒い線が付いている場合、虫歯が進行している可能性が高いです。虫歯になった部分は、柔らかく着色しやすいため徐々に黒くなっていきます。虫歯ができて黒くなっていても、フッ素を塗って経過観察をする場合もあります。虫歯が進行すれば、患部を削って白い詰め物をするのが一般的です。しかし、子供がまだ小さく、歯を削らないほうがいい年齢であれば、上記のサホライドで虫歯の進行を止めるという方法もあります。
最近では削らない治療が増えてきており、レーザーを照射したり、特殊なセメントで埋めるものなど、さまざまな種類があります。しかし、歯科医院によって取り扱いがない場合や、取り扱っていても自由診療という場合もありますので、事前に確認してください。
虫歯は、黒くなくても進行している場合や、黒くても経過観察で済ませられる場合があるため、まずは診察を受けましょう。子供がグズるので歯医者さんに診せるのが億劫と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その間にも虫歯はどんどん進行していきます。進行すると治療が難しくなりますので、早めに歯医者さんを受診しましょう。
虫歯に関する詳しい情報は【虫歯の症状は放置しないで!激しい痛みは神経まで達している証拠!?【医師執筆】】にも掲載しています。
2.永久歯への影響はあるの?
乳歯に異常があっても、永久歯に生え変わるから、放置していても大丈夫!というわけではありません。神経が死んでしまうと、うまく抜け替わらないことがありますし、虫歯を放置して歯の根っこが膿んでしまうと、次に生えてくる永久歯の発達に影響します。
また、虫歯が原因で乳歯が抜けてしまうと、生えてくる場所を十分に確保できず、歯並びが悪くなってしまうことも考えられます。ステインや虫歯が原因の場合、歯磨きの仕方や生活習慣を見直さないと、永久歯が生えた後もすぐに同じ状態になってしまいます。
お子さんの歯が黒くなっているなど異常を感じたら、まずは歯医者さんを受診しましょう。早めの受診で、プロの的確な指示を受ければ、子供の負担を最低限に抑えることができます。とは言っても、子供の歯の異常に気づくことは中々難しいものですので、3ヶ月~6ヶ月のスパンで定期検診を受けることをおすすめします。定期的に歯医者さんで歯磨きしてもらって、フッ素を塗ってもらえば虫歯を予防することができます。
永久歯への影響に関する情報は【お母さん必見!赤ちゃんの乳歯を虫歯から守る方法】にも掲載しています。こちらの記事もご参考ください。
3.まとめ
このように、子供の歯が黒い原因はさまざまで、治療が必要な場合もあります。自分では何が原因か判断できないという場合は、できるだけ早く歯医者さんを受診しましょう。
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監修医
尾上 剛先生
ごうデンタルクリニック 院長
経歴
出身校:神奈川歯科大学
卒業年月日:2009年3月
2010年 新潟大学付属医歯学総合病院 勤務
2011年 神奈川歯科大学付属横浜クリニック 入局
2013年 斉藤歯科クリニック 院長就任
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