歯科と歯科口腔外科の違いはご存知ですか?
いざ歯医者さんを予約しようと思って探すときにどちらを受診したほうが良いか悩んでしまうという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、歯科と歯科口腔外科がどのように違うのかについてご紹介していきます。また、症状別にどちらの診療科へ行ったほうが良いかについてもまとめていますので、迷ったときの参考にしてみてください。
この記事の目次
1.そもそも歯科と歯科口腔外科の違いって?
1-1.歯科でおこなっていること
基本的には、虫歯の治療や予防処置などをおこなうのが一般的な歯医者さんです。
歯科医院では多くの治療が保険診療になりますが、見た目や機能性を高めたいという患者さんの希望に応えられるよう、自由診療が用意されている医院も多数あります。
治療の内容は歯医者さんによって異なり、フッ素塗布をはじめホワイトニングや矯正治療、インプラント、自然な見た目の詰め物・被せ物など多岐にわたります。
歯並びにかんしては矯正歯科になるので、矯正治療に対応している歯医者さんのほか、矯正歯科専門の歯医者さんを受診するのもいいでしょう。
1-2.歯科口腔外科でおこなっていること
その一方で、口のなかやその周辺の外科処置をおこなうのが歯科口腔外科です。
具体的には歯茎に埋まり込んでしまっている親知らずを抜くために切開が必要なケース、顎の骨折や顎周辺にできた腫瘍、口蓋裂・口唇裂といった疾患などに対応しています。
交通事故や運動で口周辺にケガをした場合にも、歯科口腔外科を受診します。
2.どちらに行くべきか悩んだときの判断基準
2-1.虫歯の治療や日常のお口の悩み
虫歯治療が目的の場合には一般的な歯医者さんへ行きましょう。
ただし、お子さんを受診させたいときには、成長や発育にあわせて治療をおこなう小児歯科へ。
刻々と成長し、状況が変わっていくお子さんの口内環境に合わせた治療をしてくれます。お子さんの矯正治療を検討している場合にも、小児矯正と一般矯正とがあることを覚えておくといいでしょう。
2-2.お口の健康を保ちたいとき
歯周病や虫歯の予防をしたいときには、一般的な歯医者さんで対応してくれます。
健康なお口を守るため、予防歯科を推進している歯医者さんも少なくありません。
定期的な検診で、歯のクリーニングをはじめフッ素塗布、ブラッシング指導などをおこなってくれます。
2-3.親知らずは症状によって変わる
親知らずを抜くこと自体はよくある治療のひとつです。
一般の歯医者さんでも抜歯の処置はおこなっているので、虫歯治療のついでに親知らずを抜いた経験があるという方もいるでしょう。
しかし、親知らずの生え方によっては、抜歯が難しいケースや大量の出血がともなうケースもあるため、その場合にはより詳しく検査や治療をおこなえる歯科口腔外科での対応が必要になることもあります。
また、生え方や状態によっては、抜かなくても大丈夫という場合もあります。
とはいえ、自身でどちらにあてはまるかを判断するのは困難なので、かかりつけの歯科医院があればまずはそちらで相談するか、歯科口腔外科の医師がいる歯医者さんを受診してください。
2-4.お口の癌を診断してもらいたい
口のなかや舌にしこりやただれなどの異常があり口腔がんが疑われるときには、歯科口腔外科または口腔がん専門医を受診する必要があります。
しかし、親知らずと同様にどのような症状が異常かを判断するのは難しいため、まずは近くの歯医者さんで診てもらうことが大切です。
一般の歯医者さんで口腔がん検診をおこなっているところもあるので、確認してみてください。
2-5.設備によって受診を判断することも
一般的な歯医者さんでも、より幅広い診療がおこなえるよう歯科用CTをはじめとする医療機器の充実を図るところは少なくありません。
今は、インターネットで設備を事前に確認できる歯医者さんもあります。また、通常の歯科医師とは別に、歯科口腔外科を担当する歯科医師が在籍している医院もあります。
どちらを受診すべきか自身で判断できなくても、歯医者さんへ行けば検査をして治療に進むか、応じられないときには対応している医療機関を紹介してくれるでしょう。
新しい設備が整っているからと、はじめから大学病院の受診を考える方もいらっしゃるかもしれませんが、大学病院は紹介状の持参が必要なケースが多く、いきなり行っても数カ月待ちになると案内されることも少なくありません。
ただし、高血圧や糖尿病といった持病のある方が歯科治療を受ける場合は、薬をはじめさまざまな体調管理が必要になります。
そうなると、病院機能を持ちあわせている歯医者さんや、大学病院でなければ対応が難しくなってくるため、まずは主治医の先生に相談してみるのがいいでしょう。
3.まとめ
歯科と歯科口腔外科の違いについて紹介してきました。
歯科医院では、主に虫歯や歯並び、予防、見た目を美しくする治療などをおこなっている一方、歯科口腔外科では歯茎の切開や口と顎周りの外傷・腫瘍など、外科的処置に対応しています。
状況によってはどちらに行くか迷ってしまう場合もありますが、一般的な歯医者さんであれば歯科医院で対応ができる症状かどうかの判断をしてくれるので、自身で判断がつかない場合、まずはかかりつけの歯医者さんに頼ってみるのがいいでしょう。
【監修医 遠藤三樹夫先生のコメント】
歯科口腔外科は歯学部の大学病院や大きな総合病院の専門科としてあるものと、開業している歯医者さんで一般的な歯科と一緒に歯科口腔外科を標榜している場合があります。
前者は専門性が高く、もちろん難度の高い親知らずの抜歯なども行いますが、口唇口蓋裂などの先天奇形、口周辺の悪性腫瘍の診断や治療、顎の複雑骨折などの外傷の治療、内科的に多くの病気を抱えていて通常の歯医者さんでは治療上のリスクの高い患者さんの診察、その他多くの専門的な治療を受け持っており、ごく普通の虫歯などの治療はかかりつけの歯医者さんへ紹介する場合がほとんどです。
またこのような病院の歯科口腔外科は、近年ではかかりつけの歯医者さんからの紹介状がないと診てもらえなかったり、特別に費用が発生したりします。
一般の歯医者さんで歯科口腔外科を標榜されているところは、そこの院長や勤務されている先生が、先に述べたような大学病院や総合病院の歯科口腔外科で研鑽されて、その後、歯科口腔外科の専門的知識と経験を持って、一般的な虫歯や歯周病を治療する歯科医院として開院されている場合がほとんどです。
そのため、親知らずの抜歯や口の周りのできものの診察、簡単な外傷処置や出血に対する処置が慣れておられますし、内科的に持病があって色んな薬を飲んでいたりする有病患者さんに対してもある程度細かく対応が可能です。
近隣にある病院の歯科口腔外科とのつながりが強い場合も多く、自分の病院では設備なども含めて対応が難しい患者さんに対しても迅速に対処できると思います。
ですから、まずは近所で歯科口腔外科を標榜している歯医者さんを受診し、アドバイスを受けることをおすすめします。
【あわせて読みたい】
・歯医者さんが怖いのはなぜ?その理由とそれに対する歯医者さんの取り組み

監修医
遠藤 三樹夫先生
遠藤歯科クリニック 院長
経歴
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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