1.美容診療とは
1-1 美容診療で扱う治療メニュー
美容診療は、英語で「Cosmetic Dentistry」といい、「審美と機能」という意味があります。つまり、歯の機能と健康美、両方を考えた歯科医療です。具体的に美容診療で扱う治療は、歯のクリーニングをするPMTC、歯や歯茎を白くするホワイトニング、歯の表面を削り被せるラミネートベニアやセラミック、歯並びを整える歯科矯正などがあります。また、唇のマッサージやパックをするリップエステ、口元のシワを目立ちにくくするための美容成分を入れるヒアルロン酸注射などがあります。エステサロンでの施術と思われがちですが、口元のプロである歯科医師の元でならサロンより信憑性は高くなりますよね。
1-2 美容診療専門歯科と普通の歯科医院でおこなう美容診療の違い
基本的におこなえる美容診療は同じですが、美容診療専門歯科であった方が美容診療に関する知識が豊富で技術・経験も豊富です。簡単な施術であれば、どちらに行ってもかわらないとも言えますが、複雑な施術であれば美容診療専門歯科でお願いしたいですよね。また、美容診療専門歯科であれば、プランを豊富に扱っていることがほとんどです。自由治療になる分、検討できるプランが多数あるとありがたいですよね。まずは自分の口腔内がどうなっているのか確認してみましょう。
1-3 資格を持った歯医者さんと持っていない歯医者さんの違い
美容診療選びに困ったとき、参考になるのが専門の資格を持っているかどうかです。美容診療には、歯医者さんが作った「日本歯科審美学会」というグループがあり、日々研究や勉強を重ねています。この学会には、美容診療の知識や治療をしっかりマスターした証明として「歯科医院には認定医」、「歯医者さんには認定士」という資格制度を設けていします。認定を受けるためには、講習会やセミナーへ出席するなど厳しい審査があります。これらの資格は、美容診療の技術や能力を確かめる目安になります。「被せ物・詰め物が取れてしまった…。」「矯正装置があわない…」なんてトラブルに巻き込まれる前に資格を持った技術のある医師の元で施術を検討しましょう。
悩み/治療法 | ホワイトニング | PMTC | 矯正治療 | コンポジットレジン | ラミネートベニア | セラミック | レーザー治療 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
①歯の黄ばみ・黒ずみ | 〇 | 〇 | × | × | 〇 | 〇 | × |
②歯茎の黒ずみ | 〇 | × | × | × | × | × | 〇 |
③すきっ歯・歯が小さい・変色したい歯 | × | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | × |
④出っ歯・受け口・八重歯・などの歯並び | × | × | 〇 | × | × | × | × |
①歯の黄ばみ、黒ずみ
対象治療方法:PMTC
専用の機械を使用し、歯の掃除をします。茶渋、コーヒー、ワイン、タバコのヤニなどによる歯の着色や歯石を取り除く治療です。保険診療でできる歯石除去とは異なります。
対象治療方法:ホワイトニング
変色した歯を歯科用の漂白剤で白くします。歯医者さんの指導を受けながら自宅で行う「ホームホワイトニング」と歯医者さんで行う「オフィスホワイトニング」、両方を併用する「デュアルホワイトニング」と、3種類の治療法があります。
②歯茎の黒ずみ
対象治療方法:ガムピーリング(ガムブリーチ)
患部に光を照射し、タバコのヤニなどによる患部の黒ずみを取り除く治療法です。
③すきっ歯、歯が小さい、変色した歯
対象治療方法:コンポジットレジン
虫歯を最小限に取り除き、そこに白く固い樹脂材料を詰める治療法です。小さな虫歯を詰めるときにおこないます。
対象治療方法:ラミネートベニア
歯の表面を薄く削り、歯の形をしたセラミックを貼り付ける治療法です。生まれつき変色している歯や歯の隙間、変形歯を改善します。
対象治療方法:セラミック
セラミックは、瀬戸物やティーカップなどに使われる材料です。この陶器のような材料を歯に応用して、歯のかぶせ物や詰め物を作った治療をセラミック治療といいます。セラミックには、100%セラミックでできたオールセラミックや人工ダイヤにセラミックを付けたジルコニアセラミックなど、いくつかタイプがあります。
④出っ歯、受け口、八重歯、歯並びの違和感
対象治療方法:歯科矯正
矯正装置によって歯を少しずつ動かし、歯並びを矯正します。ワイヤーを使う矯正やマウスピース型の矯正など、矯正装置にはさまざまな種類があります。
2.医院・クリニックによって異なる費用
保険適応or自由費用チェック表
自費費用 | 保険費用 | |
PTMC | 〇 | × |
ホワイトニング | 〇 | × |
コンポジットレジン | ○ | ○ |
ラミネートベニア | ○ | × |
セラミック | ○ | × |
レーザー治療 | ○ | × |
歯科矯正 | ○ | × |
美容診療の費用は基本的に保険適応外で、歯医者さんが自由に料金設定をしています。そのため高額になる場合もありますが、医師が丁寧にカウンセリングを行ったり、時間をかけて治療したり、素材を自分で選択することができたりと、メリットもあります。美容診療の治療に入る前に、費用についてカウンセリングを受けると安心です。
3.知っておくべき医療費控除
3-1 医療費控除とは
保険が適応されない美容診療の医療費は、決して安いものではありません。しかし、医療費の一部が還ってくる方法があります。それが、医療費控除です。医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告すると納めた税金の一部が返金される制度です。
3-2 医療費控除の対象
1月1日から12月31日までの1年間で、「本人または家族のために支払った医療費」、「通院のための交通費」などが対象となります。確定申告は、毎年2月16日から3月15日です。もし、申告期限を過ぎても、5年前まで申告することができます。医療費の領収書は、大切に保管しておきましょう。
参考データ:保険の教科書
4.まとめ
美容診療は、美的感覚を重視した歯科分野です。治療は、主に「歯を白くすること」や「歯並びを整えること」の二つですが、それぞれの悩みに合わせて更に細かく治療することができます。歯に対してコンプレックスがある方、より美しく健康的に治療したい方は、美容診療へ行きカウンセリングにて治療するかどうか判断してみてください。
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監修医飯田尚良先生
飯田歯科医院 院長
■院長経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る