この記事の目次
1.赤ちゃんの歯の生え初めの特徴
乳歯は生後6ヶ月ごろ、前歯から生え始める
赤ちゃんの歯は、生後3~9ヶ月くらいに生え始めます。
個人差があるので、多少時期が前後してもほとんど問題ありません。
生え始めが早い子も遅い子も、前歯から生え始める点は共通しています。
下の前歯から生えるのが一般的ですが、上の前歯から生えるケースもあります。
いきなり奥歯から生えるということはほぼありません。
前歯から奥歯へと順番に生えていき、奥歯まで生えそろうには約2年かかるのが一般的です。
歯が生え始める兆候
生後3~9ヶ月くらいの赤ちゃんのよだれの量が急に増えだしたら、歯が生え始めるサインです。
よだれの量が増えるのは、母乳だけではなく離乳食を摂取する準備に入ってはいるものの、まだ口を閉じて唾液を飲み込む機能が発達していないためです。
そのため、この時期の赤ちゃんは、よだれをたらしてしまいます。
また、歯が生えてくる徴候には、歯茎の痛みや、むず痒さもあるようです。
そのため、泣いたりぐずったりすることも多くなります。
いわゆる「歯ぐずり」と呼ばれるもので、夜泣きが増えたりすることもあります。
乳歯は身体の成長や永久歯に影響する
この時期の赤ちゃんの身体は、成長が著しく、身体が大きくなるのはもちろん、運動機能も発達し、何でも自分でやりたがる心の成長も見られるでしょう。
そういった成長は母乳だけでは支えきれないため、生え始めた歯を健やかに保ち、しっかりと離乳食で栄養をとらなくてはなりません。
乳歯に何らかのトラブルが出てしまっては、栄養摂取が十分できず、身体の成長にも悪影響が出てしまいます。
また、乳歯の健康状態は、後に生えてくる永久歯にも影響を及ぼします。
乳歯がひどい虫歯にかかると、永久歯の歯並びや形、質が悪くなり、発音にも不備が出てしまうリスクがあります。
赤ちゃんの歯の健康は、健全な身体の成長や、生涯を通して口内を健やかに保つためにも必要不可欠だと言えます。
2.歯医者さんに行かなければならないケース
歯が生えてこない場合
乳歯が生え始める時期には個人差があるため、1歳近くまで何の兆候も見られない場合もあります。
そのため、一般的な時期に歯が生えてこないからと言って、急いで病院にいく必要はありません。
しかし、1歳3ヶ月を過ぎても歯が顔を出さないのであれば、歯医者さんへの相談をおすすめします。
先天性欠如(せんてんせいけつじょ)など、なんらかの問題を抱えているかもしれないからです。
産まれたときから歯が生えている場合
ごくまれにですが、生まれた時から歯が生えている赤ちゃんもいます。
これは『先天性歯(せんてんせいし)』といわれるもので、授乳時に赤ちゃんが乳首を噛んでしまい、お母さんが乳腺炎(にゅうせんえん)を起こす恐れが高くなります。
できるだけ早く歯医者さんに相談しましょう。
歯医者さんでは状況に応じて、抜歯をしたり、歯の先を削ったりコーティングをして、歯の先をまるく加工する処置が行われます。
生える順番がずれている場合
前述の通り、乳歯は前歯から奥歯へと順番に生えそろっていくのが一般的です。
個人差はありますが、あまりにもランダムな生え方をしていると、将来的に歯ならびの問題を起こす恐れもあります。
こういった場合は、歯医者さんで診てもらうことをおすすめします。
多少順番がズレたとしても、2歳半~3歳半までに生えそろえば問題ありません。
しかし、その時期になってもまだ全部の歯が生えていないようならば、やはり歯医者さんの診断が必要になってきます。
歯の裏側に白い歯石がある
赤ちゃんの歯をよく観察すると、裏側にびっしりと白い歯石がついていることがあります。
赤ちゃんであれば、歯石によるトラブルはほとんど起きないので、歯が生え揃うまで放っておいても問題ないでしょう。
しかし、歯垢は歯肉炎や歯周病の原因となる場合があります。
気になるようであれば、歯が生え揃った段階で日々のケア方法について、歯医者さんに相談してみてもよいでしょう。
歯の形に違和感がある
時期的には問題なく生えてきた歯でも、形に違和感がある場合もあります。
たとえば、歯どうしが密着したまま結合してしまう『癒合歯(ゆごうし)』などもそのひとつです。
これは下の歯によく見られる症状ですが、乳歯の段階ではさほど気にする必要はありません。
ただ、癒着している歯の下から永久歯が生えてくるときに、歯根が適切に吸収されず、生えかわりの時期になってもなかなか抜けないことがあります。
永久歯の歯並びに影響が出る恐れがあるので、生え変わるタイミングで診断を受けるようにしましょう。
歯の色が黄色や茶色に見える
通常の乳歯は乳白色をしていますが、まれに黄色や茶色の歯が生えてくることがあります。
これは『エナメル質形成不全』といわれる症状です。
通常、歯の表面はエナメル質によってコーティングされていますが、エナメル質形成不全の場合はそれが上手く作られません。
そのため、歯が柔らかく、弱い状態となり、非常に虫歯になりやすくなっています。
気がついた時点で、歯医者さんで診てもらいましょう。
3.家庭でのケアの方法
赤ちゃんが健やかに成長するためには、生え始めの歯はしっかりとケアした方が良いでしょう。
成長段階に応じて、ケアの方法は異なります。
生後5ヶ月前後まで
離乳食を始める前までの段階では、赤ちゃんの食事は主に母乳です。
歯が生え始めていても、離乳食を始めるまではガーゼや滅菌シートで拭き取る程度のケアで十分です。
ただし、粉ミルクを飲ませている場合、乳糖以外の糖分も含まれていることがあります。
そのため、より虫歯になりやすい傾向があります。拭き取り忘れに気をつけましょう。
※離乳時期の目安は厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」の記述に基づきます。
生後10ヶ月前後から
生後10ヶ月を過ぎると、離乳食を口にする機会も格段に増えます。
赤ちゃん用の歯ブラシで丁寧に磨くようにしましょう。
最初は口の中に歯ブラシを入れるのを嫌がるかもしれませんが、徐々に慣らしていくことが大切です。
乳歯が生え揃った2歳頃から
乳歯が生え揃ったら、赤ちゃん用の歯ブラシから子供用の歯ブラシに移行します。
子供用歯みがき粉や歯みがきジェルを使用しましょう。
乳歯が生え揃っても、赤ちゃんが自分で歯磨きをするだけでは磨きのこしが出やすいので、親御さんがきちんと仕上げ磨きをしてあげると良いでしょう。
どの時期にも共通する乳歯のケア
きれいに磨いているつもりなのに、虫歯ができてしまうことがあります。
それは、歯と歯の間に磨きのこしが原因であることが多いです。
歯のすき間は、どうしても細菌がたまりやすくなっています。
歯医者さんやドラッグストアで販売されている子供用デンタルフロスは、歯のすき間にたまった細菌をきれいにする助けとなるアイテムです。
歯ブラシとあわせて使うことをおすすめします。
親もするべき口腔ケア
虫歯の原因となる虫歯菌は、人から人へとうつります。
親子で安全にスキンシップを取るために、親御さんも口腔ケアをしっかりおこなっていきましょう。
もし、自分が虫歯や歯周病になっているかもしれないと心当たりがある方は、子どものためにも歯医者さんで診察を受けることをおすすめします。
また、一昔前は、離乳食を親御さんが噛んでから与えるのが推奨されていたこともありました。
しかし、現在では避けた方が良いとされています。
菌は唾液を介してうつります。
大人が使ったコップやスプーンを、洗わずにそのまま赤ちゃんにも使うのは避けましょう。
4.まとめ
乳歯はとてもデリケートです。
虫歯にならないように健康な状態を保つことは、親御さんにとって大変なことですが、赤ちゃんの成長のためには大切なことです。
乳歯の健康状態は、永久歯にまで影響を及ぼすこともあります。
生え始めの乳歯を守ることは、生涯の口内健康を保つことにもつながるとされています。
赤ちゃんの歯について不安がある場合は、歯科指導を行っている小児歯科医院に相談することをおすすめします。