予防歯科にかかる費用はどのくらい?どういう施術をするの?

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近年、予防歯科に注目が集まっています。予防歯科とは、虫歯や歯周病などが進行してから治療するのではなく、これらの疾患を未然に防ぐことを重視した治療のことです。予防歯科は、欧米ではすでに浸透しており、定期的に歯科健診を受けることが習慣となっています。

日本でも2012年に、厚生労働省が予防歯科を推奨するための基本的事項を制定するなど、その重要性が認められるようになりました。そこで、ここでは予防歯科の施術内容や費用などについてまとめてみました。

※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。

この記事の目次

1.予防歯科の具体的な手順

1-1 磨き残し、虫歯や歯周病などの確認

最初のステップとして、口内の状態を確認します。まずは患者さん自身が歯磨きをし、その後に染め出し液を使って、歯垢を目視できる状態にして磨き残しを確認してもらいます。

日々の磨き残しは、虫歯や歯周病の原因となるので、この検査結果を元に患者さん本人が自身の歯磨きを見直し、普段の歯磨きについて歯科衛生士から指導してもらいます。同時に口内に虫歯が発生していないか、歯周病が進行していないかを確認します。

歯医者さんが行うクリーニングに関する情報は、【歯のクリーニングとは?知って得する方法と種類】でも説明しているのでご活用ください。

1-2 歯石やバイオフィルムの除去

普段の歯磨きでは落としきれない歯垢や歯石、歯と歯の間や歯周ポケットなどに溜まった粘性のある細菌の集合体を、バイオフィルムと言います。バイオフィルムを、超音波を使用した専用の機械で除去していきます。これをPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング、プロによる専用の器具を使ったクリーニング)といいます。

これには口内に溜まった細菌を減らす効果もあります。磨き残しやケアが困難な部分なども含めて、隅々まで徹底的にクリーニングします。虫歯や歯周病の原因となる歯垢や歯石を取り除くことで、口内を清潔にして細菌の増殖を抑え、健康な状態に保つことができます。

1-3 表面を磨いてフッ素を塗布

超音波器具を使用して汚れを落としたばかりの歯は、表面がざらざらしています。そのままにしておくと、歯垢や細菌の温床となってしまいますので、歯の表面を磨いて綺麗に整えます。

PMTCが終わった後の歯は、フッ素がとても浸透しやすい状態になっています。仕上げにフッ素を塗布することで、歯の再石灰化が促進されて表面が強くなり、虫歯や汚れから歯を守ってくれます。

フッ素の塗布によって、虫歯予防効果は飛躍的に上昇します。コーティングを定着させるため、30分~約1時間後にうがいをして、全行程完了です。この間飲食は避けましょう。

フッ素に関する情報は【大人も知っておきたい!歯の健康にフッ素がいい理由】でも詳しく説明しています。

2.予防歯科にかかる費用

2-1 PMTC(プロによるクリーニング)

予防歯科で行われるPMTCは、病気の治療が目的の診療ではないので、原則自費診療です。しかし、歯周病に悪影響を及ぼす可能性のある方や、歯茎の再生治療などの外科的な処置を受けた方に限って、1カ月に一度という条件付きで、保険診療で受診することができます。

あくまで歯周病治療の一環として歯石除去を行いますので、虫歯と歯周病の検査も同時に実施しなければなりません。それでも費用は自費診療に比べて圧倒的に安く、検査費用と歯石除去全て込みで大体3,500円程度が相場と言われています。

一方、自費診療の場合は、医院が自由に診療内容や金額を決められるので、医院によって金額も内容も違います。そのため、一概には言えませんが、大体1万円ぐらいが相場になっています。

PMTCに関する詳しい情報は【たった一度でもキレイな歯になれる!歯科医のPMTCとは】にも掲載しています。

2-2 器具を購入してセルフケアする場合

歯科医院に通って歯石を除去する費用が勿体ないので、自分で歯石取り用のスケーラーを購入してケアをしたいという方もいらっしゃると思います。スケーラーはネット通販やドラッグストアでも販売されており、値段は2,000円~4,000円程です。一度購入すればずっと使用できますので費用は安く済みます。

しかし、口内には自分では除去できないような入り組んだ場所もあり、素人では歯や歯茎を傷つけてしまうといったリスクもあるので、隅々まで綺麗に歯石を除去するのは困難です。

毎回消毒する手間がかかる上、虫歯や歯周病などの疾患があっても、自分では気付きません。あまり推奨される手段ではありませんので、やはり少し費用はかかっても専門家に任せるのが得策です。

3.PMTCはどのくらいの頻度がベスト?

3-1 理想は3か月に一度

後述する例外を除くと、大多数の方は3カ月に一度PMTCを受けるのが理想です。なぜなら、歯磨きや歯間ブラシを使用していくら丁寧に歯を磨いても、完全に歯垢を落とすことはできないからです。歯垢は同じ場所に溜まり、虫歯や歯周病の原因となります。歯周ポケットは特に歯垢が溜まりやすく、深くなるとセルフケアが困難になってしまいます。

また、落としきれなかった歯垢は、時間が経つと歯石へと変化して、歯ブラシでは取れなくなってしまいます。日々の生活の中で、歯石はどうしても増えてしまいますので、定期的にPMTCを受けて歯垢や歯石を取り除きましょう。口内の健康を維持できますし、定期的に口内を観察することで、虫歯や歯周病などの口内の異変の早期発見にも繋がります。

3-2 虫歯になりにくい人は半年に一度でOK

歯周ポケットが浅く歯周病にかかっている心配の無い方、もしくは歯医者さんでの虫歯治療をほとんど経験したことの無い方は、上手にセルフケアができていると言えます。

しかし、歯周病は痛みなどの自覚症状をほぼ感じることなく進行してしまうので、お口の健康状態のチェックの意味合いも込めて、半年に一度PMTCを受けるといいでしょう。セルフケアで落としきれない部分の汚れは虫歯になりやすいので、虫歯予防にも有効です。

3-3 毎月行ったほうが良い人もいる

毎月PMTCを行った方が良い方は、何かしらの理由でセルフケアが上手にできない方です。歯磨きが上手でなかったり、不十分だったりすると口内に歯垢が残り、細菌も増えてやがては歯石に変化します。

虫歯になりやすく、頻繁に歯科で虫歯治療を行っている方も同様です。また、歯周病が進行してしまい、歯周ポケットが4mm以上深くなっている方は、セルフケアでは歯垢を除去できませんので、これ以上症状を悪化させないためにも毎月PMTCを行いましょう。

歯茎の再生療法を受けている方や、他の病気が原因で免疫力が低下し、歯周病の悪化に繋がる可能性のある方も同様です。これらの状態に当てはまる方は、こまめに歯垢を除去することで細菌の増加を阻止することができるので、毎月PMTCを受けることをおすすめします。

4.予防歯科に通った方が良い理由

4-1 歯の疾患を未然に防ぐ

定期的に予防歯科に通うことは、その名の通り虫歯や歯周病などの口内のトラブルを未然に防ぐことが目的です。プロの手によるメンテナンスで、口内のトラブルを元から断ち切ることができます。

たとえ疾患が見つかったとしても、早期発見・早期治療することができるので、ダメージが軽くて済みます。一生使う大切な歯を、健康な状態で維持できるのが、予防歯科のメリットです。

4-2 費用対効果が高く、結果安く済む

予防歯科に通って、定期健診を受けたりクリーニングをしたりすると、当然お金がかかります。虫歯や歯周病になっているかどうかわからないのに、歯医者さんに通ってお金を払うのは勿体ないという意見もあります。

しかし、定期健診をしっかり受けていれば、もし口内に疾患が発生しても、初期の段階で治療を開始することができます。治療期間や治療に伴う痛み、そして費用などあらゆる面において、負担が軽くて済みます。もし定期健診を受けずに、歯痛などの自覚症状が現れてから通院すると、症状はかなり進行しているので治療も一筋縄ではいきません。

さらに、治療費も高額になってしまいますので、定期健診を受けていた場合よりも様々な面で負担が大きくなります。総合的に考えて、予防歯科に定期的に通う方がメリットの方が多いでしょう。

5.まとめ

予防歯科は、重大な口内のトラブルを未然に防ぎ、お口の健康を生涯に渡って維持する非常に有効な手段です。予防歯科先進国のスウェーデンでは、なんと80歳時点で平均20本もの歯が残っているという実績もあります。

日本では、平均約10本程度なので、予防歯科がいかに効果的であるかが分かります。是非とも予防歯科を活用して、大切なお口の健康を守りましょう。

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監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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