虫歯が進行し、差し歯(被せ物:クラウン)にしなければならなくなってしまった場合、最初に気になるのが値段という方は少なくないです。
この記事では、歯のなかでも目立ちやすい前歯を差し歯にした場合を想定し、保険診療と自由診療で分けて差し歯の種類や耐用年数を詳しくお伝えしていきます。
また、差し歯ができるまでの流れやおおよその治療期間なども掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状などにより、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.差し歯がきるまでの流れと期間は?
1-1.差し歯ができるまでの流れ
差し歯が必要となる虫歯の多くは、虫歯が歯の神経にまで及んでいるケースがほとんどで、この状態を専門用語でC3と呼びます。
この状態の虫歯治療はまず虫歯を除去し、次に歯の神経を取る処置(根管治療)がおこなわれます。
根管治療後の一般的な流れは次のようになります。
1.人工的な土台を入れるため、歯の形を整えてから土台の型取りをする
2.土台の装着後、最終的な被せ物を装着するために、再度歯の形を整えてから被せ物の型取りをする
3.被せ物の装着と噛み合わせの調整
1-2.治療が完了するまでにかかる期間
歯の神経を取る処置で、おおよそ2~4回の通院が必要となります。そこに差し歯が装着されるまでの通院回数を含めると、5~7回ほどかかるのが一般的です。
通院ペースにもよりますが、期間としては2ヶ月~3ヶ月ほどかかることが多いようです。
もちろん、歯の状態や歯医者さんの方針によって幅がありますので、通院回数や期間が気になる方は事前に歯医者さんへ相談しましょう。
2.自分に合った差し歯を入れたい!種類や耐久年数を解説
2-1.保険診療と自由診療の違い
前歯が差し歯にかんして、保険診療と自由診療では使用する素材や費用面などに違いがあります。
保険診療の場合
かんして、保険診療と自由診療では使用する素材や費用面などに違いがあります。
自由診療の場合
土台として選択できるものにファイバーコアが加わり、被せ物はセラミック素材も選べるようになります。セラミックにもいくつか種類があり、選択肢は保険診療より幅広くなります。ただし、保険診療と比べ費用負担が大きくなります。
2-2.硬質レジンを使った被せ物
硬質レジンを使用した被せ物で保険適用となるものは2種類あり、硬質レジン前装冠と硬質レジンジャケットクラウンです。
硬質レジン前装冠は、強度を補うために被せ物の内側が金属となっています。それに対して硬質レジンジャケットクラウンは、すべてプラスチック素材でできています。
費用は保険診療ですので、患者さんの負担はおおよそ3000円~8000円ほどです。
耐用年数は個人差がありますが、硬質レジン前装冠で約2~5年、硬質レジンジャケットクラウンで2年~3年程度と言われています。
保険適用で白い歯を手に入れることができますが、経年で変色しやすく耐久性が弱いというデメリットがあります。
2-3.オールセラミックの被せ物
オールセラミック素材の被せ物は、すべてセラミックでできているため天然歯に近い透明感があり、「とにかく見た目が気になる」という方に適していると言えます。
自由診療となるので歯医者さんによって幅がありますが、おおよそ8~15万円あたりで設定しているところが多い印象です。
耐用年数は5~10年程度です。
これは硬質レジンも同様ですが、セラミックも材質上、強い衝撃で割れてしまうことがあります。また、自由診療のため比較的高額となることがデメリットとしてあげられます。
2-4.ジルコニアを使った被せ物
ジルコニアとは、人工ダイアモンドとしても使用されるジルコニアを用いた被せ物です。
こちらも自由診療となるので歯医者さんによって幅はありますが、フルジルコニアクラウンでおおよそ6~13万円あたりが相場ではないでしょうか。
耐用年数はオールセラミックと同程度と言われています。
まれに割れることがあるものの、フルジルコニアはオールセラミックより強度が高くなっています。
また、ジルコニアの上にセラミックを焼き付けるジルコニアセラミックというものもあり、強度はオールセラミック以上でフルジルコニアより天然歯に近い見た目となります。
2-5.ハイブリッドセラミックの被せ物
ハイブリッドセラミックとは、プラスチックとセラミックを混ぜ合わせた素材を使用する被せ物で、ハイブリッドレジンと言われることもあります。
内側に金属を用いる前装冠タイプと、ハイブリッドセラミックのみで作られたものがあり、おおよそ4~7万円あたりで設定している歯医者さんが多いようです。
耐用年数はおおよそ5年前後です。
自由診療の被せ物のなかでは比較的費用負担が少なく、保険診療の被せ物(硬質レジン)よりは強度があります。しかし、経年による多少の変色があるようです。
3.差し歯の寿命を縮めてしまう要因を解説
せっかく時間と費用をかけて治療をおこなったのだから、できる限り長持ちさせたいところです。
差し歯を長持ちさせるひとつとして、土台にファイバーコアを選ぶことです。メタルコアは金属のため硬く、強い力により根っこの歯にヒビが入ってしまうことがあります。その点、ファイバーコアのほうが柔軟で負担が少ないと言われています。
また、これは差し歯に限りませんが、歯ぎしりや食いしばりが歯へダメージを与えることがあるため、就寝時にマウスピースを使うという手もあります。
ただし、どんな素材であっても天然歯と同様に、日々のケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスが重要です。
4.まとめ
前歯を差し歯にする場合を前提に、素材や費用、耐用年数などについてお話してきました。
保険診療と自由診療のどちらで治療をすすめるかという選択だけでなく、自由診療であれば素材の選択肢も増えていきます。
値段も気になるところですが、見た目や経年による変化、耐久性にも目を向けて、自分の希望に合う差し歯を選択しましょう。
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監修医
野村 雄司先生
本町通りデンタルクリニック 理事長
経歴
2003年 大阪歯科大学卒業
2007年 大阪歯科大学保存学講座入局
2009年 まごころ歯科勤務
2012年 まごころ歯科退職
2012年 本町通りデンタルクリニック開業
2013年 大阪歯科大学保存学講座歯学博士号取得
現在に至る。
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