虫歯治療を途中で放置したり、やめてしまったことはありませんか?
痛みがなくなると歯医者さんに行くのが面倒になり、市販の痛み止めで我慢してしまうこともあるかもしれません。しかし、虫歯の治療を放置すると重症化し、大きな病気を引き起こすことがあります。虫歯が悪化すると、虫歯菌が口内から全身に広がり、心筋梗塞や敗血症など、死亡リスクの高い重篤な病気に繋がることがあります。
この記事では、虫歯が重症化することで引き起こす死亡リスクのある病気について詳しく解説します。また、虫歯が悪化する段階とその際に現れる症状も紹介しますので、気になることがあれば自分の症状と照らし合わせてみてください。
この記事の目次
1.虫歯放置で命を脅かす危険な病気とは
骨髄炎:虫歯菌の侵入が引き起こす
虫歯を放置していると、虫歯菌が歯の根元を通じて骨にまで到達し、骨髄炎を引き起こす可能性があります。骨髄炎は骨の内部に感染を起こす深刻な病気で、早期に治療しないと骨の壊死や全身の健康に影響を及ぼす恐れがあります。特に免疫力が低下している人や、持病を抱える方は感染のリスクが高く、骨髄炎が進行すると治療が困難になり、最悪の場合、命に関わる状態に陥ることもあります。
敗血症:全身に広がる感染症
虫歯から侵入した菌が血流に乗って全身に広がると、敗血症という命に関わる感染症を引き起こす可能性があります。敗血症は免疫系が過剰に反応し、体内の臓器や組織が攻撃される病気です。放置すると臓器不全を引き起こし、命を落とす危険性があります。初期の症状は発熱や疲労感など日常的なものが多いため見逃しやすいので注意が必要です。違和感があればすぐに病院を受診しましょう。
心筋梗塞:虫歯が心臓に影響する可能性
意外に思われるかもしれませんが、虫歯菌が心臓に悪影響を及ぼし、心筋梗塞のリスクを高めるという研究結果もあります。菌が血流を介して心臓に到達し、動脈硬化を促進することが原因とされています。このように、虫歯の放置は単に口腔内の問題に留まらず、循環器系にも影響を及ぼす可能性があります。
肺炎:虫歯が呼吸器に及ぼす影響
虫歯の放置により、口腔内の細菌が肺に入り込むことで肺炎を引き起こすこともあります。特に免疫力が低下している高齢者や病気を患っている人は、虫歯菌が原因の肺炎にかかりやすくなるため、注意が必要です。肺炎は呼吸困難や高熱を伴い、重篤な場合は入院治療が必要となることもあります。季節の変わり目や風邪が流行する時期には特に、肺の健康状態には気を配りましょう。
2.虫歯が悪化していく流れ
冷たいものがしみる
初期の虫歯は冷たい飲み物や食べ物がしみる程度ですが、これはすでに歯のエナメル質が損傷を受けている証拠です。この段階で気付ければ、予防的なケアや軽い治療で進行を食い止めることができます。定期的な歯科検診を受け、初期段階での対策を心掛けることが最も効果的な防御策です。
持続する痛みが現れる
次第に、食事中に突然の痛みを感じることが増えてきます。これは虫歯が進行して象牙質に達している状態です。痛みが出たり虫歯で口臭が強くなるなど、虫歯のサインが現れ始めます。
痛みが神経に達する
痛みが激しくなると、虫歯が神経にまで達している可能性が高いです。この段階では、見た目にも歯の変色や穴が確認できることが多いです。口内では虫歯の周りの歯肉が化膿し膿が溜まったり出血することもあり、この段階になると歯磨きや洗口剤を使っても消せないぐらい口臭がきつくなります。この段階の虫歯治療は神経を抜くことが多く、虫歯の治療がより複雑化します。
激痛と高熱で生活に支障が出る
神経に達した虫歯を放置すると、激しい歯痛、高熱、関節痛、吐き気など歯以外の部分にも症状が出てきて日常生活に大きな支障をきたします。食事や会話が困難となり、仕事や家庭生活にも悪影響を及ぼします。
虫歯菌が全身に広がる
この状態になっても虫歯の治療をしないで放置していると一時的に痛みが治まることがあります。これは虫歯が治ったわけではなく虫歯菌が神経深くまで侵食し神経が壊死したことによる現象です。そして虫歯菌は歯の根の周りに広がり始め、顎の骨に感染して骨髄炎を引き起こし、骨髄から血中に入り全身に運ばれ心筋梗塞や敗血症など死亡リスクの高い重篤な病気を引き起こす可能性があります。
3.虫歯の重症化を防ぐためにできること
日々のケアで口内環境を守る
最近では、電動歯ブラシ、デンタルフロス、フッ素入りの歯磨き粉、ジェットウォッシャー、口腔洗浄液など、たくさんのデンタルケアグッズが手軽に手に入ります。これらを取り入れ、虫歯を予防しましょう。
特に食後のブラッシングは、虫歯の原因となるプラークの蓄積を防ぐために欠かせません。甘い食べ物を控える、間食をしない、など、生活習慣を改めることも効果的です。
定期的な歯科検診で早期発見を
自分での口内ケアに加えて、定期的に歯医者さんで検診を受けることも重要です。虫歯のチェックだけでなく、ブラッシング指導や歯のクリーニングを受けることで、より清潔で健全な口内環境を維持できます。
PMTC
PMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング)は、歯医者さんが専門機器を用いて口内を清掃する治療です。普段の歯磨きでは落としきれない歯垢も取り除くことができ、虫歯予防に効果的です。
費用:自由診療でおよそ¥5,000前後(※歯医者さんによって金額は異なります)
自分では気付きにくい歯の裏側や奥歯をチェックしてもらい、虫歯を早期発見できれば治療も軽く済む可能性がありますし、歯医者さんでの専門的な掃除を受ければ、気分もよく、安心感にも繋がります。予防歯科の重要性を認識し、定期的な通院を心がけましょう。
4.まとめ
虫歯は口内の問題だけでなく重症化すれば全身の不調に繋がり重大な病気を引き起こし、最悪の場合死亡することもあります。それを防ぐためには毎日の歯磨きで口内環境を清潔に保ち、歯医者さんで定期的に虫歯が無いかチェックする習慣が必要です。
もし虫歯ができた場合も仕事や学校などが忙しいからと言って治療せずに放置することはやめましょう。こちらの記事を読んで当てはまる症状がある場合はすぐに歯医者さんで診察を受け虫歯を治療し、毎日のケアで虫歯のできない健全な口内環境を目指しましょう。

監修医
貝塚 浩二先生
コージ歯科 院長
経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る
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