親知らずを授乳中に抜くとどうなる?歯のトラブルや薬の注意点まで解説

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親知らず 授乳中

授乳中に親知らずの痛みに気が付いてしまった時、あなたはどうしますか?ズキズキする痛みを「早く治したい」という気持ちと、「授乳中に親知らずを抜いても赤ちゃんに影響はないの?」という不安な気持ちで迷ってしまうのではないでしょうか。ここでは授乳中の抜歯や治療の可否、痛み止めの薬、麻酔などが赤ちゃんに影響するか解説していきます。親知らず以外の歯のトラブルについても触れているので、ぜひご覧ください。

この記事の目次

1.授乳中は親知らずを抜いてもいいの?

授乳中のお母さんでも親知らずを抜くことは可能です。抜歯前のレントゲン撮影や麻酔薬の使用、抜歯後の痛み止めや抗生剤など、授乳中の赤ちゃんへ影響を及ばさないか心配な方も多いかと思いますが、多くのケースは対応が可能です。授乳中の場合はもちろん、薬を服用している場合はその種類やアレルギー歴、持病などある方も、あらかじめ歯科医師にきちんと伝えましょう。問題ない場合、親知らずを抜くことができます。

親知らず 授乳中

 

2.授乳中の抜歯による赤ちゃんへの影響について

2-1.レントゲン撮影

親知らずを抜く前にレントゲン撮影を行うことがあると思います。レントゲン撮影というと放射線を連想し、授乳中の場合は赤ちゃんに対する影響を心配するかもしれません。確かにレントゲン撮影時には放射線照射が行われますが、授乳中にレントゲン撮影を行ったとしても母乳への影響はほとんどありません。また体への影響についても、レントゲンの放射線量は年間に自然に触れているとされる放射線量よりも少なく、過度に危険視する必要はないとされています。

 

2-2.抜歯前に麻酔をかける

麻酔薬には大きく分けて「局所麻酔薬」と「全身麻酔薬」の2種類があり、一般的な抜歯の際には負担の少ない局所麻酔薬が使われています。また、授乳中のお母さんへの使用が禁止されている局所麻酔薬はありません。しかし、抜歯の際に使用した麻酔薬のごく少量が母乳へ移行する恐れがあります。生後3カ月を過ぎ代謝機能が向上している赤ちゃんであれば、悪影響を及ぼす確率は低いとされていますが、麻酔薬の影響が心配な場合は工夫が必要です。例えば、歯科治療の直前に授乳を済ませておき、麻酔薬使用から授乳までの間隔をできるだけ長くすることで、麻酔薬の影響を減らすといった方法があります。

 

2-3.痛みに対して痛み止めの薬を飲む

生後3カ月以降の赤ちゃんであれば、お母さんが痛み止めを飲んだ後に授乳をしても影響はほとんどないと考えられています。また、市販や抜歯時に処方される痛み止めは、服用してから約5~6時間経つと体内にはほとんど残っていません。赤ちゃんが生後3カ月未満の場合や、少しでも赤ちゃんが飲んでしまう薬の量を減らしたい場合は、痛み止めを飲んでから5~6時間以上あけて授乳すると良いでしょう。親知らずに限らず、抜歯には体力を使い数日間は痛みが続くことがよくあります。そんなお母さんが少しでも早く元の生活に戻るためには、可能な限り長く休息時間がとれるように、周りが協力することも大切です。

 

2-4.細菌感染を防ぐために抗生剤を飲む

痛み止めと同様に、生後3カ月以降の赤ちゃんは代謝・排泄する機能が高まってきているため、母乳を介して少量の抗生剤を摂取しても影響はほとんどありません。また、抗生剤には妊娠中も飲むことができるものもあります。その一方で、歯科治療中に処方されることはほとんどありませんが、注意が必要な薬も存在します。服用する必要がある時は歯科医師に相談し、なるべく影響の少ない薬を処方してもらうようにしましょう。

親知らず 授乳中

3.授乳中にトラブルがある場合はどうする?

3-1.軽い虫歯や歯肉炎の場合

出産直後でも、軽い虫歯や歯肉炎の治療であれば可能です。ただし、それ以外の大きな治療は体が元に戻っていないので、応急処置程度にして後日治療することが良いでしょう。

また妊娠中の場合、女性ホルモンの分泌量が増加することで虫歯や歯肉炎を発症しやすくなります。女性ホルモンを摂取することで増殖する細菌によるものや、妊娠中の食生活の変化やつわりが原因で十分な口腔ケアができずにいることが、虫歯や歯肉炎につながります。軽度であれば出産直後から歯科治療が可能です。定期的な歯科検診を心がけ、できる限り負担の少ない治療で済ませるようにしましょう。

 

3-2.虫歯以外の痛みや腫れを伴う場合

前述の通り、出産直後はまだお母さんの体が元に戻っているわけではありません。痛みや腫れを感じる場合も、原因を取り除くような治療を行うことはできず、痛み止めで様子を見るといった対処法に留まることもあります。しかし、歯が痛む原因は虫歯だけとは限りません。そのため虫歯の痛みだと思って放置をしていると、命にかかわるケースもあります。歯の痛みの原因を知るためにも、痛みや腫れなどは我慢せずに一度受診した方が良いでしょう。

 

3-3.親から子へ移さないために

生後6カ月頃から歯が生え始めますが、生後間もない赤ちゃんは口の中に虫歯菌はありせん。そのため、本人以外が口にしたスプーンなどで赤ちゃんにご飯を与える、熱くて食べられない時に「フーフー」する、赤ちゃんとキスをする、食べやすくするために大人が一度口に含んでかみ砕いたものを赤ちゃんに食べさせるなどは避けることが大切です。大人の口内に潜んでいる虫歯の原因菌が赤ちゃんの口の中に移ってしまい、虫歯になるリスクが高くなるためです。特に、2歳前後が虫歯菌に感染しやすい時期と言われています。また、生まれたばかりの赤ちゃんは歯がないから問題ないと思うかもしれませんが、虫歯菌だけでなく歯周病菌も、親から赤ちゃんへ移さないようにすることが必要になります。

 

3-4.痛みにより食事量が減る恐れも

授乳中のお母さんは、妊娠前と比べて1日あたり350kcal多く摂取することが推奨されています。しかし、抜歯を行った後は痛みに耐えきれず食事を摂るのもままならない状況となり、食事量が減ることで赤ちゃんに十分な母乳を与えにくくなる恐れがあります。咀嚼回数の多い固いものは抜歯後の痛みで飲み込みづらく、途中で食べるのを諦めてしまう恐れがあります。ゼリーなど流動性のものを活用し、カロリーを摂取しましょう。

4.まとめ

親知らずを抜く時に必要な治療は、授乳のタイミングに気をつけるといった工夫をすることで、授乳中のお母さんでも赤ちゃんへの影響をあまり心配することなく受けることができます。急に親知らずが痛み出してしまった場合は、我慢をせずにまずは受診をしてください。そして、親知らずを抜いた場合は十分な栄養を摂ることを忘れずに、体力を取り戻せるよう努めることが大切です。

 

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監修医

野村 雄司先生

本町通りデンタルクリニック 理事長

経歴

2003年 大阪歯科大学卒業
2007年 大阪歯科大学保存学講座入局
2009年 まごころ歯科勤務
2012年 まごころ歯科退職
2012年 本町通りデンタルクリニック開業
2013年 大阪歯科大学保存学講座歯学博士号取得
現在に至る。

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