私は長年、近隣の小学校で学校医を務め、歯科検診を担当しています。当初はまだまだ子どもの虫歯が多い時代であり、1人あたりの虫歯の平均本数など、お口の中の状態を示す数値は悪化していました。
私たち歯科医師は、それらの値を改善するため、子どもの虫歯予防に力を入れてきました。そんな努力をしたかいもあり、近年では目標値をクリアすることができたのです。
1人あたりの虫歯の本数も少なくなったので、ほとんどの子どもは健康的になったに違いない、そう考えて、子どもたちを観察してみると、弱々しい子どもが増えていることに気づきました。「なにかがおかしい…」お口の中は健康になっているのにかかわらず、身体が不健康なのはなぜか、そんな疑問を持ったのがきっかけで、「食育」に関心を持つようになりました。
不健康な子どもたちが増えている原因を探るために、いろいろな角度から考えました。子どもたちを取り巻く、あらゆるもので変化したのは何か、変化していないのは何かを考えていくうちに、たどり着いたのが食生活でした。
昔と比較して、私たちの食生活は大きく変わりました。インスタント食品が手頃な価格で手に入るようになり、パンや肉中心の欧米スタイルが浸透し、日本古来の食文化は廃れてきました。子どもたちが弱々しくなったのも、そこに原因があるかのもしれません。
では、食生活を変えるために歯科医師として何ができるのでしょうか。私は、まず子どもたちに「食」に対する興味、関心を持ってもらうことが大切だと考えました。
子どもたちに「食」に対する興味を抱いてもらうために、授業時間をお借りして食生活についてお話しすることもあります。しかし、言葉だけではなかなか理解してもらえないのも事実です。そこで私たちは、体験を通して「食」の大切さを実感してもらう活動に取り組んでいます。
そのひとつが、小学校の敷地内で行う農作業体験です。小学校の卒業生の方などに協力していただき、田んぼや畑の土を小学校に運び込み、グラウンドの一部を利用して田畑をつくります。そこでえんどうや大根などの作物を育てています。子どもたちには、種植えから、水やり、収穫までを担当してもらい、子どもたちは自ら育てることによって、作物に愛着を抱くようになり、食べ物についても興味を持ってくれるようになりました。
「弁当の日」とは、子どもたちが自分の食べる弁当の買い出し、調理、盛り付け、後片付けまでのすべてを行う日です。2001年に、香川県の小学校で始まりました。子どもたちに調理はできないんじゃないかと心配する人もいますが、思い切って任せてみれば、子どもたちは徐々に変わり始め、大きく成長します。
まずは、食べ残しが減り始めます。そして、食べ物や家族に対する感謝の気持ちが芽生え、さらに親子の会話が増えている傾向が見られました。食育を考える上で、「弁当の日」は意義のある取り組みだと思います。こうした取り組みは徐々に広がり、今では全国の小中学校、高校、大学で取り入れられています。
私たちは、今後もこの活動を応援していきたいと考えています。
こつきさんの口コミ (東京都/50代/女性)
2021年1月 投稿
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よかった点 | |
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施設 | 清潔感 内装・設備 アクセス |
対応 | 人柄・気づかい 子供への配慮 |
治療 | 説明 丁寧さ 痛みへの配慮 治療後の経過 |
防菌 | 飛沫対策 混雑の回避 換気対策 スタッフの感染防護対策 |