3歳児には、気になる虫歯などの原因にも特徴があります。お子さんが甘いお菓子ばかりを食べたり、ジュースを飲んだりしているのなら、虫歯の予防法にも目を通して役立ててくださいね。
この記事の目次
1.3歳児の子どもの歯の状態
歯の本数が生えそろう時期
子どもの歯が生え揃う時期には個人差がありますが、一般的には3歳6か月ころまでに、上下20本すべての乳歯が生え揃います。生えてきたての歯はもちろんですが、生え揃ったこの3歳の時期でも、乳歯はまだまだやわらかく、虫歯になりやすいので注意が必要です。
お口の中の細菌が定着する
人間のお口の中には、常に細菌が存在します。これらの菌は虫歯や歯周病の菌のように、悪さをする菌ではありません。
お口の中にある細菌は、虫歯菌などがお口の中に入ってくると、悪さをしないように戦ってくれます。虫歯にならないよう、見張りのような役割を果たすのです。そのため、お口の中の環境を維持するためには必要な細菌なのです。
これらの細菌は3歳くらいまでに定着します。口移しで虫歯になるというのは、お口の中の細菌が定着する以前のことです。家族がスプーンなどで口移しで食事をすると虫歯菌が自由に繁殖してしまうため、虫歯になってしまうというメカニズムです。
お口の中の細菌が定着するのも個人差がありますが、だいたい3歳ころです。
食事は大人と同じ食事が食べられるように
先にも触れましたが、3歳ころになると乳歯が生え揃ってきます。すると、奥歯で食べ物をしっかりと噛めるので、咀嚼に問題がなくなり、大人と変わらない食事の取り方ができるようになります。栄養面でもバランスの整った食事を心がけ始める時期です。
おしゃぶりなどの癖が習慣に
3歳ころになると、おしゃぶり、爪噛み、舌で歯を押すなど、口周りの癖が出始めます。放っておくと、出っ歯や噛み合わせが悪くなるなどの悪影響が出やすくなってしまいます。
癖が出始めてすぐには大きな問題になりづらいですが、直さずにいれば、将来的に何らかの悩みに発展しやすくなります。仕方がないと放っておかないようにして、なかなか直らなければ歯医者さんに相談するようにしてください。
2.3歳児ならではの虫歯の特徴
3歳児の虫歯の特徴
子どもの虫歯は見つけにくいという傾向があります。口の中が小さく、歯の大きさも大人に比べて小さいため、一見して分かりづらいのです。また、遊びなどに夢中になっていると、少し歯が痛くても声をあげないこともあります。例え痛くても、それをなんと表現していいか分からず、そのままになってしまうのです。
また、子どもの歯は、大人の歯よりもすぐに虫歯になってしまうという特徴があります。歯がやわらかく小さいので、すぐに虫歯菌に侵食されてしまうのです。虫歯初期に発見することが難しく、気づいたときには痛みが発生していることもあるでしょう。歯がしみる、硬いものを食べると歯が痛むなどのお子さんのしぐさを見逃さないようにしましょう。
子どもの虫歯は、歯と歯の間、奥歯の噛み合わせ部分に発生することが多いです。どちらも凸凹があったり、隙間があったり、通常の歯みがきでケアしにくい部分にできます。
3歳をすぎるころになると、おやつを食べる習慣ができてきて、お菓子に目がないお子さんも多いでしょう。その結果、砂糖の摂取量が増え、歯が溶けたり欠けたりしてボロボロになる子どももいます。
虫歯を予防するために
砂糖や炭水化物などに含まれる糖分は、虫歯の大きな原因になります。虫歯菌の大好物は、これら砂糖や炭水化物の食べかすなどです。そのため、子どもには日ごろから甘いものを食べすぎないように伝え、親御さんがきちんと管理できるようにしましょう。
おやつを食べるにしても、時間を決めておくのがベストです。だらだらと長時間おやつを食べれば食べるほど、虫歯菌が繁殖する機会が増えてしまいます。
虫歯というのは、歯の表面にあるエナメル質を酸が溶かすことでなりやすくなります。この酸は、虫歯菌が排出したうんちやおしっこのようなものです。砂糖の入った食べ物を食べると、バイキンが歯を溶かす酸をたくさん撒き散らしてしまうのです。
糖分を摂取することと、それらの食べかすを放置することは、虫歯が発生する好条件になります。バイキンが酸を出すまでにかかる時間は、甘いものを食べたあと、3〜5分後です。食べ物を食べてから早めに歯みがきをすることが、歯を守るうえでどれだけ有効なのかはお分かりいただけるでしょう。
家庭によっては、テレビを見たり遊んだりしながら、おやつを食べさせていることもあるでしょう。おやつの時間が、ちょっと長めに1〜2時間ある家庭もあるかもしれません。しかしそれでは、歯が溶ける時間が長くなり、より虫歯になりやすくなるのです。
歯の表面が溶けてしまうことを防ぐには、日ごろから虫歯にならないようにデンタルケアを怠らないことが大切です。歯みがきのあとにフッ素を利用するなど、虫歯に強い歯をつくる工夫をしましょう。
3.子育てと歯の健康
「自分で歯みがき」を身につけるとき
3歳ごろになると自我がしっかりとしてきて、なんでも自分でしたいという子どもが多くなります。歯みがきも一生続く習慣ですので、このころから歯みがき習慣をしっかりと身につけさせましょう。
これまで、自分用のマイ歯ブラシを持たせてきた家庭でも、自分ひとりでしっかりと磨くことを覚えさせるときです。親御さんは手出しをせずに、自分で磨けるように見守り、終わったら「ひとりで頑張ってよくできたこと」をほめるのを忘れずにしましょう。歯みがきがきちんとできたと子どもが自信を持てば、しっかり歯みがきをする習慣が身についていきます。
歯みがきの上手な教え方
歯みがきをきちんとするといっても、何が正しいブラッシングなのか子どもでは分かりません。そのため、歯みがきのやり方を保護者が丁寧に教えてあげる必要があります。
歯みがきを教えるときには、歯ブラシは左右にスライドするのではなく、一本一本磨くように教えましょう。また、左右上下の奥歯、次に前歯の表裏など、順番に磨いていくことを教えてください。
いつも同じ流れで、順番に歯を一つひとつ磨いていければ、くまなく汚れが落とせて虫歯予防になります。最初のうちは、「まずは奥の歯を磨いて」「歯ブラシの動かし方はこうだよ」と、フォローをしながら子ども自身に磨かせましょう。
ここでも、「上手だね」などとほめたりしながら、うまくやる気を引き出させてあげましょう。
仕上げ磨きは必須
もし、子どもがきちんと歯みがきをこなせるようになっても、まだまだ磨き足りないところが出てきます。そのため、大人の仕上げ磨きは必須といえます。
歯みがきの最後には必ず親御さんがチェックをして、仕上げ磨きをしてあげましょう。仕上げ磨きは、お子さんの頭を膝にのせて仰向けにさせ、口を大きく開けさせて行うとやりやすいです。
「バイキンさんはいないかな?」「きれいに磨けてるね」など、声をかけながらやると、気が散りやすいお子さんにも仕上げ磨きがしやすいです。
4.無料で受けられる3歳児の歯科検診
日本では、3歳児の虫歯ゼロの割合を80%以上にするという目標を掲げており、全国の市区町村で無料検診を行っています。逆にいえば、それだけ虫歯が多いということです。
歯がやわらかく、おやつなども食べ始める年代であるため、3歳児は虫歯になりやすい特徴があります。そのため、必ず歯科検診を受けるようにし、早期発見に努めることが大切です。
5.まとめ
3歳児になると、食事も大人と変わらないものが食べられるようになってきます。しかし一方では、乳歯が虫歯になりやすいということを忘れてはいけません。子どもの歯が虫歯にならないためにも、おやつの時間は決めておくこと、食べたら歯を磨かせること、必ず親御さんが仕上げ磨きをすることを徹底しましょう。
定期的な歯科検診などはお子さんが自ら受けられるものではありません。親御さんが適切に受診させてあげることが大切です。3歳は虫歯になりやすい年代なので、予防歯科に努めて、健康な歯を維持させてくださいね。