舌痛症の症状と心のトラブルが招く原因を徹底解説!

舌痛症の症状と心のトラブルが招く原因を徹底解説!

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舌に痛みなどを感じる時、歯科医師や医師に相談すると、舌痛症(ぜっつうしょう)と診断されることがあります。舌痛症は、大きくわけて2つの原因があります。一つは、なんらかの体のトラブルが原因で起こる場合で、もう一つは、心にかかる負担が原因になる場合です。

体のトラブルによって起こる舌痛症は、きちんとしたケアをすれば、良い状態を取り戻せることが珍しくありません。具体的なケースについて見ていきましょう。

この記事の目次

1.舌痛症はどんな症状?市販薬は効くの?

1-1.舌痛症の症状

舌痛症は「舌がピリピリと痛む」「焼けるように痛い」といった症状が挙げられ、検査をしても原因が見つからなかった場合に診断される病気です。

舌痛症の特徴としては

1.中高年の女性に多い
2.舌の表面に焼けるような痛みを訴える
3.舌の両縁や先端が痛くなることが多い
4.食事や会話・趣味など何かに集中している時に痛みはない
5.ガムや飴を口に含んでいると痛みが軽くなることが多く、意識的にそれらを食べている

というものが挙げられます。

1-2.舌痛症に効く市販薬は?

舌痛症は原因や発症の仕組みがはっきりと分かっていないため、応急処置で薬を飲むといっても何を飲んだら良いのか判断が難しい病気でもあります。実際に、市販の「痛み止め」では痛みが改善しなかったという声も聞かれます。
ただし、舌痛症は口内乾燥が原因のひとつと言われていることから市販の「口腔保湿剤」を舌に塗ることで痛みが軽くなることがあります。

舌痛症の痛みにどうしても耐えられないという方は応急処置として市販薬に頼ることは悪くないのですが、さまざまな原因が絡み合う難しい病気ですので治したい方は歯科医院に相談しましょう。

2.栄養素や口内環境からみる舌痛症の原因

2-1 口の中が不潔な場合(喫煙なども含む)

口の中には、300-400種類の細菌が住んでいるといわれます。これらの細菌の中には、虫歯を起こす菌だけでなく、舌や歯茎、口の中の粘膜を傷つける細菌が存在し、その数は、1000~2000億個といわれています。(ほとんど歯を磨かない方の場合は、1兆個程度)

口の中が不衛生になり、舌痛症を引き起こしている場合は、歯科医師に相談して治療を受けることはもちろんです。そのうえで、歯みがきをしっかり行い、喫煙者は禁煙を行うなど口の中を清潔に保つことが大事です。

2-2 亜鉛やビタミンなどの栄養不足

栄養素の一種である亜鉛が極端に不足すると、味覚を感じにくくなることがわかっています。

また、ビタミンB群とよばれる栄養素が不足すると、口内炎や舌の炎症(舌がはれる状態)を起こしやすくなることがわかっています。医師や歯科医師に相談して、栄養不良が原因だと診断された場合は、以下の食物を意識して食べるようにするとよいでしょう。

◆舌痛症を改善する栄養を多く含む食品
亜鉛(不足すると味覚を感じにくなる)「牡蠣」、「豚レバー」、「卵黄」、「牛肉」
ビタミンB2(舌が炎症を起こしやすくなる)「うなぎ」、「レバー」、「納豆」、「卵」、「牛乳」
ビタミンB6(アレルギーを起こしやすくなる)「マグロ」、「サンマ」、「牛レバー」

2-3 つめものや入れ歯が合わない場合

歯科医師に、虫歯の治療を行ってもらった後、金属の詰め物が合わなかったり、入れ歯が合わなかったりすることがあります。放置しておくと舌を傷つけてしまい、舌痛症の原因になる可能性があります。まずは歯科医師に相談し、処置を行ってもらうことが重要です。

2-4 舌やくちびるをかむクセ

本人が無意識のうちに、舌やくちびるを噛むことによって、舌が傷ついてしまい、舌痛症を引き起こすケースが確認されています。
舌やくちびるを噛むクセは、必ずしも体に原因があるとは限りません。ストレスを解消するために無意識的に行っていることもあるといわれています。

歯科医師に相談して原因が見つからない場合、無意識のうちの舌やくちびるをかんで、傷つけていないか確かめてみるとよいでしょう。(精神的不安が舌痛症の原因になるケースは4-2で解説します)

2-5 舌や歯茎の神経のトラブル

舌を動かした時に痛みが起こる場合や、舌の根元(舌根部)や顎・耳にかけて痛みが生じる場合は、痛みを感じる神経にトラブルが起きている可能性が考えられます。

この場合、痛みを感じる神経に刺激が伝わらなくする薬物療法(神経ブロック)や、神経につながる血管の圧力を減らす療法(神経血管減圧術)を受けることによって、症状がやわらぐことがあります。まずは歯科医師に相談するとよいでしょう。

2-6 ウイルスが原因になる場合

単純ヘルペス(帯状疱疹を引き起こすウイルス)の繁殖によって、舌が炎症を起こし、舌痛症と診断されるケースがあります。単純ヘルペスに限らず、ウイルスが原因の舌痛症は、ウイルスを抑える特別なお薬が必要になることが一般的です。

また、痛みがひどくなると自然に治ることは少ないですので、医師や歯科医師の診察を受けて、薬を処方してもらうことが重要です。

3.舌痛症の原因(身体のトラブル編)

今まで説明してきた以外にも、舌痛症を引き起こす原因はたくさんあります。
代表的なものを解説しますが、気になる場合は、医師および歯科医師に相談し、治療を受けるようにしてください。

3-1 糖尿病

糖尿病が進行すると、舌が腫れ、出血を起こしやすくなることがわかっています。(実際は、舌だけでなく、全身の各所に腫れや出血が起こりやすくなります)

一般的に糖尿病で、このような症状が出る場合、医師の指導に基づいて厳格に食事をコントロールし、服薬(血糖上昇の抑制作用のある内服薬や、血糖値を下げるホルモン「インシュリン」の自己投与などがあります)をきちんと行うことがなによりも大事です。

3-2 口の中が乾燥する難病 

歯科医師や医師の間では、口腔内が乾燥しやすくなる「シェーグレン症候群」という病気が知られています。この病気は、唾液が分泌されにくくなるため、舌が乾燥し、雑菌の繁殖で腫れやすくなりがちです。

医師・歯科医師の指導のもと、シュガーレスガムなどを定期的に噛み、少しずつ水分をとることによって、舌痛症が緩和されるとされています。

加えて、歯科医師に虫歯の詰め物や入れ歯を確認してもらい、口腔内を傷つけて舌痛症を引き起こさないようにケアしてもらうことも重要です。

3-3 貧血

舌痛症の原因として、まれですが「悪性貧血」が原因になることがわかっています。胃の摘出手術などによって、ビタミンB12や葉酸といった栄養素が極端に不足し、舌に炎症が起こるためです。(医師から、注射でこれらの栄養を補給してもらうと症状は治まります。)

3-4 脳や神経の病気が原因になることも

脳の血管の障害や、舌につながる中枢神経の障害によって舌痛症が起こるケースも確認されています。脳梗塞をはじめとした脳血管障害、多発性硬化症やギランバレー症候群などの病気を発症した場合、舌痛症が生じることもありえます。

いずれの疾患も歯医者さんの診断のもと、治療を一刻も早く開始する必要があります。まずは、医師・歯科医師に舌痛症の症状を申告し、これらの疾患が原因でないか確認することが重要です。

3-5 がんの治療の副作用

舌がんや口腔内のがんによって、放射線療法を受けた後に、舌痛症が生じることがあります。いうまでもなく、がんは、全身の機能に影響を与える疾患ですので、舌痛症の症状が表れた場合は、医師に申告し、今後の治療方法について検討してもらうことが重要です。

4.舌痛症の原因(心のトラブル編)

身体に由来する舌痛症の原因と治療法について見てきましたが、中には心のトラブルから舌痛症が生じることもあります。いずれの場合も、できるだけ早いうちに医師や歯科医師に相談することが重要です。

4-1 ストレスからドライマウス・舌痛症につながることも

ストレスを感じる原因は、人によって様々ですが、ストレスにさらされる時間が蓄積されると、ドライマウス(口腔内や舌の異常な乾燥が起こる)や舌痛症を生じるケースがあることが知られています。

これまで見てきたように、舌痛症は、身体に原因があるケースも珍しくありません。一般的には医師や歯科医師は、身体に原因がないか確認した上で、はっきりした原因がない場合、ストレスによって舌痛症が起きていることを疑います。

大多数の場合、不安やストレスを和らげる医薬品を用いる薬物療法が選択されますが、ケースによっては、漢方薬などを選択することがあります。

4-2 精神的不安が舌痛症の原因になることも

「がんに罹患しているのではないか?」といった不安を強く感じる方の場合、舌痛症を引き起こすケースがあることがわかっています。

この場合も、これまで見てきた身体的なトラブルがないかを確認した上で、精神的不安から舌痛症を引き起こしていることを判断する必要があります。
治療については、不安を和らげる医薬品を投与することが大多数ですが、必要に応じて、不安を生じる考え方を改善する心理療法が併用されることがあります。

 

5.舌痛症は何科で受診したら良いのか?

舌痛症はこれまでご紹介した通り原因が複雑で原因療法(原因に直接働きかける治療法)を行うのが難しいです。

そのため、
精神的なストレスからくる場合⇒精神科、心療内科
口内環境や身体のトラブルからくる場合⇒歯科口腔外科

といった医療機関で相談をすることをおすすめします。

6.まとめ

舌に痛みを感じる舌痛症の原因は様々です。脳血管障害のように早く治療を開始しなければならない疾患が原因であることもあれば、ストレスや不安・うつといった心のトラブルが原因であることもあります。特に細菌やウイルスの感染が起きている場合は、薬物療法を早急に求められる可能性も出てきます。

医師の診察を受けても原因がはっきりしない場合は、歯のつめものや入れ歯が合わず口の中や舌を傷つけているかもしれません。また、口の中が不衛生になっているために舌痛症が起きていることもありえます。

まずは歯科医師の診察を受けて、虫歯の詰め物や入れ歯の異常、かみ合わせなどを調べてもらうといいでしょう。

~飯田先生からのコメント~

口内炎に起因する舌痛症は 歯の尖った部分や合わない入れ歯による褥瘡性潰であることも多く、前癌症状である場合があります 注意が必要です。

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監修医飯田尚良先生

飯田歯科医院 院長

■院長経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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