赤ちゃんの歯石はそのままでも大丈夫?正しい対処法

赤ちゃん 歯石

赤ちゃんの歯石はそのままでも大丈夫?正しい対処法

赤ちゃんに歯が生えてくると気になるのが、虫歯の問題です。小さな子どもの歯が虫歯になってしまうかと思うと、心配で仕方がない親御さんもいるかもしれませんね。でも、ここで独自のケアをしてしまうと、赤ちゃんの歯や歯茎を傷つけかねません。この記事では、赤ちゃんの歯に歯石がついてしまったときの正しい対処法と、歯石がつかないようにするための毎日のデンタルケア方法を紹介します。大切な我が子の歯の健康を守るためにも、正しい対処法を覚えておきましょう。

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この記事の目次

1.赤ちゃんの歯石は気にしなくても大丈夫?

虫歯の心配はしなくてもいい?

赤ちゃんのお口の中には、もともと虫歯菌は存在しません。虫歯菌は家族と同じ食器を使う、口移しでごはんを食べたり、キスをしたりすることで赤ちゃんに感染するものです。虫歯は、これらの理由でお口の中に虫歯菌が入り込み、繁殖していくことで発生します。ただし、赤ちゃんは唾液分泌が多いことから、虫歯菌がお口の中に入り込んでも繁殖しにくいとされています。基本的には2歳くらいまでは虫歯の心配はしなくてもいいというのが、一般的な考え方です。歯石は虫歯菌の温床になりますが、赤ちゃんの場合は唾液によって繁殖しにくい環境であるため、過敏になる必要はありません。

歯肉炎には注意が必要

赤ちゃんの場合、歯石が溜まると怖いのが歯肉炎です。虫歯菌が歯をむしばむ心配はほとんどないといってもいい赤ちゃんですが、それよりも歯肉炎の心配をした方がいいでしょう。もし、口の中をのぞいてみて歯石が多い場合は、赤ちゃんでも歯医者さんに行って診てもらいましょう。歯肉炎は痛みが発生したりして赤ちゃんを不快な思いにさせることもあります。お口の中を見る際には歯石がないかどうかを見て、歯肉炎になっていないかどうかの状態もしっかり見るようにしてください。

2.赤ちゃんの正しいデンタルケア

口の中に食べ物を残さないことが大切

赤ちゃんのデンタルケアの第一歩としては、まず、お口の中に食べ物を残さないことが大切です。ミルクを飲んだあとや離乳食を食べたあとは、薄めたお茶や白湯などを飲ませてお口の中の食べかすなどをすべて洗い流すようにしましょう。赤ちゃんに砂糖をたくさん使った食べ物を与えることは少ないですが、虫歯のリスクを避けるためにも、砂糖をあまり使っていない赤ちゃん専用の離乳食やおやつなどを与えるようにしましょう。

ガーゼ歯みがきでケアを

比較的虫歯になる危険性の少ない赤ちゃんの歯磨きは、必ずしも歯ブラシを使う必要はありません。無理やり歯ブラシを使うと嫌がる赤ちゃんもいますので、もし歯みがきをするなら、指にガーゼを巻いて磨くガーゼ歯みがきから始めてみましょう。ガーゼ歯みがきは、今後歯ブラシを使った歯みがきをするための“慣らし”の意味合いもあります。

ガーゼ歯みがきは、乳歯が生えるころまでを目途に行うといいでしょう。月齢でいうと、6か月前後までは歯ブラシを使う必要はありません。ガーゼ歯みがきをする際には、以下の手順で行いましょう。

1.ガーゼを指に巻きます。赤ちゃんが誤飲しないようにしっかりと巻きつけましょう。
2.赤ちゃんのお口の中にガーゼを巻いた指を入れて、歯や歯茎などをやさしく撫でるように拭きます。

赤ちゃんのお口の中はデリケートですので、ゴシゴシこすらないようにしてください。また、ガーゼは使い捨てにし、蛍光剤や消毒薬などが使われていない綿100%のものを使うようにしましょう。

赤ちゃん専用歯ブラシでの歯みがき

今はガーゼ歯みがきで十分な赤ちゃんも、将来的には歯みがきが必要になってきます。そのときのために、赤ちゃんに歯ブラシに慣れてもらう目的で歯ブラシでのデンタルケアをすることもおすすめです。月齢でいうと、上下の前歯が生えてくる8か月前後が目安です。

このときに使う歯ブラシは、必ず赤ちゃん専用歯ブラシにしてください。素材もやわらかく、赤ちゃんの歯や歯茎を傷つけないような仕様になっています。歯みがき粉はつけないか、または赤ちゃんでも使える専用のジェルタイプの歯みがき粉を選び、つけすぎないように量を守って使用しましょう。

歯石がある場合のデンタルケアは?

もし、すでに赤ちゃんの歯に歯石がくっついているようなら、歯石と一緒に歯みがきしてあげるといいです。気になれば歯医者さんで歯石をとってもいいですが、赤ちゃんの場合はお口が小さく、十分に開けられないなどの治療上の難しさがあります。その場合は、大きくなってから歯石を取ればいいので、歯石がついた状態でも歯みがきをしてあげるといいでしょう。そのときに表面についた虫歯菌ごと洗い流すことができるので、磨かないよりは虫歯予防につながります。

3.予防対策を徹底して歯石を防ぐ生活習慣を

食べ物に注意?砂糖の摂取は要注意

歯石のもととなる歯垢は、虫歯菌と糖分が結合することで発生します。赤ちゃんのうちは砂糖がたくさん入ったお菓子を食べさせることはまずありませんが、フルーツジュースならヘルシーだと思って与えることが多いです。しかし、フルーツジュースには砂糖が含まれていることが多いため、たくさん摂取させたり、長時間口にさせるのはあまりおすすめできません。歯垢ができれば、そこから虫歯菌がどんどんと繁殖していってしまうことも考えられますので、食べ物や飲み物に含まれる砂糖にも注意を払いましょう。

だらだらと食事をさせない

赤ちゃんは大人と同じように1日3回食事をするわけではありません。お腹が空いたらミルクをせがみますし、時間に関係なく飲んだり食べたりすることが多い食生活を続けています。しかし、だからといってだらだらと食事をさせるのは、いつまでも口に糖分や食べかすを残すことになり、歯垢がつきやすくなる原因になります。ものを食べさせるときには10〜15分など、時間を決めて与え、食後は口の中をきれいにしてケアをしましょう。

家族と同じスプーンで食べさせない

前の項目で触れた通り、赤ちゃんのお口の中にはもともと虫歯菌はいません。家族との接触などにより虫歯菌が感染して繁殖するので、家族と同じスプーンで食べたり、口移し、キスなどの行為をしないようにしましょう。赤ちゃんのお口の中に虫歯菌が入ってしまうと、それが原因で歯垢が発生しやすくなり、虫歯にもなりやすくなります。

4.赤ちゃんが歯みがきを嫌がるときの対処法

笑顔で楽しい雰囲気を作る

赤ちゃんの歯に歯石や歯垢がつくのを予防するために、歯みがきを積極的に行うお母さんもいるかもしれませんね。でも、泣きわめいているのに無理して歯磨きしようとすると、トラウマになるなどして歯みがき嫌いになってしまう可能性もあります。歯磨きをするときには、歌をうたいながら行うなどできるだけ楽しい雰囲気を作るようにし、「歯みがきタイム=楽しいもの」と、赤ちゃんに思ってもらえるようにしましょう。赤ちゃんは比較的虫歯になりにくいため、嫌がるときには無理に歯みがきをしないのも大切です。

歯みがきが終わったら必ず褒める

歯みがきを嫌がる子どもには、歯みがきが終わったら必ず褒めるようにするといいです。大人が褒めてあげることで達成感を感じて、歯みがきを嫌がらなくなる可能性があります。赤ちゃんだから言葉はわからない…と思わずに、小さなうちから歯みがきを褒めてあげる習慣をつけましょう。

手鏡に映しながら興味を持たせて

子どもは鏡に自分が映るのを面白がったりするもの。歯みがきをするときは手鏡でお口の中をのぞかせるなどして、子どもにも興味を持ってもらいながら行うと、退屈せずに歯みがきを行えます。お口の中に興味が湧けば、今後虫歯予防に興味を持つ可能性もありますよね。歯みがきを嫌がらなくなる可能性が高まるので、手鏡などのちょっとしたアイテムに頼ってみてはいかがでしょうか。

寝かせ磨きの体勢に慣れさせる

仕上げ磨きに慣れていないうちは、寝かせ磨きの体勢を嫌がる赤ちゃんもいます。原因のひとつは、突然いつもと違う体勢になることに違和感を覚えるためです。そこで、歯みがきをする前に寝かせながら歌をうたったり、おもちゃで遊んだりするなどしつつ、歯みがきに移行するなど工夫をしてみましょう。歯みがきを楽しいことの延長のようにとらえれば、そこまで強固に嫌がらなくなっていきます。

5.まとめ

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赤ちゃんの場合はまだ言葉も通じない場合がほとんどで、歯医者さんで長時間口を開けておくのはまず難しいといえます。そのため、歯石を取る処置が行えない可能性が高いです。しかし、赤ちゃんは唾液分泌が多いため虫歯になる可能性も低いことから、今すぐに歯石除去をしなくてもいいという特徴もあります。そのため、過度に心配をする必要はありません。ただし、ゆくゆくは歯医者さんで歯石を除去することを頭に入れておくようにして、心配であれば、赤ちゃんのうちから歯医者さんに定期的に診てもらってもいいでしょう。

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監修医 遠藤三樹夫先生

遠藤歯科クリニック

院長

【経歴】
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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