いびきは、本人はなかなか気づきにくいもの。生活をともにしている人から指摘されて初めて分かる人もいるのではないでしょうか。最近では、いびきが原因の「睡眠時無呼吸症候群」で睡眠が妨げられ、日中に襲う眠気で仕事の効率が上がらない、といった悩みを抱える人も少なくありません。ここでは、いびきの原因や対策法について紹介します。生活習慣を見直すだけで改善されるいびきもあります。ぜひ、参考にしてみてください。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
1.いびきの対策法
1-1 自宅でできるセルフケア
普段の生活を意識的に変えるだけで、いびきが改善します。早速、チャレンジしてみましょう。
・鼻呼吸にする
口呼吸が原因で起きていたいきびが改善できます。意識的に鼻呼吸を行うほか、ドラッグストアなどで販売されている口を閉じるための「マウステープ」を使用する方法もあります。
・部屋の湿度を保つ、マスクを着用して寝る
鼻や喉が乾燥すると炎症を起こし、口呼吸に切り替わりやすくなります。加湿器の使用や、就寝時にマスクを着用するなどして乾燥に気をつけましょう。
・鼻呼吸を促す舌のトレーニングをする
舌と口を意識的に動かす「あいうべ体操」を行います。口を大きく動かしながら「あー」「いー」「うー」と動かし、最後は「べー」舌を表に出し下まで伸ばします。1日30セットを目安に行うのが目標です。
出典:(「みらいクリニック」(福岡市)の今井一彰先生が考えた口呼吸を改善するトレーニング法)
・ダイエットをする
脂肪を減らすことで、気道に空気の通り道が確保されます。睡眠時無呼吸症候群の場合も効果がある対策法です。ウォーキングなど身近な運動から取り入れていきましょう。
・横向きで寝る
気道を確保するのに良い姿勢です。抱き枕を使用するなど、横向きになりやすい状況を作ることが大切です。
・寝具(枕)を変える
寝具…柔らかい素材でなく低反発素材のほうが就寝中の姿勢が保たれ、いびきをかきにくくなります。
枕…少し低いものや硬めのものがおすすめ。低反発素材も頭が下がりきらない姿勢が保たれます。
・就寝前にお酒を飲まない
アルコール作用により舌の筋肉が緩むと、いびきをかきやすくなります。寝酒が毎日の習慣になっている方は、まずは週の何日かだけでも休刊日を設けてみましょう。
1-2 歯医者さん(口腔外科)での治療法
歯医者さんに併設している口腔外科で治療ができます。
・マウスピース
患者さんの歯型に合わせたオーダーメイドのマウスピースを作製し、就寝中に装着することで下顎が上顎よりも少し前に出るように固定できます。これにより、気道を確保していびきを改善します。
<メリット>
・軽くて小さいため、出張や旅行の際の持ち運びが可能
・装着も簡単
・体への負担が少ない
・高い効果が見込める
・保険適用で費用も安心(6,000~7,000円程度)
※耳鼻科など医師からの紹介状があれば、保険適用となる
2.いびきの種類と原因
2-1 種類
いびきには大きく分けて3つの種類があります。ご自身のいびきがどのタイプか生活をともにする方に確認してみましょう。
・単純いびき症
呼吸に違和感のない通常のいびき。
・睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に無呼吸(10秒以上呼吸がない)の状態が、1時間に5回以上または7時間のうち30回以上起こる状態。本人は分からないが、起床時の目覚めが悪い、日中に強い眠気がする、疲れが取れないなどの症状があったら、可能性を疑ってみましょう。
・上気道抵抗症候群
首から上の部分・上気道が狭く呼吸がしづらい状態で、睡眠時無呼吸症候群と同じように日中の強い眠気や疲れが取れない症状が表れます。
2-2 原因
生活習慣が原因となっている場合もあります。普段の生活を振り返ってみて、当てはまるものはありませんか?
・肥満(首回りに脂肪がついている)
肥満により首回りに脂肪がついている人や舌の厚みがある人は、気道の妨げになり空気が通りにくくなります。二重アゴの方も舌の筋肉が衰えているサインでもあり、睡眠中に喉の奥に舌が入り込み気道の妨げになります。
・口呼吸
つねに下顎が下がっている状態から舌を支える筋肉が衰え、喉の奥に舌が入り込みやすくなります。
・鼻の疾患
風邪やアレルギーで鼻の詰まりがあると、睡眠中も口呼吸になってしまいます。
・仰向けで寝ている
顎が上を向いている姿勢のとき、舌が喉の奥に落ちる状態になり気道が狭くなります。
・顎が小さい
舌が顎の中に収まらず、特に女性のいびきの原因に多い症状です。
・疲労、ストレス
疲労により上気道の筋肉が衰え、舌が喉の奥に落ちやすい状態になります。また、疲労やストレスが溜まると体が酸素を取り込もうとするため、無意識に口呼吸になってしまいます。
・睡眠前の飲酒
アルコールの作用のひとつに、筋肉を緩めることがあります。舌を支える筋肉も緩み、気道が狭くなります。また、血行が促進されることで鼻詰まりも起こりやすくなることがあります。
・薬の服用
筋肉の緊張を和らげる成分を含む睡眠薬や精神安定剤を服用している場合、気道が狭くなる条件を引き起こします。
・扁桃腺や口蓋垂(こうがいすい)が大きい
いびきは口蓋垂(こうがいすい)が振動することで発症します。口蓋垂とはいわゆる「のどちんこ」のことで、口蓋垂が大きいと気道が塞がれる範囲が広く、いびきをかきやすくなります。
・老化
年齢を重ねることで筋肉も衰えてきます。舌を支える筋肉や上気道の筋肉も衰えることで、いびきをかきやすくなります。
3.いびきの改善に最適な歯医者さん選び
良い歯医者さんを見つけるポイント
歯医者さんでの治療を希望する際は併設されている科に注目し、医院の特徴について調べ、自分に合った最適な歯医者さんを選びましょう。
・口腔外科を併設している
いびきに関係する顎や骨格の治療・診断を専門とする口腔外科での治療がおすすめです。
・睡眠時無呼吸症候群など、自分のいびきの種類に合った治療を行っている
いびきによって治療法も異なります。いびきの様子は生活をともにしている方に確認してもらい、日中に表れる症状をもとに歯科医師に相談してみましょう。
・医科との連携が取れている
マウスピース治療など、歯医者さんでの治療を希望する際に紹介状を発行してくれます。また、逆に耳鼻科などでの治療法が適している場合は歯科医師から紹介が受けられます。
・通院しやすい医院
途中で治療をやめることなく、きちんと通院することが大切です。ライフスタイルに合わせた通院しやすい歯医者さんを探しましょう。
4.まとめ
いびきは、セルフケアでも改善が見られない場合、歯医者さんの口腔外科での治療が可能です。気軽に始められるマウスピース治療で、ご自身の睡眠も生活をともにする方も快適な時間に変わるかもしれません。いびきで悩んでいる方は、ぜひ歯医者さんに相談してみてください。
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監修医飯田尚良先生
飯田歯科医院 院長
■院長経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る