ウイルス性口内炎

  • 1
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0

【この記事の要約】

ウイルス性口内炎とは:ウイルスの感染によって起こる口内炎の総称です。

ウイルス性口内炎の症状:口の中や唇のまわりにできる水ぶくれやただれです。

ウイルス性口内炎の原因:単純ヘルペスウイルスやエンテロウイルス(コクサッキーウイルスなど)です。

ウイルス性口内炎の診断・検査:医師が患部の見た目や患者さんの症状を確認して診断をつけることが多いです。

ウイルス性口内炎の治療:基本的には自然治癒を待ちますが、痛みや熱がある場合は鎮痛薬、解熱薬を内服、ウイルスが原因と特定できる場合は抗ウイルス薬の処方。炎症を抑え、早く治したい場合はレーザー治療が選択されることもあります

ウイルス性口内炎の予防:口腔を清潔に保つ、水分補給をしっかりする、睡眠や運動、食生活を見直すことが重要です。

ウイルス性口内炎と間違えやすい症状・病気:アフタ性口内炎や手足口病、ヘルパンギーナ、口腔がん、など

ウイルス性口内炎の治療を行っている診療科:一般的な歯科、歯科口腔外科

この記事の目次

1.ウイルス性口内炎とは

ウイルス性口内炎とは、その名のとおりウイルスの感染によって起こる口内炎の総称です。代表的なものとしてはヘルペスウイルスが原因となるケースが多く、特に子どもや免疫力が低下している人がかかりやすいという特徴があります。

ウイルス性の口内炎は、複数の水ぶくれやただれを伴うことが多く、場合によっては発熱や全身の倦怠感を伴うこともあるため、一般的にイメージされる口内炎よりも重症化しやすい点に注意が必要です。また、ウイルスが関係しているため家族や周囲にうつるリスクがある点も見逃せません。

 

ほかの口内炎の種類

「ウイルス性口内炎」とひとくちに言っても、その原因はさまざまです。たとえば、ヘルペスウイルスによるものもあれば、別のウイルスが関与している場合もあります。ただし、口内炎全体で見ると、ウイルスが原因ではないタイプも多く存在します。原因や症状が異なるため、治療法や予防法にも違いが出てきます。

ここでは、代表的な口内炎の種類についてわかりやすくまとめています。

名称 

特徴 

原因 

アフタ性 

・小さな白い潰瘍ができ、周囲が赤くただれる 
・ 痛みが強く、食事や会話に不便を感じる 
・免疫力がある程度保たれていれば、数日~1週間ほどで自然治癒することが多い 

・疲れやストレス 
・ビタミン不足 
・歯磨き時の傷など 
※はっきり解明されていない部分もある 

カタル性 

・機械的刺激(歯科治療や歯磨き時の傷)や熱い 
・飲食物が原因で粘膜が炎症が起こる 

・潰瘍が小さい場合や赤く腫れる程度で済む 
・ 口内環境が悪化すると痛みが強くなる 

・飲み物によるやけど 
・歯科治療時の粘膜損傷 
・口腔内の乾燥や不潔な状態 

ヘルペス性 

・ヘルペスウイルスが活性化することで発症し 水ぶくれや複数の潰瘍が同時に出る 
・発熱やリンパの腫れを伴うことも多い 
・ 痛みが強く、食事や水分補給が困難になるほど悪化する場合がある 
・他者への感染リスクがある 

・免疫力の低下 

カンジタ性 

・カンジダ菌(カビの一種)が原因で発症 
・口の中が白い苔のようになる 
・粘膜をこすると白いカスが取れることがあり 

・抵抗力が落ちている人や高齢者、乳幼児、抗生物質を長期使用している方に多い 

・カンジダ菌の増殖 
・免疫力・体力の低下 
・口腔内環境の乱れ 

2.ウイルス性口内炎の症状

ウイルス性口内炎の主な症状は、口の中や唇のまわりにできる水ぶくれやただれです。患部は白っぽく変色したり、赤く腫れて炎症を起こすことが多く見られます。

初期には、ピリピリとした軽い痛みや違和感から始まり、次第に食べ物や飲み物がしみるほどの強い痛みに変わることもあります。

症状が進むと、食事がとりづらくなったり、会話中に傷に触れて痛みを感じるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。また、発熱や全身のだるさ(倦怠感)を伴うこともあり、疲れやストレスがたまっていると症状が重くなりやすい傾向があります。

3.ウイルス性口内炎の原因

ウイルス性口内炎の原因は、単純ヘルペスウイルスやエンテロウイルス(コクサッキーウイルスなど)です。ただし、感染しても必ず発症するわけではなく、免疫力がしっかり働いているときには症状が現れにくいと言われています。

一方、体の抵抗力が弱まっている状態でウイルスに接触すると、口内の粘膜が傷つきやすくなり、炎症を起こすリスクが高まります。ストレスや睡眠不足などで生活リズムが乱れているときに発症しやすいとされており、栄養状態や疲労の蓄積も大きく影響します。

4.ウイルス性口内炎の検査・診断

ウイルス性口内炎の検査・診断は、医師が患部の見た目や患者さんの症状を確認して診断をつけることが多いです。通常は視診と触診によって、口の中の水ぶくれや潰瘍の形状・広がり方などを確認し、発熱の有無や全身症状との関連を総合的に判断していきます。

原因となるウイルスが特定できないときや重症化している場合には、血液検査や病変部の検体を採取してウイルスを特定するケースもあります。ただし、一般的にはそこまで詳細な検査をしなくても症状の特徴からある程度の見極めが可能です。

5.ウイルス性口内炎の治療

ウイルス性口内炎の治療は、まず痛みや炎症をやわらげることを目的とした対症療法が中心になります。軽い症状であれば、口の中を清潔に保ちつつ、刺激の強い食べ物や飲み物を避けて自然に治るのを待つことが基本です。うがい薬で口をゆすぐことで、症状の改善が期待できます。痛みや熱がある場合は、鎮痛薬や抗炎症薬を使用することで痛みが和らぎます。

また、原因がウイルス感染と明確に診断された場合には、抗ウイルス薬が処方されることもあります。ただし、ウイルスの種類によっては有効な薬が限られているため、治療の中心は免疫力の回復をサポートしながら症状をコントロールしていくことになります。

さらに、補助的な治療としてレーザー治療が用いられることもあります。レーザーを患部に照射することで、痛みを軽減したり、傷の治りを早めたりする効果が期待できます。ただし、レーザーにはウイルスそのものを除去する力はないため、あくまで対症療法のひとつとして位置づけられます。症状の程度や全身の状態をふまえて、医師と相談しながら適切な治療方法を選ぶことが大切です。

<主な治療>
・軽度の場合:自然治癒を待つ、十分な水分と休養
・痛みや熱がある場合:鎮痛薬、解熱薬
・ウイルスが原因と特定できる場合:抗ウイルス薬(アシクロビルなど)
・炎症を抑え、早く治したい場合:レーザー治療

6.ウイルス性口内炎の予防

ウイルス性口内炎の予防は、しっかりとセルフケアを行えば症状を軽く抑えたり、次回以降の発症リスクを下げたりすることが期待できます。以下にて、いくつかの予防方法について紹介します。

 

口腔を清潔に保つ

口の中を常に清潔にしておくことで、炎症を悪化させる雑菌の繁殖を抑制できます。

ウイルス性口内炎の場合は痛みがあるため、歯磨きが億劫になってしまうかもしれませんが、優しく丁寧にブラッシングするだけでも口腔内の衛生状態を良好に保つことができます。特に傷ついている粘膜は刺激を受けやすいため、やさしい圧で磨きながら、殺菌作用のあるうがい薬を適度に使うことが効果的です。

 

水分補給をしっかりする

ウイルス性口内炎のときに、痛みが理由で水分摂取が滞りがちになると、口腔内の粘膜が乾燥して余計に炎症が悪化しやすくなります。

特に発熱を伴う場合は脱水状態に陥りやすいため、少しでも飲みやすい形で水分を摂ることを意識しましょう。摂取時の痛みが気になる人は、冷たい飲み物や温度の低いスープなど、比較的刺激の少ない形状で取り入れてみるのも一つの方法です。

 

免疫力向上に効果的な食生活に切り替える

栄養バランスの乱れがウイルス性口内炎を呼び寄せる要因になり得るならば、それを整えることで回復を促し、再発を予防することにもつながります。

具体的には、ビタミンB群やビタミンC、ミネラルを意識的に摂取することが推奨されており、これらは粘膜の修復や免疫機能の維持に役立ちます。葉物野菜や果物を毎日の食事に加えたり、魚や卵など良質なたんぱく質をバランスよく取り入れたりすることで、身体が自らの力でウイルスに抵抗できる土台を作ることができます。

 

睡眠や運動など生活習慣を見直す

ウイルス性口内炎が生じる背景には、疲労の蓄積やストレス、そして生活習慣の乱れが深く関わっています。どれだけ口腔ケアや栄養補給に力を入れても、慢性的な睡眠不足や運動不足が続いていると、体の修復力と抵抗力は思うように向上しません。

そこで、まずは毎日決まった時間に眠り、一定の睡眠時間を確保することを目標にしてみましょう。さらに運動不足が気になる人は、通勤や通学の際に一駅分歩いてみるなど、普段の生活に少しずつ体を動かす要素を取り入れるだけでも大きな変化が期待できます。

7.ウイルス性口内炎に似ている病気(疾患)

ウイルス性口内炎に似ている病気は、アフタ性口内炎や手足口病、ヘルパンギーナなどが挙げられます。 アフタ性口内炎は、精神的なストレスや栄養不足が引き金となることが多く、ウイルス感染とは異なるメカニズムで起こりますが、口の中にできる潰瘍の見た目が似ているため混同されやすいです。

手足口病やヘルパンギーナは主にエンテロウイルスによって引き起こされる感染症で、子どもがかかりやすいという特徴があります。特に手足口病は、その名のとおり手足にも水ぶくれが出るため比較的区別しやすいのですが、大人にも感染することがあり、症状が口の中だけに集中するとウイルス性口内炎と見分けがつきにくい場合があります。

また、確率としては低いですが、口腔ガンの可能性もあります。口内炎ができたら目視で判断せずに歯科医院を受診するように心がけましょう。

8.この病気・疾患に対応している歯科の診療科目

一般的な歯科、口腔外科

 

\ 近くの歯医者さんをさがす /

\ 近くの歯科口腔外科をさがす /

監修医

古橋 淳一先生

あおぞら歯科クリニック本院 理事長・院長

経歴

2000年 広島大学歯学部 卒業
2000年~2001年 医療法人社団 不二見会 ふじみ歯科医院浦安診療所 勤務
2001年~2005年 医療法人社団 不二見会 ふじみ歯科医院南行徳診療所 勤務(所長)
2005年 あおぞら歯科クリニック 開院
2007年 医療法人社団爽晴会 設立・理事長就任
2010年 あおぞら歯科クリニック鎌ヶ谷 開院
2012年 あおぞら歯科クリニック新館 開院
2015年 なないろ歯科クリニック 開院
2017年 あおぞら歯科クリニック下総中山 開院
現在に至る

この記事は役にたちましたか?

  • すごく
  • いいね
  • ふつう
  • あまり
  • ぜんぜん
不正確な情報を報告

歯医者さんを探す