誤嚥性肺炎は歯周病とも関わりがある?歯科受診での予防がおすすめ

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誤嚥性肺炎 歯科

よく高齢者の死亡原因としても挙げられる肺炎ですが、そのうちの過半数以上が「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」といわれています。誤嚥とは、食べ物などが喉頭や気管に入ってしまう状態のことです。その際、口内環境が清潔でないと、細菌も気管に入ってしまい誤嚥性肺炎になってしまう恐れがあるのです。

ここではその誤嚥性肺炎の対策や危険性、そのために歯科でできることなどについて解説していきます。

この記事の目次

1.誤嚥性肺炎ってなに?

1-1.歯周病とも密接な関係にある誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、飲食物が誤って気管に入ってしまった際に、唾液の中にある細菌が肺に感染して発生する病気です。
嚥下機能(飲食物を飲み込む機能)が低下することで発生しやすくなり、高齢者の方に多く見られます。

また、この誤嚥性肺炎からは歯周病の原因にもなる「歯周病原性細菌」を中心とした口腔細菌が見つかります。
そのため、誤嚥性肺炎は口腔内の衛生面に問題があるとき、歯周病が原因となって、発生する可能性が高くなってしまう病気でもあります。

1-2.高齢者の肺炎は誤嚥性肺炎の割合が高い

70歳以上の高齢者がかかる肺炎のうち、誤嚥性肺炎の割合は70%以上と高い数値を示しています。高齢者は口腔内を清潔に保つことが難しい場合が多いため、誤嚥性肺炎の原因となる歯周病原性細菌が繁殖しがちです。
そのうえ、免疫力の低下が考えられるため、口腔内の細菌が気管に侵入してしまい、誤嚥性肺炎に至っているのです。

これには、近年の高齢化社会も関係しており、誤嚥性肺炎にかかる高齢の方は増加傾向にあります。

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2.誤嚥性肺炎を予防するための二つのポイント

2-1.誤って飲み込むリスクを回避しよう

飲食物を誤って飲み込んでしまうリスクを防ぐため、食事の仕方を工夫することや、食べやすい物を選ぶといった配慮をすることが大切です。胃液の逆流を防ぐために、食後にすぐに横にならないことも意識してみてください。

また、嚥下機能を改善するためのリハビリに取り組むことも、予防につながります。

2-2.歯周病の予防をしよう

誤嚥性肺炎の予防には、誤嚥性肺炎の原因となる歯周病菌の増殖を防ぐことが大切です。

歯周病菌は、蓄積されたプラーク(歯垢)の中にすみ着いています。そのため、毎日歯磨きをして汚れを落とし、定期的に歯医者さんで歯垢や歯石を除去してもらうことで予防します。

また、歯周病は生活習慣病の一つとされており、生活習慣を見直すことも予防につながります。例えば、たばこも歯周病を悪化させる原因の一つです。
特に、高齢者や体に疾患がある方は、免疫力が低下してしまい、歯周病になりやすくなってしまうので、体の免疫力を高めることも大切です。

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2-3.早期発見と早期治療が大事

歯周病は、症状が出る前に発見し早期に治療するのが重要です。歯周病が進行してしまい、重度になってしまうと、歯茎の手術が必要になる場合もあります。

歯周病の初期症状として、
・歯磨きの際に出血しやすい
・歯茎が腫れている
・歯茎が赤い
などがあるため、症状が悪化してしまう前に、かかりつけの歯医者さんで日ごろから定期検診を受け、早期発見・早期治療ができるように心がけましょう。

また、定期的に通院することで歯石の除去や歯磨きの指導を受けられるので、口腔内を清潔に保つこともできるでしょう。

3.誤嚥性肺炎になる原因

3-1.食事中に誤って気管に入る場合

誤嚥性肺炎は、食事と一緒に口腔内の細菌が気管に入ってしまったり、細菌を含んだ唾液が気管に入ったりすることによって起きます。

通常、気管に細菌や唾液が入ってしまうと、むせて気管から排出する反射機能が働きます。
しかし、その反射機能が低下してしまっていると、気管に入り込んだ食べ物や唾液を排出できないため、高齢の方は誤嚥性肺炎になりやすいのです。

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3-2.睡眠中に細菌を含んだ唾液を飲み込んでしまう

食事中以外にも、睡眠中に細菌を含んだ唾液を飲み込んでしまうのも、誤嚥性肺炎の原因となります。
口腔内には細菌が無数に存在しており、その唾液が気管に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を引き起こすのです。

また、高齢者の中には胃食道逆流症を患っている方もいるかもしれません。
胃食道逆流症を患っていると、睡眠中に逆流してきた内容物に含まれる酸や消化液が気管を痛めてしまうので、誤嚥性肺炎の危険性が高まります。

このような原因を取り除くためにも、就寝前に歯磨きをおこない、口腔内を清潔にすることが大切です。

4.誤嚥性肺炎の症状って?

4-1.風邪と似ている

誤嚥性肺炎の初期症状は、風邪と似た発熱や咳、痰です。

しかし、こうした症状がほとんど見られず「元気がない」「食欲がない」といった症状だけの場合もあるので、発見が遅れないように注意する必要があります。
誤嚥性肺炎を患っていることを見逃し、気付いたときには重度の肺炎になっている、という恐れもあるのです。

4-2.誤嚥性肺炎と風邪の見分けかた

誤嚥性肺炎の初期症状と風邪の症状は似ているため、見分けるのが難しいといわれています。風邪だと思って治療しないでいると、症状が悪化してしまい体に大きなダメージを与えてしまうでしょう。
そのため、誤嚥性肺炎と風邪を早期に見分ける必要があります。

風邪の場合はくしゃみ、咳、37度台の微熱などが、誤嚥性肺炎の場合には38度を超える発熱をともない、激しい咳、膿性痰(のうせいたん)が出る、呼吸が苦しい、などの症状が出てきます。

また呼吸する際に肺雑音が聞こえるようであれば、誤嚥性肺炎の恐れがあるので注意しましょう。

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5.誤嚥性肺炎の治療法は?

5-1.抗菌薬を使用した薬物療法

誤嚥性肺炎になってしまった場合、基本的に抗菌薬を使った治療がおこわれる場合が多いようです。体の状態が悪い場合や呼吸が困難な場合は、入院しながらの治療になるでしょう。
しかし、誤嚥そのものを防がなければ、再発してしまう恐れもあります。

抗菌薬は誤嚥そのものを防ぐための薬ではないため、誤嚥を防ぐストレッチをおこなったり、きちんと口腔ケアをしたりすることも大切になります。

6.まとめ

誤嚥性肺炎は、気管から肺に「歯周病原性細菌」をはじめとする細菌が入り込むことで起こる病気です。70歳以上の高齢者がかかる肺炎のうち70%以上が誤嚥性肺炎となっており、死亡原因にもなる危険があります。

誤嚥性肺炎を予防するためには、嚥下機能の改善や食事を工夫することのほか、口腔内を清潔に保つことも大切です。日ごろから歯磨きをはじめとした口腔ケアを心がけ、定期的に歯医者さんを受診し、口腔内を清潔に保つとよいでしょう。

 

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監修医

遠藤 三樹夫先生

遠藤歯科クリニック 院長

経歴

1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
 現在に至る

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