歯髄炎の治療時に気になるポイントや治療方法、費用をまとめて解説!

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歯髄炎,治療

「歯髄炎の治療にあたって、方法や費用が気になる」「そもそも歯髄炎というものがよくわからないので知りたい」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では歯髄炎の原因や抜髄、歯髄保存療法など治療方法を具体的に説明しているほか、典型的な症状を4パターンに分けて紹介しています。治療前や予防の知識として、ぜひ参考にしてみてください。

※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。

この記事の目次

1.歯髄炎を治療するふたつの方法と費用を解説

1-1.抜髄で歯の神経を取る治療方法

歯の神経のことを歯髄と言い、それを取る治療が抜髄です。患部や周囲に麻酔をして、虫歯が原因の場合はまず虫歯部分を取り除き、それから神経を抜きます。神経は細い管のようになっているので、中身を抜いて空洞になったら消毒の薬を入れて細菌を除去します。そして再び菌が侵入するのを防ぐためにガッタパーチャという薬で空洞を埋め、土台や被せものを取り付けます。

この場合、費用は1500円~6000円程度と幅があり、これは治療がどの部分になるかで違ってきます。

1-2.歯髄保存療法で歯を保存する治療方法

冷たいものを飲むと歯がしみる程度の軽い歯髄炎であれば、神経が刺激を受けないよう保護する治療で済むこともあります。ただし、虫歯が進行していて時々痛みや違和感を起こしている歯髄炎でも、神経の状態がよければ保存できる場合もあります。

こういった歯髄保存治療に広く使われているのがMTAセメントで、これは神経に被せて保護をする材料です。抗菌性や接着力が高く細菌の侵入を防いでくれるので、神経の保存がしやすくなっています。しかし、患者さんによっては再度歯髄炎を発症してしまう場合があり、そうなると神経を抜く治療に移行しなければなりません。また、MTAセメントでの歯髄保存治療は自由診療になり、費用としては2~6万円程度、そのほかに被せものなどの費用がかかることもあります。

また、若い方の永久歯や子どもの乳歯の場合には、生活歯髄切断法で根っこ部分の神経を残すこともできます。こちらは基本的に保険診療となっていて、方法としては歯冠部(歯の上部分)の神経だけを取り、セメントで蓋をするものです。乳歯や若年者に適応しやすいのは、血液供給や組織再生能力が高く、残した神経をよい状態で保ちやすいためです。しかし、こちらも数年から数十年後に再び歯髄炎を起こす恐れはあります。

1-3.治療後また何かほかの病気にかかることはある?

神経の有無にかかわらず、治療後再び炎症を起こしたり虫歯になったりする危険性はあります。歯は一度削ると虫歯を再発しやすく、また神経部分や周辺の細菌をすべて取りきれないためです。歯周病の進行によってトラブルを起こすケースもあります。治療を繰り返さないよう、定期的なメンテナンスや自宅でのケアを大切にしましょう。

歯髄炎,治療

2.歯髄炎の症状について説明

2-1.普段痛みはないが冷たいものを食べるとしみる

痛みがないのであれば、初期の歯髄炎と考えられます。炎症で毛細血管が広がる「歯髄充血」という段階で、冷たいものを食べたときにしみる程度です。この時点ではまだ神経を取らなくても、改善できる可能性があります。

2-2.普段から痛むが少し経つともとに戻る

痛みがあるけれどもとに戻るという場合は、「歯髄充血」の段階よりも歯髄炎が進行してしまっているケースが考えられます。ただし、歯髄炎には何もしなくても痛みを感じる急性状態と、不快感や違和感を覚えるだけの慢性状態とがあるため、急性状態のような痛みがなくても歯髄炎が進行していることもあります。

2-3.温かいものを飲むと痛む

初期の歯髄炎とは違い、温かいもので痛みを感じる場合は要注意です。神経のなかが化膿してしまい、血行がよくなることで痛みが強くなっている恐れがあるためです。早めの受診を検討しましょう。

2-4.ひどくなると痛みで夜眠れなくなることもある

虫歯が神経まで到達してしまうと、夜も眠れないほどの痛みが出ることがあります。神経には血管も含まれているので、血流が炎症で増えると神経が圧迫され、ズキズキと痛むようになります。ここまでになると、神経を抜く必要があることが多いです。

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3.歯髄炎の原因と予防法を知ろう

3-1.歯髄炎になってしまうのはなぜ?

細菌感染

虫歯や歯周病をそのままにしていると、細菌や細菌の作り出す毒素が神経に到達してしまいます。歯を蝕んで到達することもあれば、血液に流れ込んで感染を起こす場合もあります。いずれの場合も、一度感染すると自然に改善しないことがほとんどです。

物理的な刺激

歯ぎしりや食いしばりの癖がある、または歯を強くぶつけるといった刺激によっても歯髄炎は起こります。さらには、深い虫歯を削ったときに神経が刺激されてしまうことや、薬の刺激によって炎症を起こす場合もあります。

3-2.歯髄炎をそのままにしてしまうと歯髄壊死につながることも

歯髄炎を治療せず放置していると、神経の組織や細胞は死んでしまいます。これを歯髄壊死と言い、しみたり痛みを感じたりすることがなくなります。しかし、痛みがなくなったからとさらに放っておくのは危険です。炎症は歯の根っこから骨や歯茎に広がって、別の部分が痛みはじめます。

3-3.違和感があるときは早めに受診を

虫歯は一度治療したからと言って、その後ずっと大丈夫ということはありません。飲み物を飲んだときにしみる気がする、歯を強く噛むと痛い、歯に違和感があるといったときには早めに歯医者さんへ行きましょう。歯医者さんが神経をできるだけ残そうとするのは、少しでも長く歯を維持するためなのです。

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4.まとめ

歯髄炎の治療や原因についてご紹介してきました。歯髄炎を起こすとつらい痛みに悩まされるうえ、ひどいときには神経を抜かなければなりません。重症になり治療が大がかりになれば、費用も増えてしまいます。気になる症状があれば早めに歯医者さんへ行ったり、定期的な検診を受けたりするようにしましょう。

 

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監修医

遠藤 三樹夫先生

遠藤歯科クリニック 院長

経歴

1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
 現在に至る

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