風邪はひいていないのに、喉がイガイガする場合や、食べ物や飲み物を飲み込むときに喉が痛いなどの症状がある場合は、喉にできた口内炎が原因の可能性があります。口内炎は頬の内側や唇の裏側などしかできないと思っている方も多いかもしれませんが、口内炎は「喉」にできることもあるのです。
この記事では、喉にできる口内炎の原因や予防法について見ていきましょう。
この記事の目次
1.喉の口内炎とは?種類と症状
口内炎とは「口の中に起こる炎症」のことです。「喉は口の中の一部なの?」と思う方がいるかもしれませんが、喉の粘膜と口の粘膜はひとつながりになっているため、喉にできるできものも、口内炎の一種とされています。まずは、喉にできる口内炎の種類や症状を見ていきましょう。
アフタ性口内炎
喉にできる口内炎のほとんどはアフタ性口内炎とされています。直径2~10ミリ程度で丸い形をしている、表面が白または黄色味を帯びた膜で覆われているできものです。痛みをともないます。
カタル性口内炎
カタル性口内炎は口の中が焼けるように感じることがあり、口内の粘膜が赤く腫れ、赤い斑点ができたり、白くただれる、口臭が強くなるといった症状が現れます。
ウイルス性の口内炎
ウイルス感染が原因で起こる口内炎です。人に感染する恐れがあり、重症化することがあるため、病院できちんと治療を受ける必要があります。
ヘルペスウイルス
小さな水ぶくれがたくさんできます。水ぶくれがつぶれて炎症を起こし、腫れあがることもあります。39度前後の高熱が出て、強い痛みをともなうこともあります。ヘルペスウイルスは大人になっても保菌していることがあり、ふだんは身体の免疫力とのバランスで特に症状には現れません。
ヘルパンギーナ(コクサッキーウイルス)
ウイルスに感染して2~5日で口蓋垂(のどちんこ)から上あごにかけて水疱がたくさんでき、発熱をともないます。いわゆる夏風邪と呼ばれるもので、5歳以下の子供がかかりやすく、保育園などで集団感染することがあります。
アレルギー性口内炎
アレルギーによって起こる口内炎です。アレルゲンとなるもの(食物や金属)との接触により発症し、喉がむくむなどの症状が起こります。ひどくなるとむくみで喉が塞がってしまい、窒息など危険な状態になることもあります。
2.喉に口内炎ができる原因とは?
口内環境の悪化
喉にできる口内炎は、口内の不衛生よって発症するケースが約半数といわれています。また、ストレスや疲れ、睡眠不足・栄養不足などによる免疫力低下、熱いものを食べてやけどをする、魚の骨がささって傷ついた粘膜に細菌が侵入するなどで起こる場合もあります。
発熱がある場合はウイルス性口内炎の可能性
発熱をともなう場合は、ウイルス性口内炎である可能性があります。とくに乳幼児が発熱をともなう喉の口内炎にかかったら、「ヘルペス性口内炎」もしくは「ヘルパンギーナ」に感染している可能性が高いでしょう。ヘルペスウイルスは接触感染、ヘルパンギーナは飛沫感染で感染します。
生後6か月~5歳程度の乳幼児がかかりやすいと言われており、この時期の子供は自分で正確に症状を伝えることができないため、気づいたときは重症化してしまう恐れがあります。
3.喉の口内炎の予防法とは?
ビタミンを積極的に摂取する
日々の食生活を振り返り、口内炎になりにくい体を維持するよう心がけましょう。とくに口内炎の予防に有効とされている以下の栄養素を積極的に摂取しましょう。
ビタミンB2
炎症を起こした粘膜を修復する働きがあります。不足すると口内炎だけでなく、肌荒れの原因になるともいわれています。レバーやうなぎ、乳製品や大豆などに豊富に含まれています。
ビタミンB6
たんぱく質の素となるアミノ酸の合成を促進させる働きがあり、免疫力アップに一役買ってくれます。豊富に含まれている食べ物はナッツ類やかつお・まぐろなど赤身の魚、バナナなどです。
ビタミンC
抗酸化作用が強く、免疫力を高める働きがあります。かんきつ類やいちご、アセロラなどの果物のほか、緑黄色野菜にも豊富に含まれています。
ビタミンA
粘膜を健康に保ち、代謝を正常にするために不可欠な栄養です。あなごやいくら、乳製品やレバー、うなぎなどに含まれます。
生活習慣を見直す
生活習慣を見直し、免疫力を高めることも大切です。以下のような免疫力の強化を意識した生活を心がけ、口内炎になりにくい体をつくりましょう。
睡眠を十分にとる
個人差はありますが、7~9時間の睡眠は自律神経のバランスを保ち、免疫力を保持することにつながると言われています。
朝日を浴び、朝食を抜かない
副交感神経と交感神経の切り替えがしやすくなるため、体内リズムが整い、免疫力アップが期待できます。
湯船につかる
平熱が低いと、免疫力が下がるといわれています。湯船に入って体温を上げ、リラックスすることで免疫力アップが期待できます。なるべくシャワーですませず、きちんと湯船につかるようにしましょう。
4.喉の口内炎ができたら病院で治療を
喉に口内炎ができてしまったら、なるべく早く病院で治療を受けるようにしましょう。口内炎と一言でいっても原因や種類はいろいろありますので、自分で判断するのは危険です。病院で診てもらい、最適な治療を受けるようにしましょう。
ところで、喉の口内炎は何科を受診すればよいのでしょうか。口の中だから歯医者さん?それとも粘膜の炎症だから皮膚科?実はどちらでも診療は可能です。また、内科でも問題ありませんが、一般的に口内炎は、耳鼻咽喉科が専門だといわれています。
5.まとめ
痛くてつらい喉の口内炎は、体からのヘルプサインかもしれません。暴飲暴食をせず、バランスのとれた食事をとり、疲れやストレスをためないなど、免疫力が低下しないような生活をするように心がけることが重要です。食生活と生活習慣の両方を整えて、口内炎の予防につとめましょう。それでも喉の口内炎が発症し回復が遅いと感じたときは、放置せずできるだけ早く病院に相談しましょう。

監修医
遠藤 三樹夫先生
遠藤歯科クリニック 院長
経歴
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
この記事は役にたちましたか?
- すごく
- いいね
- ふつう
- あまり
- ぜんぜん