黒い歯石は放置すると危険!黒くなる原因と対処法、予防策も

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歯石 黒い

歯石というと白いものというイメージがありますが、実は黒い歯石も存在します。そして、白い歯石より黒い歯石の方がはるかにたちが悪く、危険なのです。

この記事では、黒い歯石ができる原因とその特徴を、除去方法とともに解説しています。黒い歯石の予防策と、自分で取っていいのかどうかについてもまとめているので参考にしてください。

この記事の目次

1.黒い歯石ができる原因と特徴

歯石とは、歯垢(プラーク)が唾液のカルシウムやリンと結びついて、白く石灰化したものです。歯石自体が歯や歯茎を攻撃することはありませんが、歯石が付着していると歯垢が溜まりやすくなるので、歯周病を引き起こす原因となります。

白い歯石は、歯茎の上の目に見えるところにできることから「歯肉縁上歯石」と呼ばれています。それでは、通常は白色である歯石がどうして黒くなるのか、その理由と特徴を見ていきましょう。

1-1.歯石が黒くなる理由

歯石 黒い

黒い歯石の正体は、歯垢に血液が混ざったものです。血液中の赤血球が含まれているため黒く見えます。当然、出血することが多い人ほど黒い歯石ができやすく、歯茎から血が出る原因の90%は歯周病です。つまり、白い歯石は赤ちゃんから大人まで誰にでもできるのに対して、黒い歯石は歯周病の人にできる可能性が高いというわけです。

1-2.黒い歯石ができやすい場所

黒い歯石は、歯茎からの出血が起こりやすい歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)にできます。「歯肉縁上歯石」と呼ばれる白い歯石に対して、目に見えない歯茎の中にできることから「歯肉縁下歯石」と呼ばれています。

1-3.黒い歯石は頑固にこびりつく

黒い歯石は、歯肉縁上歯石と比べるとゆっくり時間をかけて作られます。そのため、密度が高く歯に頑固にこびりつくため、白い歯石よりも除去が難しいです。

1-4.黒い歯石は口臭を引き起こす

歯石 黒い

自分では気づきにくいですが、黒い歯石が付いている場合は口臭がきつくなっていることが多いです。歯周ポケットに歯石が溜まっていると、その表面にどんどん歯垢が付着します。そうなると細菌が繁殖して、歯周病菌は悪臭を放つメチルメルカプタンを多く発生させます。そのため、強い口臭を引き起こす原因となります。

1-5.黒い歯石を放置すると危険

黒い歯石を放置しておくと、歯を支える骨が溶かされてグラグラするようになり、最終的に歯を失うことになります。黒い歯石ができるのは、歯茎からの出血が頻繁に起こっている状態であり、それは歯周病が悪化していることを意味しています。放置すると危険なため、歯石を除去して歯周病を改善する必要があります。

2.歯石を自分で取るのは厳禁

歯石 黒い

歯石を歯磨きで取ることはできません。つまようじなどを使用して根気よく頑張れば取れる場合もありますが、無理に取ろうとすると歯の表面のエナメル質を傷つけてしまいます。そのため、自分で歯石を取るのは厳禁です。

歯を守っているエナメル質が傷つくと虫歯になりやすいため、かえって口内環境を悪化させてしまいます。歯医者さんで取ってもらうようにしましょう。

歯石除去を歯医者さんで行ったほうがよい理由は【注意すべき歯石の取り方とは?歯医者で行うという正しい選択】でも説明しています。

3.黒い歯石の除去方法

3-1.スケーリング

先が鎌状になっているスケーラーという器具を使用して歯石を取り除きます。超音波スケーラーは毎秒25,000~40,000回の振動によって、歯石を粉々にして除去します。振動の力によって、歯の根に頑固にこびりついた黒い歯石も落とします。

歯周ポケット内の細かい作業は、スケーラーを使用して手動で削るように除去します。黒い歯石は付着力が強く、歯の根の形は複雑なため、歯石除去を1度に行うと2~3時間かかります。そのため、数回に分けて歯石を除去します。

3-2.フラップ手術

麻酔をした後、歯茎を切開して歯の根元に付着した歯石を除去する外科的処置です。歯周ポケットの深さが4mm以上のスケーラーが届かない場所にある歯石を取り除くときに用いられます。歯石を取り終わったら、歯茎を縫って1週間後を目安に抜糸を行います。

歯医者さんで行われる歯石除去の手順や方法など詳しい説明は【歯石除去は歯医者さんで受けるべき?手順と費用、期間は?】にも載っています。

4.黒い歯石を予防する方法

4-1.正しい歯磨きをする

毎日の歯磨きで歯垢をしっかり落とすことが、黒い歯石とその原因である歯周病を改善するのに重要です。歯垢を落として歯石が溜まりにくい口内環境を作りましょう。そのためにも正しい歯磨きを行う必要があります。

歯ブラシは45度の角度で当てて、歯と歯茎の間の歯垢を取り除くイメージで横に小刻みに動かします。歯石ができやすいのは、唾液が分泌される場所に近い前歯の裏側と奥歯の外側なので、この2カ所は重点的にケアするようにしましょう。

4-2.歯ブラシは1カ月で交換

歯石 黒い

歯ブラシは1カ月を目安に交換することをおすすめします。使用するにつれて毛先が広がっていくので、汚れを取り除く効果が1カ月で半分程度まで落ちてしまうからです。そのため、歯ブラシの毛先が正しく歯や歯茎に当たらず、磨き残しが増えてしまいます。

また、使用後に洗っても歯ブラシには目に見えない細菌や汚れが付着しています。細菌や汚れが溜まった歯ブラシで磨くのは、逆効果になってしまうので、月に1回新調するようにしてください。1カ月経たずに歯ブラシの毛先が広がってしまう場合は、ブラッシングの力が強すぎる可能性があります。力を入れすぎないよう鉛筆を持つイメージで、歯ブラシを持つようにしてみてください。

4-3.デンタルフロス、歯間ブラシを使う

歯石は歯と歯の間にもできやすいです。この部分は歯ブラシだけでは歯垢を取り除きにくいので、デンタルフロスや歯間ブラシを使ってケアするようにしましょう。デンタルフロスは柄の付いた「ホルダータイプ」と、糸を切って使用する「糸巻きタイプ」があります。ホルダータイプは初心者向けで使いやすいのでおすすめです。

歯間ブラシには、「I字型」と「L字型」の2種類があります。奥歯の歯間にも挿入しやすい「L字型」の歯間ブラシがおすすめです。サイズは5段階あるので、歯間の広さやお口の大きさに合ったものを選ぶようにしてください。

デンタルフロスも歯間ブラシも、夜寝る前の歯磨きが終わった後に行うのがもっとも効果的です。通常のブラッシングでは58%ですが、デンタルフロスでは85.9%、歯間ブラシを併用した場合は95.2%の歯垢を除去できると言われています。歯垢をしっかり取って歯周病による出血を抑えることができれば、黒い歯石ができるのを予防できます。

4-4.歯医者さんで定期検診を受ける

口内環境を健康に保つために、3カ月~半年に1度のペースで定期検診を受けることが推奨されています。歯磨きやデンタルフロス、歯間ブラシによるホームケアをしっかり行っても、すべての歯垢を落とし切るのは難しいです。そして、歯石は歯医者さんで除去してもらう必要があります。

定期検診で歯石の除去とともに、歯周病の状態や自宅でのセルフケアが正しく行われているかもチェックしてもらいます。毎日のケアと定期検診で、口内環境が改善されていけば、黒い歯石ができることもなくなります。

5.まとめ

黒い歯石の正体は、歯垢に血液が混ざって固まったものです。そして、歯茎から出血する原因のほとんどは歯周病です。つまり、黒い歯石は歯周病が進行している証拠であると言えます。

歯周病は放って置くと、歯を失ってしまう恐ろしい病気です。黒い歯石を発見したら、歯医者さんで除去してもらう必要があります。

 

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【監修医先生からのコメント】
歯石の沈着は歯周病の原因ですが、とくに歯石表面に付着したバイオフィルムと言ってばい菌の巣がまずいのです。
定期的な口腔ケアと毎日のセルフケアをしっかりおこなってください。

監修医

高村 剛先生

高村歯科医院 院長

経歴

出身校(最終学歴) 北海道医療大学 歯学部

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