口腔粘膜の異常かも?舌の変色や口内が痛む原因と対処法を解説

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口腔粘膜 異常

「舌が異常に白い」「口内炎がなかなか治らない」といったことがあると、不安になるのではないでしょうか。そのほか「水ぶくれが生じて痛くなる」など、口腔粘膜の異常としていろいろな症状があらわれる場合があります。この記事では、口腔粘膜に異常を生じる原因とその対処法についてわかりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

1.症状別に見る口腔粘膜に生じる病気と原因

1-1.白くなる症状が出て、痛みをともなう場合が多い

・アフタ性口内炎

一般的な口内炎で、患部は白い膜で覆われた潰瘍となることが多いです。強い痛みをともなうことが多く、食べ物や飲み物がしみます。原因としてはストレスや生活の乱れによる免疫力の低下が挙げられ、通常は1~2週間ほどで自然に治ります。長引く場合は自己免疫疾患のベーチェット病や天疱瘡の可能性もあるので気を付けましょう。

・手足口病

その名のとおり、手・足・口に水疱性の発疹ができる疾患ですが、おしりや肘・膝などにも症状が現れるケースもあります。夏季に流行するウイルス性の感染症で、発熱をともないます。子どもがかかるものと認知されていますが、大人でもかからないとは言えないので要注意です。一般的に手足にできた発疹には痛みはともないませんが、口腔内の発疹は痛むことが多いです。

・ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナも同様に多くは子どもがかかる疾患で、6月から初夏にかけて流行するウイルス性の感染症です。口の奥や喉周辺に小さな水疱ができ痛みをともなううえ、38度前後の熱も出ます。

・口腔扁平苔癬

口腔扁平苔癬とは粘膜が白くレースを編んだように見えるもので、その周囲は赤くなるのが特徴です。食べ物がしみる・接触痛があるといった症状が現れ、まれにがん化する場合もあります。確実な原因は不明なのですが、自己免疫疾患やストレス、代謝障害のほか歯科用金属のアレルギーなども考えられると言われています。

1-2.白くなる症状が出て痛みがない、弱い場合が多い

・口腔カンジダ症

カンジダは口のなかに常に存在している常在菌のひとつです。病気の発症や投薬などで免疫力が下がると、常在菌のバランスが崩れて口腔カンジダ症を発症する場合があります。こすると取れる白いコケのようなものが舌や粘膜に付着するのは偽膜性カンジダ症と呼びます。痛みがない、もしくは弱い場合が多いです。

・白板症

白板症も舌や頬の粘膜などに白いものが付着するのですが、こちらはこすっても取れません。初期段階では自覚症状がない場合が多いですが、進行したり何かと接触したりすると痛んだり飲み物や食べ物がしみることもあります。がん化する恐れがあるので早めに受診を考えましょう。

・ニコチン性口内炎

ニコチン性口内炎は、名前のとおり喫煙によって引き起こされます。はっきりとした原因はわかっていませんが、慢性的な喫煙によるニコチンやその他の化学物質が影響して口内炎の発症につながっていると考えられています。口蓋が赤く腫れた後に白くなって、粘膜はどんどん硬く厚くなります。痛みはさほど強くありませんが食べ物や飲み物がしみることがあり、口内炎とはいえ将来がんに進行する危険性はゼロではありません。

口腔粘膜 異常

1-3.赤くなる症状が出て、痛みをともなう場合が多い

・ヘルペス性口内炎

ヘルペス性口内炎は単純性ヘルペスウイルスによるもので、一度感染するとずっとウイルスを保持してしまいます。そのため、大人になっても疲労蓄積や抵抗力低下によって発症する場合があります。人やものを介して感染するため、ヘルペス性口内炎を発症した場合はタオルや食器、飲み物などの共有をしないよう気を付けましょう。できものが痛む、発熱、体のだるさ、顎下リンパ節の腫れといった症状が見られます。

・帯状疱疹

子供のころにかかる水ぼうそうの原因となる水痘帯状疱疹ウイルスが体内に残っていて、体調不良や加齢などによって免疫力が低下してウイルスが活性化し起こる疾患です。口腔粘膜だけでなく、広い範囲に帯状の発赤や水疱が現れ、痛みもともないます。神経にそって左右どちらかのみに症状が出るのが特徴です。

・萎縮性カンジダ症(紅斑性カンジダ症)

偽膜性と違い、粘膜部分が紅斑をともないヒリヒリと痛むうえ、口角炎を併発するケースもあります。

・アレルギー性口内炎

アレルギー反応によって口腔粘膜が炎症を起こして、かゆみや痛みが発生します。原因となるものはさまざまで、詰めものや被せもの、入れ歯などに使う金属だったり食べ物や薬だったりします。歯科用金属によるアレルギーは、口腔扁平苔癬の原因のひとつでもあるので、白くなる症状がでる場合もあります。

1-4.赤くなる症状で痛みがない、弱い場合が多い

・カタル性口内炎

カタル性口内炎とは口のなかを噛んでしまったり、入れ歯や義歯が粘膜にあたったりといった物理的刺激で起こる口内炎です。水疱や赤い腫れ、炎症などが見られますが数日で自然に治ります。軽度の場合は痛みが弱いことが多いですが、進行すると熱い物や辛い物がしみる場合もあります。

・紅板症

患部が鮮やかな赤色になり、痛みをともないます。悪性化するとがんになる前がん病変であり、白板症より発生率は低いですが、がん化する可能性が高いと言われています。

・舌がん

舌がんは舌の両脇にできるケースが多いとされています。痛みはあまりありませんが、硬いしこりができたり口内炎が治りにくかったりします。進行すると痛みや出血といった症状が出てきます。違和感があれば一度受診を検討しましょう。

 

2.口腔粘膜に異常があるときにできる対処法

2-1.お口の中を清潔にする

アフタ性口内炎やカタル性口内炎、ヘルペス性口内炎など細菌やウイルスが原因の口腔粘膜異常の場合、まず口のなかを清潔に保つようにします。口腔カンジダ症も同様です。簡単にできるのは歯磨きやうがいで口のなかをきれいにして菌の繁殖を抑えることです。気が付いたときに小まめにおこなうといいでしょう。歯ブラシで口のなかを傷つけないよう、やさしくおこなってください。

2-2.お口の中の乾燥を防ぐ

口のなかが乾くと粘膜の免疫力が下がるとともに細菌が繁殖しやすくなるため、先ほどのように一般的な口内炎ができているときにはできるだけ水分を取るようにしましょう。また、唾液には殺菌作用があるので、水分をとれない環境やトイレが近くて困る方はガムや飴を食べて唾液を増やしましょう。

2-3.バランスの良い食事や休養をとる

口内炎を早く治すにはビタミンB群を含む食べ物を中心に、バランスよく食事をすることが大切です。ビタミンB群は粘膜の新陳代謝を助けて修復を促す作用があります。ビタミンB2が含まれている食品の一例としては、納豆・いくら・いわし・サバ・パルメザンチーズ、レバーなどがあります。ビタミンB6はにんにく・抹茶・ごま・さんま・鮭・鶏肉などに多く含まれています。

食事に時間をかけられないときには市販のビタミン剤などに頼るのもいいでしょう。規則正しい生活でしっかりと休養をとり、免疫力を回復させることも大切です。

口腔粘膜 異常

2-4.様子を見て良くならないときは歯医者さんへ

自身でできる対策をして数日で良くなればいいですが、それでも症状が続く場合やできものが大きくなっているようなときには、痛みのあるなしにかかわらず早めに歯医者さんへ行きましょう。

扁平苔癬、白板症、紅板症、舌がん、帯状疱疹などの疾患だった場合には症状にあわせた治療が必要です。また、入れ歯や詰めものなどで物理的に傷がついてしまうときにはその原因を取り除かなければなりません。自分では気付きにくいこともあるので、違和感があれば一度歯医者さんを受診することをおすすめします。

3.口腔粘膜の異常で歯科医院を受診した場合の検査や治療

3-1.病気を特定するための検査

まずは症状に応じた検査をおこない、疾患を特定していきます。口の乾燥がかかわっていそうな場合は唾液の量や分泌機能の検査、カンジダやヘルペスなど感染の疑いがあるときには細菌検査、血液検査をおこないます。治療に使った金属のアレルギーを調べるには金属パッチテストと必要があれば歯科金属補綴物分析検査もします。

3-2.軟膏やうがい薬などを使った治療方法

多くの場合は口のなかを清潔にするため、うがい薬やトローチが処方されます。そのほか疾患にあわせた薬を使って治療をおこないます。たとえば、口腔カンジダ症であれば抗真菌薬の塗り薬や飲み薬、ヘルペス性口内炎や帯状疱疹のようにウイルスが原因なら抗ウイルス薬、また必要に応じて消炎鎮痛薬なども使われます。扁平苔癬には副腎皮質ステロイド薬が含まれた軟膏を処方しますが、金属アレルギーが疑われる場合には検査をして原因となっている物質を取り除きます。

3-3.外科手術による治療をおこなう場合も

白板症や紅板症のようにがん化する恐れのあるケースや実際に口腔がんだった場合には、外科手術をおこなうことになります。白板症の場合、しこりがあれば組織をとって検査をするほか、白い部分に厚みがある・隆起しているといったときには切除をおこないます。紅板症の場合も切除とともに経過観察が必要です。

こういった外科手術のなかにはレーザー治療に対応しているところもあり、傷の変形が少なく出血もないため縫合の必要がないことがメリットです。また、場合によっては放射線治療や抗がん剤による治療も併用することがあります。どのような方法にするかは患部の状態や主治医との話し合いによるので、治療への要望があればしっかりと伝えましょう。

口腔粘膜 手術

4.まとめ

口腔粘膜の異常な症状や対処法についてご紹介してきました。症状にはさまざまなパターンがあり、悪性化の恐れもあるので、自己診断で終わらせてしまうのは危険です。きちんと検査をして診断が出れば薬に頼ることもできるので、異常を感じたら早めに受診するようにしてください。

【監修医 貝塚浩二先生のコメント】

歯科医師の多くは日常診療でがんを扱いません。2016年の厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によれば、開業している歯科医師8万9166人中、口腔がんを扱う口腔外科専門医は909人しかいない。わずか1%。病院勤務医でも9.5%です。大部分の歯科医師は学生時代や研修医時代に口腔がんについて学びますが、その後、診療する機会はないのが普通です。口腔がんによる口内炎は、進行するまで痛みが出ないことに加えてなかなか治りません。このような場合は大学の歯科口腔外科を紹介してもらうのが良いと思います。

 

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監修医

貝塚 浩二先生

コージ歯科 院長

経歴

1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る

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