「口内炎に穴があいた」「白い口内炎が気になる」など、口内炎ができたときこのまま様子をみてよいのか、自宅でのケアはどうすればよいのかといった悩みを持つ方も多いようです。
また、症状によっては数週間続く口内炎もあります。
ここでは、口内炎がなかなか治らない場合にはどのような病気が考えられるか?といった点もまとめています。
治療方法やセルフケアについてもまとめていますので、口内炎を早く治したい、とお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
1.口内炎に穴があく原因は?
1-1.口内炎が重症化したケース
一般的に口内炎といえば歯茎や唇、頬および舌の粘膜部など「口のなかや唇の周辺」にできる炎症を持った病気のことを指します。
生活習慣の乱れなどで起こる場合が多いですが、なかにはウイルス性の口内炎や、お口のなかの常在菌であるカンジダ菌に感染して口内炎ができる方もいます。
軽い症状ですと「食事や歯磨きの際に少し痛む」程度で、口内炎の状態も赤い小さなブツブツや腫れがあるくらいです。
しかし、口内炎が重症化すると「びらん(ただれ)ができている」「穴や水疱ができている」といった症状が現れ、食事や会話が困難な状況になるケースもあります。
1-2.歯茎のできものはフィステルの恐れも
フィステルとは、歯茎のなかにたまった膿を外に出そうとする通路(瘻孔)のことを言います。
歯に対してなにかしらの問題が起こることで根の先端部分に膿がたまり、歯茎に収まりきらなくなると外に排出するために発生することがあります。
過去に虫歯の神経を取ったが歯の根っこが再感染を起こしてしまった、歯の根っこにヒビが入ってしまった、といった原因が考えられます。
また、歯周病が重症化した際に、深い歯周ポケットのなかが原因になることもあります。
1-3.細菌感染によるもの
「潰瘍性口内炎」は、ウイルス感染が原因と考えられています。
またほかにも、口の不潔な状態が続いて歯周病菌が急激に増えてしまったり、合わない入れ歯や虫歯を治療せずにいると傷をつくったりして、潰瘍や出血をともなう場合があります。
そのほかにウイルスや細菌が要因となる口内炎として、「疱疹性口内炎」というものがあります。
水疱ができるため、この水疱が破れることで潰瘍ができるケースがあります。
1-4.そのほかの原因
口内炎に穴があいてしまうほどの症状が続いたり、大きな口内炎ができたりする場合は、「ベーチェット病」や「クローン病」といった病気が潜んでいるケースもあります。
これらの病気は、症状のひとつとして口内炎をともなうことがあります。
特にベーチェット病は、ほとんどの患者さんに口内炎ができるとされています。
全身的な病気なので、口内炎以外にも陰部の潰瘍や皮膚症状(結節性紅斑など)、眼症状(ぶどう膜炎など)をともなうのが一般的です。
原因が明らかではありませんが、自己免疫疾患のひとつと考えられています。
2.口内炎の症状別でチェック!もしかしたらこんな病気のサインかも
2-1.口内炎に穴があいている方
口内炎に穴があいた場合、次のような病気が考えられます。具体的にどのような症状がでるのか、確認してみてください。
・壊死性潰瘍性口内炎…歯茎や舌、上あごなどに潰瘍をつくってかさぶたとなり、それをはがすと出血するといった症状がでている方は、「潰瘍性口内炎」であることが考えられます。
強い口臭をともないます。
・アフタ性口内炎…唇や頬など粘膜部にできて「なにもしなくても痛い」「食事の際に傷む」などの症状が挙げられ、丸みがかった黄白色の潰瘍で潰瘍の周りは赤くなっているのが特徴です。
一般的な口内炎ですが、悪化すると穴があいてしまうケースがあります。
小さいアフタ性潰瘍は2~8mm程度の範囲内ですが、大きいものでは1cm以上の潰瘍を形成する場合もあります。
・ベーチェット病…強い痛みのあるアフタ性潰瘍をくり返し形成するほかにも、陰部に潰瘍をつくる・皮膚に赤い腫れや眼にはぶどう膜炎など、全身にさまざまな合併症を起こすのが特徴です。
2-2.白い口内炎ができてしまった方
白い口内炎のある場合、以下のような原因が考えられます。
・フィステル…歯茎に白いおできのようなものをつくり、押すと膿がでることもあります。
フィステルができた場合は、歯医者さんで治療しないと基本的には改善しません。
口内炎が頻発している方や指で押すと膿がでる方は、早めに歯医者さんへ相談しましょう。
・アフタ性口内炎…2~8mm程度の白っぽい丸模様の潰瘍をつくることがあり、1週間前後で自然に治る場合が多いです。
2-3.口内炎が複数箇所ある方
「口内炎に水疱のようなポツポツがたくさんできている」「口内炎以外にも高熱がある」そういった症状のある方は、ウイルスに感染したことが要因となっている場合があります。
ウイルス感染が要因となる口内炎には、以下のような種類が挙げられます。
・ヘルペスウイルス 主に3歳までの小さな子どもに発症しやすく、強い痛みをともなった複数の口内炎や39度前後の発熱があります。
・ヘルパンギーナ 「夏かぜ」とも呼ばれ、子どもを中心に夏ごろの季節に多発します。
39度以上の熱のほか、上あごや喉に水疱・口内炎ができます。
・手足口病 発熱するケースもあるが高熱になることはあまりなく、口内炎以外に手や足の裏に水疱ができるのが特徴です。
2-4.数週間続いている治りにくい口内炎がある
口内炎でなく、ほかに重篤な病気が潜んでいるケースもあります。例として以下のようなものがあります。
・唾石症 主に舌の裏側に腫れがあるのが特徴で、口にだ液を送る排泄管のなかに石が詰まる病気です。
石によってだ液の流れを詰まらせてしまい、痛みや腫れが起こる場合もあります。
・白板症 粘膜や舌が白くなって、こすってもはがれることはなく、口のなかのさまざまな部位で起こる病気です。
「前がん病変」とも呼ばれ、注意が必要です。
・口腔ガン 初期は自覚もあまりなく、比較的小さな赤い腫れやしこり、ただれなど口内炎の症状と似ていますが、進行すれば大きな痛みやしこりがみられることがあります。
3.口内炎はどのような治療方法があるのか
3-1.歯医者さんでの治療方法
歯医者さんではステロイド軟膏や殺菌作用のあるうがい薬を処方するといった対応のほかにも、口内炎に直接作用するレーザー治療をおこなうケースもあります。
レーザー治療では、患部を一瞬だけ高熱で焼き、炎症部分を殺菌します。
一般的には自由診療となるため、費用は歯医者さんによって異なります。
3-2.セルフケアではどのような方法がある?
アフタ性口内炎など、自身の免疫力が低下することによって起こりうる口内炎では、自宅でのケアで口内炎が早めに改善される場合もあります。
具体的には以下のことに気を付けてみてください。
・食事について 胃腸にやさしい食事を心がけ、刺激物や辛いものは避けましょう。
・嗜好品は控える アルコールやたばこも身体のなかのビタミンを破壊させる恐れがありますので、できるだけ控えましょう。
・体調面 睡眠不足など生活習慣の乱れで口内炎をつくってしまう場合がありますので、しっかり休養を取るようにしましょう。
・入れ歯や歯に不具合はないかチェック 口の粘膜を傷つける要因として「合っていない入れ歯」「虫歯を治療せず穴があいたまま」が挙げられます。
・歯磨きの際 口のなかを清潔に保ち、やわらかめの歯ブラシを選ぶこと、歯磨き粉は低刺激のものに切り替えることといった工夫が必要です。
・市販薬の活用 貼り薬や塗り薬をはじめとして、口内炎に作用する市販薬はさまざまな種類が取りそろえられているので、上手に活用しましょう。
4.まとめ
口内炎に穴があいてしまった理由としては、口内炎の悪化のほか、口内炎に似た別の症状というケースも考えられます。
ストレスや睡眠不足による比較的小さな口内炎であれば、セルフケアで様子をみてもよいですが、「食事が困難」など日常に支障がでてきた場合は無理をせずに医療機関を受診するようにしましょう。
歯医者さんではレーザー治療や塗り薬で口内炎の処置をおこないます。
もし、数週間経っても治りにくい口内炎の場合は、白板症や口腔ガンの恐れもありますので、症状が治りにくい方は早めに歯医者さんに相談されるとよいでしょう。
【あわせて読みたい】
・病院を受診したほうがいい口内炎とは?症状別に考えられる疾患を紹介

監修医
遠藤 三樹夫先生
遠藤歯科クリニック 院長
経歴
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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