訪問歯科診療の対象者や治療費は?受診の方法や流れ、治療内容をご紹介

  • 0
  • 2
  • 0
  • 0
  • 0
訪問歯科

いつまでも健康な歯を保ちたいですよね。歯の健康を保つには日々のケアはもちろんのこと、歯医者さんの定期検診や場合によっては治療を受ける必要もあります。しかし、健康上の問題などで歯医者さんへの通院が困難な方も多くいらっしゃいます。そんな時に検討できる選択肢のひとつが、訪問歯科診療です。ここでは訪問歯科診療の概要から、どういった治療が可能なのか、対象者の条件や費用について、受診の流れなどをまとめています。歯医者さんに行けない方や、その介護者の方はぜひ確認してみてください。

この記事の目次

1.訪問歯科診療とは?メリットもご紹介

1-1.患者さんの自宅を訪問する「訪問歯科診療」

訪問歯科診療とは、歯医者さんへの通院が難しい患者さんのために、歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設を訪問して、検診や歯の治療を行うというものです。

一般的な通院と診療内容は同じですが、診療場所が医療の場ではなく患者さんの生活の場で行われる点や、対象者が限られていて高齢者の方が多い点に違いが見られます。

 

1-2.訪問歯科診療を受けるメリット

通院困難な状態である方ほど、自分での口内ケアも行いにくい場合が多いです。

そのため虫歯や入れ歯トラブル、口内炎、口腔内の痛みで困ることもあります。

訪問歯科診療のメリットは、こうした悩みを抱える患者さんが通院しなくても、お家で歯医者さんに治療をしてもらえる点です。

それだけでなく、歯医者さんが実際の食生活を参考にしながら入れ歯を調整したり、介護の状況を把握してお口のケアを提案したりできるメリットもあります。

通院のみではわからない、患者さんの普段の生活について情報が得られるので、訪問歯科診療ではそれを生かした治療提案が期待できます。

 

訪問歯科

2.訪問歯科診療の診療内容や費用

2-1.訪問歯科診療の診療内容

訪問歯科診療では、虫歯や歯周病の治療と予防をはじめ、入れ歯の作製や修理・調整、お口のケアなど、一般的に歯医者さんの院内で行われるのと同様の診療が行われています。

そのほかにも口腔機能のリハビリや、食べ物や細菌、胃液などが気管に入ることがきっかけで発症する「誤嚥性肺炎」の予防も行っています。

 

2-2.訪問歯科診療にかかる費用

訪問歯科診療では、下記の費用がかかります。

1.歯科訪問診療費(訪問診療代や診察代)

2.検査や治療費(虫歯や歯周病治療、入れ歯の作製など)

3.指導料(口腔内のお手入れ方法など)

訪問歯科診療費用には医療保険や介護保険が適用されるので、患者さんの負担は通常の保険の負担割合と同じ「1割~3割」となります。

障害者保険証を所持している方や生活保護を受給している方の場合は、各市町村の定める減免と同じ扱いを受けることが可能です。

ただし保険適用となるには、下記でご紹介する条件に該当している必要があります。

 

2-3.訪問歯科診療で保険が適用される条件

訪問歯科診療が保険適応となるのは、歯医者さんの病院から診療場所(患者さんのご自宅や施設)までが、半径16km圏内にある場合のみとなります。

患者さんの希望によって、歯医者さんから16kmを超えた場所での診療をした場合は保険が適応されず、訪問歯科診療でかかる費用は全て保険適用外となります。

ただし16kmを超えて訪問歯科診療を依頼するのに絶対的な理由がある場合は、この限りではありません。

例えば「患者さんの自宅や施設付近で、訪問歯科診療を依頼できる歯医者さんがいない」「近くに歯医者さんはいるけれど、たまたま不在でお願いができない」場合は絶対的な理由と認められ、16kmを超えても保険適用となることがあります。

ご自身の状況が保険適用となるかどうかは、直接歯医者さんに尋ねてみることをおすすめします。

 

訪問歯科

3.訪問歯科診療の対象患者や診療場所の条件

3-1.訪問歯科診療の対象患者の条件

訪問歯科診療の対象者は、病気やけがといった事情によって、歯医者さんへの通院が難しい方となります。そのため、年齢制限があるわけではありません。

他の医療機関を通いで受診している場合は「通院困難」と認められないため、対象とはなりません。例えば車椅子移動が可能な方も、基本的に訪問診療不可となります。

ただし緊急治療のための搬送や、家族の助けによる通院の場合は例外として認められることもあります。

対象となるかどうかの最終判断は歯医者さんがそれぞれ行いますので、自分が対象となるかどうか気になる場合は、事前に確認をすると良いでしょう。

 

3-2.訪問歯科診療の診療場所の条件

訪問歯科診療の訪問先は、患者さんが居住している場所に限られます。

実際に患者さんが普段寝泊まりしている場所が含まれ、居宅と施設の2種類が対象となります。

居宅とは自宅や老人ホーム、ケアハウス、グループホーム、高齢者向け住宅などです。

施設は介護老人福祉施設、介護老人保健施設、地域密着型介護老人福祉施設、短期入所生活介護の入所施設、歯科のない病院や診療所などが含まれます。

デイサービスやデイケアは患者さんが普段寝泊まりしている場所とはならないため、訪問歯科診療を依頼することはできません。

訪問歯科

4.訪問歯科診療の受診方法や流れ・準備をするもの

4-1.訪問歯科診療を受診する方法

訪問歯科診療を受診する方法はいくつかあります。

かかりつけの歯医者さんがある場合は、まずそこが訪問歯科診療に対応しているか確認してみましょう。

訪問歯科診療に対応をしていれば受付をしてくれますし、対応ができない場合でもお近くの対応可能な歯医者さんを紹介してくれることもあります。

上記の方法で見つからない場合は、地元の歯科医師会に相談をしてみてください。

また、介護をしてくれている看護師やケアマネージャーがいる場合は、一度相談をしてみるのも良いでしょう。

 

4-2.訪問歯科診療の受診までの基本的な流れ

訪問歯科診療の受診までの流れは、下記の通りとなります。

 

1.訪問歯科診療に対応してくれる歯医者さんが見つかったら、電話やメールで申し込みしましょう。

2.申し込みが行われると、患者さんの症状や要望に合わせて歯医者さんが訪問日を決めます。

3.訪問日当日はまず問診を行い、治療内容や期間、費用に関しての説明を行います。

4.患者さんが治療内容に同意をしたら、診療スタートです。

 

4-3.訪問歯科診療を受診する際に準備をするもの

訪問歯科診療を受診する際には、健康保険証のほかに、介護保険証や福祉医療受給者証も持っていれば準備をしましょう。

現在飲んでいる薬がある方は、お薬手帳も用意しましょう。生活保護受給者の場合は、医療費の減免を受けるためには医療券の確認が必要となります。

 

訪問歯科

5.まとめ

病気やけがが原因で歯医者さんに通院できなくても、治療を諦める必要はありません。

訪問歯科診療を依頼することで、歯医者さんへ通院するのと同様の治療をご自宅で受けることができます。

お食事を楽しむためにも、お口の健康は大切です。

歯や口腔内のトラブルを感じたら、まずはかかりつけの歯医者さんか地元の歯科医師会に相談してみてください。

 

【監修医 松岡浩司先生のコメント】

訪問歯科診療にかかる費用として、車馬賃を請求される場合もありますので、直接歯医者さんにお尋ねください。

 

【あわせて読みたい】

【歯科】保険診療と自由診療の違いを解説。医療費控除についても説明します

入れ歯の種類や料金は?保険診療と自由診療の違いについても解説

お住まいの地域の歯科検診情報まとめ「歯科検診N」

監修医

松岡 浩司先生

松岡歯科クリニック 院長

経歴

1986年 日本歯科大学 卒業
1988年 パール歯科医院 勤務
1995年 松岡歯科クリニック 院長就任
現在に至る

この記事は役にたちましたか?

  • すごく
  • いいね
  • ふつう
  • あまり
  • ぜんぜん
不正確な情報を報告

歯医者さんを探す