上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは、上の歯列が下よりも前に出ている状態のことで、また「出っ歯」とも呼ばれます。
この状態がひどいものだと、虫歯などの口腔内のトラブルに発展することもあり、治療が必要になるケースがあるので、未然にそれを防ぐことが大切です。
1.上顎前突の原因は身近なところから
上顎前突の症状は、その多くが日常的な生活習慣によって起こります。毎日歯列に悪い影響を与える動作などを続けることで、前歯が次第に前突してしまうことがあるのです。
すこしの変化でも、長期間にわたり影響を与え続けると、大きな歪みとなって現れます。
1-1 舌で歯を押し出す動作
口の中で良くない影響を与える動作としては、舌で前歯を押し出す、前歯で舌を噛むなどが挙げられます。
これは自分では気づかずに癖としてやっている人も多く、また、他人からも気づかれにくいため発見が遅れがちです。前歯の出っ張りが気になる方はこうした習慣に注意が必要です。
1-2 うつぶせ寝や爪を噛む動作
上顎前突は外側から加えられる力によっても起こります。うつぶせ寝をしている人は、毎日寝ている間中歯や歯茎が圧迫されていることがあります。また、爪を噛んだり指をしゃぶったりすることによって、通常は動かない方向に歯が押されて前突してしまうこともあります。
これは子どもの頃に親などが指摘することで改善できる可能性があるので、お子さんにこういった行動が見られる場合には早めにやめさせましょう。
1-3 口の周りの筋肉が弱い
動作や日常的な習慣などとは関係しない上顎前突もあります。口の周りにある「口輪筋」という筋肉が唇から歯に力がかからないことが多く、これによって前歯が出てしまうことがあるものです。
また、口呼吸で常に口を開いている場合にも同じことが起こりやすくなります。
1-4 遺伝による上顎前突
上顎前突の原因のうち30パーセント程度は、遺伝によるものとなっています。遺伝の場合には、前歯の部分だけでなく顎全体に問題があります。
上あごが前に出ていることや、下あごが小さいため内側に下がっていることもあります。遺伝による上顎前突は、習慣の改善では治りにくいものです。
2.まとめ
上顎前突の症状は、自分では気づかないうちに行っていた動作や癖が原因で起こっている可能性があります。こうした癖はできるだけ早く、子どものうちに直すことを心掛けましょう。
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監修医
野村 雄司先生
本町通りデンタルクリニック 理事長
経歴
2003年 大阪歯科大学卒業
2007年 大阪歯科大学保存学講座入局
2009年 まごころ歯科勤務
2012年 まごころ歯科退職
2012年 本町通りデンタルクリニック開業
2013年 大阪歯科大学保存学講座歯学博士号取得
現在に至る。
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