親知らずが真横に生えている!抜歯の方法や痛みの有無について解説

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親知らずに悩む女性の写真

親知らずが真横に生えてきてしまった場合、ほかの歯と違う生え方に驚いてしまうものです。お口の中に少し違和感を覚えながらも「痛みがあまりない」「抜いたほうが良いのかわからない」という理由からそのままにしている方も多いのではないでしょうか。
この記事では親知らずの基本的な情報から抜歯をした場合の痛みやリスクまで、詳しく解説しています。親知らずを抜こうか迷っている方は、ぜひこの記事を読んで参考にしてみてください。

この記事の目次

1.親知らずが真横に生えてきてしまった!どうすればいい?

1-1.親知らずには大きく分けて3種類の生え方がある

親知らずは、15歳ごろまでに生えそろう奥歯のさらに奥、前歯から数えて8番目の位置に生える歯で、第三大臼歯のことをさします。多くは17歳から30歳ごろに生えてきます。
親知らずの生える向きは大きく3種類に分けられます。
・まっすぐ生える
・傾いてななめに生える
・横向きに生える

次に親知らずの抜歯について触れていきます。

1-2.親知らずは抜かなければいけないものではない

親知らずを抜歯したという話を聞くことがあり、抜かなければいけないと思っている方も多いようですが、親知らずは抜かなくても良い場合があります。
具体的には、
・親知らずがまっすぐに生えている
・ブラッシングに支障がなく、虫歯や歯周病になっていない
・上と下の噛みあわせに問題がない
といったケースです。

それでは、真横に親知らずが生えている場合はどうなのかを解説していきます。

1-3.真横に生えてきている場合のデメリット

親知らずが真横に生えると、歯茎から歯の一部だけが出ることがあります。その場合は、歯磨きがしづらかったり汚れが溜まりやすかったりして、炎症や虫歯になる恐れがあります。
また、真横に生えた親知らずが隣の歯を押してしまい、歯並びに影響を及ぼすことがあります。さらに、親知らずが隣接した歯の根を溶かしてしまうことも少なくないようです。

このようなデメリットがある真横に生えた親知らずですが、実際に抜歯するとなったとき、どういった処置をおこなっていくのかについて次章よりお話していきます。

真横に生えた歯のイメージ画像

2.真横に生えた親知らずを抜く場合の方法や痛み

2-1.歯茎を少し切ってから抜歯をする

真横に生えた親知らずの抜歯は、まず歯茎を切開して抜歯操作がしやすいように術野を広げます。
診断の段階のレントゲン写真で術前にある程度の判断はつきますが、親知らずが歯茎の下の骨にどれくらい深く埋まっているかで多少方法は変わります。骨に深く埋まっている方が抜きにくくなります。
歯茎を切開し、ほぼ親知らずの頭の部分(歯冠)が露出しているようなケースだと、前の歯に引っかかっている部分を少し削れば簡単に抜ける場合もあります。
しかし、親知らずの周囲の骨が大きく被さっている場合では、周りの骨を削らないと抜くことができません。骨を削って歯を割ると当然手術時間もかかり、術後の腫れや痛みも強くなる傾向があります。
親知らずの生えかたや深さは人それぞれで、口の中を見ただけでは判断がつきにくいことがほとんどです。歯科口腔外科を専門にされている歯医者さんなら、レントゲンを見てだいたいの手術時間の予測や術後のおおよその経過も説明してもらえるでしょう。
次に、親知らずを割って取り出します。
局所麻酔が用いられるため、抜歯中に痛みが発生することはほとんどありませんが、骨を削る振動を感じることはあります。また、抜歯が難しいケースは全身麻酔を用いることがあるほか、静脈内鎮静法でうたた寝のような状態にしてから抜歯する歯医者さんもあります。

2-2.抜歯後は腫れや痛みが1週間ほど続く

抜歯後、30分から数時間で麻酔が切れ痛みが出ます。痛みは抜歯当日がピークで、数日から1週間くらいで引きます。抜歯後は鎮痛剤が処方されることが多いです。
腫れは抜歯後半日から2、3日がピークとなり、1週間ほどでだんだんと引いていきます。腫れが強いときには、水でしぼったタオルで冷やすと良いでしょう。しかし、冷やしすぎてしまうと腫れを長引かせる原因になりかねないので、注意が必要です。

2-3.親知らずが痛むが、抜きに行く時間がない場合の応急処置

親知らずは痛いけれどすぐに歯医者さんに行けないときは、市販の鎮痛剤で痛みが緩和することがあります。また、痛みの原因が細菌の増殖である場合は、うがいやきちんとした歯磨きで炎症を軽減できることがあります。
しかし、あくまでも応急処置であるため、「親知らずが痛む」や「親知らず周辺が痛む」といった場合は、できるだけ早めに歯医者さんを受診しましょう。

口腔内のレントゲン写真

3.抜歯後気をつけたほうが良いことやリスクはある?

3-1.抜歯した後にできた穴が上顎洞とつながってしまう

上顎の親知らずの根は鼻の周りにある上顎洞(じょうがくどう)という穴と近く、親知らずを抜歯した際にできた穴と上顎洞がつながってしまい、お口の中の水や空気が鼻に流れてしまうことがあります。ほとんどの場合は自然に閉じますが、細菌が入り込み炎症を起こして上顎洞炎になってしまうことがあります。
このような場合は周囲の歯茎を少し延ばして縫合し、抜歯した穴をきっちり閉じる必要があります。縫合で閉じるのが困難な場合は、穴がふさがるまでの間小さな入れ歯のようなもので蓋をするときもあります。
いずれにせよ穴が閉じるまでの間は強く鼻をかまないようにするなど、いくつか注意すべきことを歯科医師が指示してくれるので、それにしたがいましょう。

3-2.抜いた後の穴がなかなかふさがらないドライソケット

親知らずの抜歯後、ドライソケットと呼ばれるトラブルが起こることがあります。

親知らずを抜歯した後、抜いた穴に血液が溜まり、ゼリー状に固まって血餅といわれる状態になります。血餅はいずれ肉になり穴をふさぎますが、形成途中で舌や歯ブラシで強く触れてしまったり、うがいをしすぎてしまったりすると血餅がはがれてしまうことがあります。それにより骨がむき出しとなり、痛みが発生する状態をドライソケットといいます。
抜歯後、一度収まった痛みがまたあらわれたり、抜歯から1週間以上たっても痛みが継続していたりする場合はドライソケットの可能性があるので、歯医者さんに相談しましょう。

3-3.神経のマヒが起こる危険性も

下顎の親知らずの根の先には神経が通っています。
埋まって生えている親知らずを抜歯するときに、そのまま抜くと根が神経を傷つけることがあるため、歯を割ってから抜きます。しかし、それでも神経を傷つけてしまう場合があるようです。
神経が傷つくと下唇や下顎、舌のマヒが起こることがあります。また、味覚に影響が出ることもあるようです。
傷ついた神経は基本的には改善していくものの、1カ月から長くて数年かかることもあります。
末梢神経マヒの改善をうながす薬やビタミン剤を服用することで早く治ることもあります。また時には針治療が有効になることもあります。

縫合手術の写真

4.まとめ

親知らずの生え方や真横に生えている場合のデメリット、抜歯の処置や術後のリスクについてご紹介しました。
真横に生えている親知らずは抜歯になるケースが多く、歯医者さんを受診ししっかりと診断してもらうことが大切です。
親知らずが真横に生えたり、痛みがあったりする場合には、早めに歯医者さんを受診しましょう。

【監修医 遠藤三樹夫先生のコメント】

周りの人が親知らずを抜いたらとても時間がかかったとか、とても痛かったり、後ですごく腫れたりと、聞いているととても怖くなってしまうような話を耳にすることもよくあると思います。 しかしながら本当に親知らずの生えかたは人それぞれで千差万別です。
心配していたことが嘘のように簡単に抜けるケースもよくありますから、まずは症状があれば親知らずの抜歯に慣れている歯医者さんに相談してみましょう。

 

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監修医

遠藤 三樹夫先生

遠藤歯科クリニック 院長

経歴

1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
 現在に至る

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