毎日使用する歯ブラシですが、すぐ広がってしまって困っている、という方も多いのではないでしょうか?
歯ブラシがすぐ広がってしまうと買い換えの手間も発生しますし、何よりコストがかかってしまいます。
また、歯や歯茎など口腔内に傷をつけてしまい、そこから菌が入り炎症を起こすこともあります。
この記事では、歯ブラシがすぐ広がる原因や起こりうる口腔内トラブル、正しい歯磨き方法などについてご紹介します。
この記事の目次
1.歯ブラシがすぐ広がってしまうのはなぜ?
1-1.歯磨きに強い力が入っている
歯磨きをするときに力が入りすぎていると、歯ブラシが広がる要因となります。
そもそも歯ブラシは「消耗品」ですので使っていくうちに広がっていくことは自然なことですが、もし短い期間で広がってしまう場合は歯磨き方法の見直しが必要です。歯ブラシの寿命は約1カ月といわれているため、それより短い期間で広がってしまう場合は力の加減を調整し、正しい歯ブラシの持ち方に変えた方がいいでしょう。
1-2.歯ブラシの持ち方が間違っている
ほかにも歯ブラシの持ち方が間違っていると、前述のケースと同様に強い力が入りやすくなるため、歯ブラシが広がりやすくなります。
例えば「手をグーにして歯ブラシを握っている」場合、力加減が難しいため力が入りすぎている可能性があります。
1-3.ブラッシングの向きが間違っている
間違ったブラッシングをしていると、歯ブラシはすぐ広がります。歯は縦使い、歯茎には軽い横マッサージを入れるといいでしょう。
大きなストロークをつけて歯磨きをすると、必要以上に歯ブラシの根元が引っ張られる状態となりますので、消耗が早くなってしまいます。歯ブラシは小刻みに動かすと広がりにくくなります。
2.間違ったブラッシングは危険
2-1.歯茎を傷つけてしまう
歯磨きは本来、虫歯や歯周病を予防するために非常に大切なことです。ですが、その歯磨きの方法が間違っていると、逆に歯や歯茎にダメージを与えてしまいます。力が入りすぎたブラッシングや、広がった歯ブラシを使い続けることが要因となります。
間違ったブラッシングによる歯茎への弊害
・歯肉退縮
歯肉が痩せていき、歯の表面が多く露出していく状態です。一つ一つの歯が長く見えるようになることが特徴です。
露出した部分は虫歯や歯周病になりやすく、徐々に下がっていくため気づくのが遅くなることもあり、注意が必要です。
・擦過傷(さっかしょう)
間違ったブラッシングによって、口の中を傷つけた状態のことです。磨き方以外にも、固い歯ブラシを使用していると傷つけてしまうことがあります。擦過傷が要因となり歯肉退縮が起こるケースもあります。
・クレフト
アルファベットの「V」の文字のように歯肉が裂けた状態のことです。強く磨きすぎることによる外傷といわれていますが、かみ合わせが悪いために起こることもあります。
・フェストゥーン
強いブラッシンングによって、歯肉が腫れ上がった状態のことです。浮き輪状に盛り上がったり、歯茎の形が変わったりします。
2-2.歯磨き粉と歯茎が擦れて炎症が起こる
強すぎるブラッシングや、磨き方以外に「歯磨き粉」が原因となる傷もあります。歯磨き粉には研磨剤が含まれているので、付けすぎた場合は歯や歯肉にダメージを与えてしまいます。
歯磨き粉による弊害
・楔状欠損(くさびじょうけっそん)
強いブラッシングや、歯磨き粉の研磨剤によって歯の根元が削れた状態のことです。「摩耗症」とも呼ばれます。
歯が徐々に削れていき、エナメル質が削られてしまうと神経に近いところが露出してしまい「知覚過敏」の原因になります。
・皿状欠損
歯がお皿のように平たく削れてしまった状態です。
原因や症状はほとんど楔状欠損と同じです。
3.正しい歯磨きの方法とは?
3-1.正しい持ち方をする
正しい歯磨きで重要なのが「正しい歯ブラシの持ち方」です。歯ブラシがすぐ広がってしまうのは、正しい持ち方、力加減ができていないことが原因です。
大人の方は基本的に、「ペングリップ」と呼ばれる鉛筆を持つ持ち方が推奨されます。
持ち方を変えるだけで自然と強い力が入りにくくなるので、歯や歯肉を傷つけなくなるでしょう。磨くときの力は100~200g程度で十分とされています。計りがあれば、歯ブラシを当ててみたり、指で押してみたりしながら力加減を把握するとよいでしょう。
3-2.小刻みに磨く
大きく歯ブラシを動かすよりも小刻みに動かして磨くことでプラークが取れやすく、歯ブラシもすぐ広がらずに済みます。
1本~2本ずつ磨いていく気持ちで小さく(1mm~2mm)動かしてみてください。
歯ブラシの毛先をきちんと歯に当てて、ペングリップで優しく磨くのがコツです。特に磨き残しが多い箇所は丁寧に磨きましょう。
磨き残しが多い箇所
・歯と歯の間
・歯と歯茎の境目
・奥歯
・歯の裏側
・凹凸が大きい箇所
前歯の裏側や、歯並びが凸凹している箇所は、歯ブラシを縦にして磨いていきましょう。
3-3.交換時期は?
歯ブラシは毛先の広がりとは関係なく、1カ月程度で取り替えた方がよいとされています。
理由としては以下の2点です。
・歯ブラシの機能が落ちるから
・衛生面から
歯ブラシの毛は1カ月程度でコシがなくなり、ブラシとしての機能が落ちていきます。するとプラークを残しやすくなってしまうため、歯ブラシが広がっていなくても取り替えた方が口の中の健康を保つことができます。
また、衛生面でみても、口の中は雑菌だらけなので長期間使用するのは避けましょう。
歯ブラシを取り替えるだけで歯磨きの効率がとても上がります。
4.おすすめの歯ブラシは?
正しい歯磨きの方法を実践する上で、自分に合った歯ブラシを選ぶことも重要となります。
歯ブラシがすぐ広がってしまう方には、毛の硬さが「やわらかめ」で「コンパクトヘッド」のタイプがおすすめです。それ以外にも歯ブラシにはさまざまなタイプがあるので紹介します。
歯ブラシの毛の硬さ
・やわらかめ:歯や歯茎を傷つけにくい
・ふつう:オーソドックスで誰でも使いやすい
・かため:プラークを落としやすいが、力が入りやすく口の中を傷つけやすい
ヘッドのサイズ
・コンパクトヘッド:細かく磨けて、奥歯まで届きやすい
・大きめヘッド:平たい部分は磨きやすいが、細かいところの歯磨きには向かない
歯ブラシの毛先
・山型、ギザギザ:歯にフィットしやすく隙間のプラークを落としやすい
・平ら:細かいところよりも平たい部分が磨きやすい
5.まとめ
歯ブラシがすぐ広がってしまうのは、歯磨きの際に「力が入りすぎていること」と「正しい磨き方ができていないこと」が原因です。間違ったブラッシングや広がってしまった歯ブラシのままでは、口内トラブルを招いてしまう恐れがあります。歯医者さんでは正しいブラッシング指導を行っているところもありますので、定期的に受診することをおすすめします。
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監修医
小川 隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る
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