歯周病と歯肉炎の違いとは?症状や治療内容、予防方法も解説

  • 1
  • 4
  • 0
  • 0
  • 0
歯周病 歯肉炎 違い

みなさんは歯周病と歯肉炎の違いを知っていますか?歯周病や歯肉炎と聞くと、歯茎に何らかの病気のあるイメージを持っているかと思います。そこで、今回は歯周病と歯肉炎について何がどう違うのか解説していきます。また、歯周病を放置した場合に生じるリスク、さらに歯周病が引き起こす症状や防ぐ方法について見ていきましょう。

この記事の目次

1.歯周病・歯肉炎の違いとそれぞれの症状・原因

1-1.歯周病の症状と原因

歯周病は、歯茎や歯槽骨、セメント質、歯根膜といった歯の周辺組織が壊されていく疾患です。初期では症状を自覚しにくいため、気付かずに徐々に症状が進行しやすいのが特徴です。そのため、気付いた時には重症化し、歯が抜け落ちる状態になることもあります。歯周病の主な原因は歯垢(プラーク)といわれています。歯垢は細菌の塊で、歯磨きがうまくできていないと歯や歯周ポケットに付着し、蓄積します。蓄積された歯垢に潜んでいる細菌が毒素を排出し、歯周に炎症を引き起こす事で歯周病を引き起こします。

 

1-2.歯肉炎の症状と原因

歯肉炎は、歯茎が赤く腫れて膿が出ることや歯茎から出血、口臭を伴う症状です。歯肉炎の原因も歯垢によるものがほとんどです。歯磨きが習慣付いていないほか、正しい歯磨きを行っていないと、磨き残した歯垢によって歯肉炎が発生します。そのほか、ヘルペスやカンジダ症といった感染症、ビタミン不足や生活習慣の乱れ、喫煙、薬の服用やホルモンバランスが崩れることでも歯肉炎を引き起こすことがあります。

 

1-3.歯周病と歯肉炎の関係

歯周病は歯肉炎や歯周炎、歯槽膿漏など歯周組織の症状を総称した疾患です。歯周病が原因の場合、歯肉炎を放置すると歯周炎、歯槽膿漏に繋がり、歯周病治療が手遅れになると歯が抜け落ちる可能性もあります。一方で、歯肉炎は歯周病だけでなく、感染症や生活習慣、喫煙、ホルモンバランスなどによっても引き起こされる場合があります。つまり、歯肉炎は歯周病の初期症状であり、歯周病は歯肉炎を引き起こす原因のひとつであると言えます。

 

歯周病 歯肉炎 違い

2.歯周病・歯肉炎の治療方法とその違い

2-1.歯周病の治療

歯周病の基本的治療は、歯磨き指導と歯石除去です。歯周病の原因は歯垢になるため、まずは歯垢除去の基本である歯磨き指導を受けることになります。また、歯石は歯垢が蓄積されて石灰化したもので歯周病を悪化させる要因の一つです。放置すると範囲が広がります。これは自然に除去されることはなく、細菌の温床になってしまうので歯医者さんでの歯石除去が必要になります。一方で、症状がかなり進行した歯周病になると外科的治療が必要になります。歯周ポケット奥深くにまで歯石が蓄積されると、通常のスケーリングでは完全に除去できないため、歯茎を切開して歯石を除去する方法をとります。また、重度の歯周病になると歯周組織が失われていきます。その場合は、症状によってはエムドゲイン法やGTR法といった再生療法によって、歯周組織の再生をはかることがあります。また、糖尿病や喫煙など歯周病を悪化させる要因がある場合、血糖コントロールや禁煙治療も並行して行うこともあります。

 

2-2.歯肉炎の治療

歯肉炎も歯周病の初期段階の症状のため、直接的な原因は歯垢がほとんどです。歯肉炎治療は、歯周病の基本的治療と同様に歯磨き指導と歯石除去になります。適切な歯磨きを行い、歯垢を日常的に除去できるように歯磨き指導を受けましょう。歯周病以外の原因で歯肉炎の症状が出ている場合は、感染症なら抗菌薬の使用、ホルモンバランスによるものはホルモン療法、そのほか禁煙や生活習慣の改善、ビタミン補充など原因にあわせた治療となります。また、薬剤が原因の場合は、お医者さんに別の薬に変更できるか相談してみましょう。変更や中止が難しいときは、口内を清潔に保てるような状態を心がけていく必要があります。

歯周病 歯肉炎 違い

3.歯周病の予防方法について

3-1.適切なブラッシングや歯ブラシの選択

まず、歯周病を予防するために適切なブラッシングを行いましょう。歯周病菌は空気に触れると死んでしまう嫌気性菌なので、歯周ポケットの深くや歯石の中を好むという特徴があります。そのため、歯と歯茎の境目に45度の角度に歯ブラシの毛先をあて、細く動かしながら力を入れず、一つ一つの歯を意識して磨きましょう。

歯ブラシの選び方は、歯周ポケットに入り込みやすいように毛先の細いものがいいでしょう。歯垢は歯の隙間や歯と歯茎の隙間、噛み合わせの所に溜まりやすいので意識して磨いてみましょう。毛の硬さは健康の歯茎の状態であれば「ふつう」もしくは「かため」を選び、炎症や腫れがある場合は「やわらかめ」を選びましょう。歯ブラシは使用し続けると毛先が広がって効率的に歯垢を落とせなくなったり、汚れて細菌の温床になってしまったりするので、1カ月を目安に交換することをおすすめします。歯磨き指導を受けることがあれば、自分にあった磨き方、歯ブラシの選び方を相談してみるのもいいでしょう。

 

3-2.歯医者さんで定期的に歯石取りを行う

歯磨き指導を受けて適切に歯磨きをしたとしても、徐々に歯石は蓄積していきます。歯垢は歯磨きやデンタルフロスで除去することができますが、歯石になると自身で完全に除去することはできません。放置すると蓄積し、歯周病が進行する原因になるので、定期的に歯医者さんで歯石取りをしてもらう必要があります。歯医者さんで行われるスケーリングであれば歯石を綺麗に除去することができます。歯石取りで受診する頻度は、最低でも半年に一回のペースで行くことが歯の健康を保つために必要です。

 

3-3.生活習慣を改善しよう

歯周病は、生活習慣によって症状が悪化することがあります。喫煙はタバコの中に含まれている様々な有害物質により、病原菌に対する抵抗力が低下したり、歯茎の腫れや炎症を治りにくくなります。栄養不足や睡眠不足、過度なストレスがかかると免疫力が低下し、歯周病菌に対する抵抗力が低下しやすくなるため、生活習慣を改善していく必要があります。また、唾液には歯周病菌を殺菌する作用や洗い流す働きがありますので、唾液が多く分泌されるようによく噛んで食事することを心がけてください。

歯周病 歯肉炎 違い

4.まとめ

歯周病、その初期症状である歯肉炎は進行すると口臭や歯茎の出血の原因なるだけでなく、歯が抜け落ちる事にもなりかねない疾患になります。そのため、歯周病予防には適切な歯磨きとデンタルフロスが重要になってきます。しかし、適切に歯磨きをしても磨き残しや歯石は蓄積するため、落としきれない歯垢や歯石は歯医者さんで取ってもらうようにしましょう。

 

【あわせて読みたい】

虫歯と歯周病ってどう違うの?原因菌や治療方法の違いについて解説

歯周病になる原因は細菌の塊?悪化させないためのポイントも解説

お住まいの地域の歯科検診情報まとめ「歯科検診N」

監修医

野村 雄司先生

本町通りデンタルクリニック 理事長

経歴

2003年 大阪歯科大学卒業
2007年 大阪歯科大学保存学講座入局
2009年 まごころ歯科勤務
2012年 まごころ歯科退職
2012年 本町通りデンタルクリニック開業
2013年 大阪歯科大学保存学講座歯学博士号取得
現在に至る。

この記事は役にたちましたか?

  • すごく
  • いいね
  • ふつう
  • あまり
  • ぜんぜん
不正確な情報を報告

歯医者さんを探す