「上顎洞炎って何?」「蓄膿症とは違うの?」「放っておくと危険?」など疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。上顎洞炎は耳性と歯性の2種類に分けられます。その症状や要因、治療方法なども解説しています。また、放置してしまうとどういう影響があるのかもあわせて記載しているので、上顎洞炎と診断されて気になっている方はぜひチェックしてみてください。
この記事の目次
1.上顎洞炎(じょうがくどうえん)とは?症状や原因について
1-1.一般的な呼称は蓄膿症
鼻のまわりには、空気が通るための空洞が複数あります。この空洞は副鼻腔と呼ばれ、それぞれ位置によって名称が異なります。頬の内側にある副鼻腔を上顎洞と呼びます。上顎洞炎は、この副鼻腔に細菌やウイルスなどが入って起こる炎症です。膿が溜まった状態で、副鼻腔炎や蓄膿症とも呼ばれています。
1-2.上顎洞炎の症状と原因
上顎洞炎が起こる原因は大きくふたつに分けられ、歯に由来するものは「歯性上顎洞炎」、鼻に由来するものは「鼻性上顎洞炎」とよばれています。
歯性上顎洞炎
上顎洞は、上顎の歯に近い場所にあり、歯の根が上顎洞の底に接している場合があるのです。そのため、上顎洞に近い歯が虫歯や歯周病になると、その菌が上顎洞へ入り上顎洞炎を引き起こすことがあります。
鼻性上顎洞炎
風邪やアレルギー性鼻炎により鼻の炎症状態が続くと、副鼻腔まで炎症が及ぶことがあります。炎症が慢性化すると、上顎洞を含む副鼻腔に膿がたまりはじめます。炎症のあるときは、粘膜が厚くなり、膿や分泌物を外へ出せなくなった結果、溜まった膿により上顎洞炎が引き起こされます。
2.上顎洞炎の治療方法、放っておいた場合の危険性
2-1.上顎洞炎の治療方法や使用する薬
上顎洞炎には、次のような治療がおこなわれます。
歯性上顎洞炎
上顎洞炎を診断するためには、CT撮影が必要です。CT撮影により、上顎洞炎の原因となっている歯を特定します。治療の際はまず、抗生物質や炎症を抑える薬を投与します。炎症が落ち着いてから、原因となっている歯の治療をおこないます。改善が見られない場合には、抜歯します。さらに膿が残っている場合には、抜歯の痕から膿を吸い出す処置が必要です。
鼻性上顎洞炎
鼻由来の上顎洞炎も、診断にはCT撮影が使われます。
治療方法として、急性期に抗生物質や炎症を抑える薬が処方されるのは歯由来の場合と同じです。その後、膿を吸い出す処置や、薬剤を含んだ蒸気を吸入するネブライザー療法をおこないます。慢性化している場合には、粘膜の炎症を抑える作用が期待できる抗生物質を少量ずつ投与します。改善しなかったり、何度も繰り返したりする場合には、鼻の中や歯肉から内視鏡をいれておこなう手術が必要です。
2-2.放っておくとさまざまな合併症を起こすことも
上顎洞炎にともなう痛みや不調をそのままにしていると、合併症が起こることがあります。多いのは中耳炎といった炎症、気管支炎や喘息といった呼吸器の疾患です。また、副鼻腔は上顎洞だけでなく脳や目の近くにも広がっているので、視力に影響することがあるほか、髄膜炎・脳膿瘍をも引き起こしかねません。
2-3.合併症を起こした際の治療方法
CTやMRIといった画像検査を活用し、早期に診断してもらうことが大切です。合併症が起きていることが分かった場合は入院治療となり、抗菌薬の点滴や手術的治療がおこなわれます。
3.まとめ
上顎洞炎についてご紹介しました。
原因は大きく分けてふたつあり、それぞれ受診先が異なります。そのままにしておくと慢性化したり、怖い合併症を引き起こしたりするため、気になる症状がある方は早めに受診しましょう。
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監修医
小川 隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る
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