歯磨きを習慣づけているのに、マスクをしたときだけ口臭が気になる方は多いのではないでしょうか。口臭にはさまざまな原因があります。その原因を知ることで、不快感を軽減することができるかもしれません。マスク着用時の口臭も気にならなくなるでしょう。ここでは、マスクで口臭が気になる理由や口臭の原因、対処法を詳しくご紹介します。
この記事の目次
1.マスクをすると自分口臭が気になってしまうのはなぜ?
1-1.息が鼻に入って臭いを感じやすいため
マスクをしていると、口から吐いた息を鼻から吸い込む量が多くなります。そのため、自分の口臭を自覚しやすいのです。マスクを正しく着用していると、鼻と口がしっかり覆われ、息を吐いたときにマスクの中に呼気が充満します。
マスクで自分の口臭に気づいても、慌てる必要はありません。そもそも、周りの人に口臭が届いていない可能性が高いのです。お伝えしたとおり、例えば生理的口臭を感じる距離は30cmとされており、普段のコミュニケーションで相手が口臭を感じる恐れは少ないでしょう。
ただし、細菌や病気、ストレスが関係していることも考えられるため、早めに原因を突き止めて対処したいところです。
1-2.慣れないマスクにストレスを感じるため
慣れないマスクを着用する日が続くと、ストレスが溜まるという方もいます。ストレスを感じると、自律神経に問題が起きて結果的に口臭が起こるのです。ストレスを感じてから口臭が起こるまでの流れは次のとおりです。
(1)ストレスを感じる
(2)交感神経と副交感神経で成り立っている自律神経のうち、交感神経が優位に働く
(3)唾液が減少する(唾液の量は自律神経によって調節されているため)
(4)食べかすや雑菌を洗い流せなくなることで口臭が発生する
マスクの着用に慣れてストレスを感じにくくなれば、口臭が改善する可能性があります。また、オシャレなマスクをつけてファッションとして楽しむことも、ストレスの軽減につながるでしょう。
1-3.マスクを外したときの口臭への懸念によるストレス
マスクを外したときに、マスク内に充満した呼気が漏れて周りの人へ口臭が届かないか気になる方もいるようです。意識し過ぎてしまうと、結果的にストレスによって唾液が減少し、本当に口臭が発生してしまうことも考えられます。
マスクを外したからといって、多量の呼気が周りの人へ到達するわけではありません。どうしても気になる場合は、人から距離をとってマスクを外しましょう。
2.マスクで口臭が気になるときの対策
2-1.正しい歯磨きを習慣づける
正しい歯磨きを習慣づけることで、口臭の原因となる食べかすを除去しやすくなります。歯ブラシの毛先は歯の面にあてて、毛先が少したわむ程度の力加減で小刻みに動かして磨きましょう。
でこぼこした歯並びのところは、1本ずつ丁寧に磨くことを意識してください。歯と歯の間や歯と歯茎の間は、より丁寧に磨くことが大切です。
2-2.舌ブラシでケアする
舌につく白い舌苔も口臭の原因です。舌専用のブラシや柔らかい歯ブラシで、手前から奥に向かってやさしく軽い力加減で磨きましょう。強く磨くと舌に傷ができてしまいます。
2-3.唾液の分泌を増やす
口の中で、食べかすや雑菌を洗い流す唾液を十分に分泌させることが大切です。口の中の乾燥を防ぐために、こまめに水分をとりましょう。
また、噛むことでも唾液の分泌を促せるので、虫歯予防に役立つキシリトール入りのガムを噛むこともおすすめです。
2-4.歯のクリーニングを受ける
歯医者さんで定期的にクリーニングを受けると、口の中を清潔に保ちやすくなります。普段の歯磨きだけでは、食べかすや歯垢を全て取り除くことは難しいため、クリーニングで歯垢や歯石を取り除いてもらうことが大切です。
歯の着色汚れやヤニ汚れを除去できるため、見た目の改善も期待できます。また、同時に歯磨き指導を受けることができれば、セルフケアの質も高まるでしょう。
2-5.飲食物・嗜好品による口臭対策
飲食物や嗜好品による口臭は、次のような対策で改善が期待できます。
・肉料理
肉類を食べた後は、たんぱく質を分解する酵素を含む生のパイナップルやパパイアを食べましょう。
・ニンニク
ニンニクの臭いは、牛乳やリンゴの皮で対策できます。リンゴの皮に含まれるポリフェノールには、防腐作用があります。
・タバコ
タバコのヤニによって口臭が起こります。ヤニは水に溶けやすいため、喫煙後に口をすすぐことで対策できるでしょう。
3.5つの口臭発生の原因
3-1.生理的口臭
生理的口臭とは、寝起きや空腹時、緊張したときなどに誰でも起こりうるものです。体調やストレスの感じ方、生活習慣などによって、起こるかどうかは個人差があります。臭いは病的口臭と比べて弱く、周りの人を不快にするほどではありません。
大体、相手の顔から30cm以内に近づいたときに口臭を感じるため、日常会話をするとき相手に臭いが届く心配は小さいでしょう。
また、生理的口臭は本人も気づかない場合があります。自分の口臭が気になると不安になり、より強く臭いを感じてしまいます。
3-2.飲食物・嗜好品による口臭
ニンニクやネギをはじめとする食べ物や、お酒やタバコといった嗜好品によって口臭が起こります。口についた臭いが呼気とともに放出されることが原因のため、口の中が洗い流されることで臭いが少なくなるでしょう。
治療をしなくても、時間の経過とともになくなります。
普段から薬味やお酒を口にすることが多いと、なかなか気づけないこともあるため、思い当たる習慣がある場合は日常的な口臭ケアが必要でしょう。
3-3.病的口臭
鼻やのど、呼吸器系、消化器系、肝臓系の病気や糖尿病などが原因で口臭が起こる場合があります。しかし、病的口臭の多くは口の中に原因があるといわれています。虫歯や歯周病だけではなく、歯垢や歯石、舌苔といった細菌の塊がきちんと清掃されていないと、口臭が起こるのです。
そのほか、唾液の減少によって菌が増えやすくなったり、入れ歯を十分に清掃できていなかったりすることも口臭につながります。
3-4.ストレスによる口臭
ストレスを受けると、唾液量が減少します。唾液には、口の中の食べかすや菌を洗い流す働きがあるため、唾液が減少すると口臭が発生するのです。また、食べかすを洗い流せなくなると、菌が増え虫歯や歯周病のリスクが高まります。
虫歯や歯周病になれば、病的口臭が気になりストレスが溜まるという悪循環に陥る恐れもあります。
3-5.心理的口臭
自分で口が臭うと思い込むことで、実際には臭いがないのに臭いを感じる場合があります。この思い込みはトラウマが原因かもしれません。
心理的口臭の原因は精神面にあるため、ほかの原因による口臭とは対処法が異なります。何はともあれ、気になる症状がある場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。
4.まとめ
マスクの着用による口臭は、ストレスが原因で起きていることもあります。オシャレなマスクをつけて楽しんだり、つけるのに慣れたりすることで、気にならなくなる場合もあります。まずは、何が原因かを見極めることが大切です。必要に応じて治療を受けて、しっかり対策しましょう。
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監修医
小川 隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る
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