お子さんもしくは自身の歯並びが悪く、舌癖(ぜつへき)と歯並びの関連性が気になりこの記事へたどり着いた方、少なくないと思います。
こちらの記事では、舌癖の特徴や歯並びに与える影響の説明ほか、代表的な舌癖のトレーニング方法についても解説しています。また、歯医者さんで舌癖のトレーニングをおこなう場合の治療費についても記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。各院の治療方針をお確かめのうえ、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.舌癖の特徴や原因・歯並びとの関係について
1-1.舌癖とは具体的にどのようなもの?
舌癖とは、無意識のうちに上下の歯の隙間から舌を出してしまったり、飲み込むときに舌を前へ押し出してしまったりする行為をいいます。正常とは異なる舌の動かし方をすることで歯並びに悪影響を及ぼすといわれており、舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)とも呼ばれています。正しい舌の位置は上顎の前歯の付け根あたりに舌先が触れてる状態ですが、舌癖があると舌が常に歯に触れているような状態となってしまうことが多いようです。
1-2.舌癖がついてしまう原因
舌癖の原因は、「指しゃぶりで前歯に隙間ができてしまい、そこから舌を出すことが癖になった」「乳歯を早期に喪失し、できた隙間に舌を押し付けることが癖になった」といったように、幼児期に癖がついてしまうケースが挙げられます。
また、口呼吸が舌癖の原因となることもあり、鼻の通りが悪く口呼吸することが多くなると舌が下がり歯に接触する機会が増えてしまうようです。
さらに、舌が通常より大きい場合や舌の裏側にある筋の異常ほか、遺伝なども舌癖の原因となる場合があります。
1-3.舌癖が歯並びに及ぼす影響
前歯を押す癖や隙間に歯を入れる癖が習慣づいてしまうと、歯が動いてしまい前歯が前に出てしまったり、上下の歯の間に隙間ができてしまうことがあります。また、舌を前につきだした状態で発音や食事をしていると、歯がものを噛まなくなって出っ歯になってしまったり、開咬(かいこう:口を閉じても上と下の歯の間に隙間がある状態)になってしまうことがあります。
たとえ矯正治療で歯並びを整えても、舌癖を治さない限り歯並びが元に戻ってしまう可能性が高いため、歯並びを整える前に舌癖を治すことが重要です。
2.自宅でできる代表的なトレーニング方法
2-1.舌を正しい位置に導くためのスポットポジション
舌のトレーニングを始めるにあたって、まず最初に覚えたいのがスポットと呼ばれる舌の先が触れるべき正しいポジションです。スポットは上顎の前歯の付け根あたりにあります。
最初に位置を確認するため、スティック(箸などでOK)をスポットに3秒ほど当てます。次にスティックを外しスポットへ舌を3秒間当てます。舌を丸めず尖らせてスポットに触れるのがポイントです。これを一連の動作として5回ほど繰り返します。
トレーニングをしているときだけでなく、日頃から舌の位置がスポットにあるかどうか意識することが大切です。
2-2.舌打ちのトレーニング
ホッピングといって、舌全体を上へ持ち上げて舌を鍛えるトレーニングです。
口を大きく開けて舌全体を上顎に向かって吸いつけます。同時に舌の裏側にあるヒダを伸ばすことを意識します。このとき、舌先はスポットポジションにおき、上の歯の内側に舌全体をおさめることと、左右対称に吸いつけることがポイントです。
次に上顎から舌を離して、「ポン」と音を立てましょう。
この流れを一連の動作として、1日10回を目安に繰り返しましょう。
2-3.ガムを使ったトレーニング
ガムを使ったトレーニングは以下の手順となります。
1.ガムを噛み舌の上で丸くする
2.ガムをスポットに貼りつける
3.舌でガムを押し広げ、同時に奥歯を強く噛みしめる
4.ガムを舌で押し付けたまま唾液を飲み込む
まずはスポットへガムを貼りつけることができるように練習します。
また、3の時点で前歯にガムがついてしまうようであれば、1からやり直しましょう。
この動作ができないのは舌の力が足りていない証拠ですから、1日3分以上トレーニングして舌を鍛えましょう。
なお、虫歯を防ぐために無糖のガムを使用するのがいいでしょう。
2-4.ストローを使用するトレーニング
ストローを使ったトレーニングは、ものを飲み込む動作の練習となります。
舌の先端をスポットにつけた状態で舌全部を上顎に張りつけ、上の犬歯の後方からストローを差し込みます。ストローを舌の裏側に当てながら歯を軽く噛み合わせたら、霧吹きを使い口の横から奥歯に向けて水をふき入れていきます。それをそのまま吸い込む動作を左右交互に5回ずつ繰り返しましょう。
ストローを使ったトレーニングはもうひとつあります。
舌を上顎につけておくことを意識づけるためのトレーニングで、上の犬歯の後方にストローを配置し、舌をスポットに当てたままストローを歯で噛み口を軽く閉じます。
パソコン作業をしたり本を読んだりしながらでも構いませんので、この状態を5分以上続けるようにしましょう。
2-5.口の開閉を繰り返すトレーニング
口を開けたり閉じたりするトレーニングも、継続することで舌の筋肉強化につながります。
舌先をスポットに当てたまま口の開閉を繰り返すシンプルなもので、忙しい方でも簡単に取り入れやすいです。
2-6.唇を動かすリップエクササイズ
舌だけでなく、お口の周りを鍛えることも舌癖を治すために役立ちます。
たとえば、前歯と唇の間に紐をつけたボタンをはさみ、奥歯を噛んだ状態で紐をひきはずれないようにするトレーニングがあります。
また、割りばしなど棒状のものを唇にはさんでお口を閉じたまま保つトレーニングや、風船を膨らましたりすることでも唇や頬の筋力強化が期待できます。
3.舌癖トレーニングを歯医者さんでおこなう場合
3-1.舌癖トレーニングの進め方や期間
舌癖を治す訓練をおこなっている歯医者さんもあります。
舌癖のトレーニングはMFT(口腔筋機能療法)と呼ばれていて、検査や診断をおこなったうえで段階的にトレーニングを進めていきます。
イメージとしては、歯医者さんでトレーニング方法を教わり、それを毎日自宅で練習してできるようになったら次のステップへ進むといった形です。
3-2.舌癖のトレーニングにかかる費用はどのくらい?
歯医者さんで舌癖のトレーニングを受ける場合の料金は、1回につき3,000円から8,000円を目安に考えるとよいでしょう。そのほか、検査・診断費として5,000円から30,000円ほど必要となります。
4.まとめ
舌癖のトレーニング方法について紹介してきました。
この記事を参考にして、舌癖のトレーニング方法を試してみましょう。どうしてもうまくできないときは歯医者さんに相談してみるのもいいでしょう。
舌癖をそのままにしておくと発音や歯並びにも大きく関係してくるため、早めにトレーニングを開始することが大切です。
【監修医 貝塚浩二先生のコメント】
口腔筋機能療法をMFT(Myofunctional Therapy)といい、お口の周りの筋肉のトレーニングにより、舌の位置や唇の位置を是正し、バランスを整えるトレーニングになります。嘘かと思うかもしれませんが、癖がないだけでもだいぶ歯並びの治療もしやすくなります。逆に、癖がなかなかとれないと、矯正治療が完了しにくく、終了したとしても後戻りしてしまう可能性が高いです。MFTは子供から大人まで行う治療になりますし、自宅でも行うことができますので、気になる方は一度専門の歯科医院にご相談ください。
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監修医
貝塚 浩二先生
コージ歯科 院長
経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る
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