小児歯科でのレントゲン撮影が心配!身体への悪影響は?

小児歯科 レントゲン

小児歯科でのレントゲン撮影が心配!身体への悪影響は?

虫歯治療や歯列矯正など、子どもが歯医者さんで治療してもらうときには、必ずといっていいほどレントゲン撮影をします。しかし、レントゲンは放射線を使って撮影するため、身体に悪影響が出ないのか不安になっているお母さんも多いのではないでしょうか。この記事では、子どもにきちんと検査を受けさせ治療をするためにも、小児歯科でレントゲン撮影をすることに問題はないのかについて触れていきます。正しい知識を身につけて不安を払しょくしてくださいね。

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小児歯科 レントゲン

この記事の目次

1.レントゲン撮影による身体への影響とは

飛行機に乗るより放射線量は少ない

歯医者さんで行うレントゲン撮影は、放射線量が多くないため身体への影響は少なく、心配はほとんどありません。

日常で浴びることのある放射線量を比べると、その影響は飛行機に乗るほうが大きいほどです。具体的に数字を出すと、歯医者さんで浴びる放射線量は0.01〜0.03mSv程度といわれています。一方で、飛行機の場合は東京〜ニューヨーク往復の場合で0.2mSv程度です。

歯医者さんのレントゲンで使うX線のエネルギーは、身体に悪影響を及ぼすレベルの放射線量に比べ大幅に小さい数字です。“放射線”という言葉で不要に怖がることのないようにしてください。

不要な場合は撮影しない

レントゲン撮影で浴びる放射線でも、年に何回も撮影したら影響が出るのではないか…と不安に思うかもしれません。しかし、歯医者さんでレントゲン撮影をする場合は、検査や治療のために必要であることがほとんどで、治療のたびに撮影したり、必要がないのに撮影をするようなことはまずありません。歯医者さんが不要にレントゲンを撮影することはないのです。

また、レントゲン撮影で浴びる放射線はかなり少量です。とはいえ、何度もレントゲン撮影をすれば、放射線の影響が出てくると思うかもしれません。しかし、例えば放射線量が多いといわれる胸部X線を年に10数回撮影したとしても、その放射線量は身体に影響を及ぼすほどではありません。自然界にはそもそも、自然放射線という放射線が放出されていますが、その年間放射線量よりも胸部X線の放射線量は少ないのです。

歯医者さんで行うレントゲン撮影は、放射線量が比較的少ないものです。自然界から浴びる放射線よりも大幅に放射線量は少ないので、通常の治療などで撮影を重ねるくらいでは影響はほぼないのです。

2.小児歯科で行うレントゲン撮影とは?

レントゲン撮影の種類は大きく2種類

歯医者さんで行うレントゲン撮影には、デンタルとパノラマの2種類があります。デンタルは歯を数本写すだけの部分的な撮影に使われるもので、パノラマはすべての歯や顎の骨全体を写すものです。この2種類は治療の方針や検査したい部位などによって使い分けます。

例えば前歯だけの虫歯治療であれば、デンタルを使って部分的な撮影をするだけですむこともあります。一方で、歯列矯正など顎全体を撮影する必要があれば、パノラマを使って全体を撮影していきます。

また、レントゲン撮影で使うX線は放射線であり、放射能を放つ放射性物質ではありません。レントゲンを撮影したからといって、身体から放射能がいつまでも発生し続けるというような心配は不要です。

小さな子どもは撮影が難しいことも…

レントゲンを撮影するときには、お口の中に専用のフィルム入れて撮影することがあります。これは子どもにとっては不快に感じやすく、場合によっては嫌がって撮影ができないこともあるでしょう。

また、レントゲンを撮影時には静止できないと撮影できません。レントゲン撮影室に入って、医師などの指示通りに従うのも小さな子どもでは大変なこともあります。ひとりでは撮影が難しいことが多いので、場合によっては保護者が抱き抱えたり、身体を支えたり、口を開かせるなどして一緒に撮影するような対応も必要になるでしょう。

3.レントゲン撮影が必要な理由とは?

乳歯の虫歯は目視では見つけにくい

乳歯の場合、永久歯と比べて虫歯がわかりにくい傾向にあります。歯に穴があいたり、黒ずんだりすることだけが虫歯だと思いきや、実は意外と、見た目に変化のない虫歯も多いのです。特に、歯と歯の隙間や、歯の深部に虫歯がある場合は、パッと見ではわかりづらいでしょう。

子どもの虫歯は穴があいていないことも多く、歯そのものが小さい、顎自体が小さく口の中が狭いなど、目視では発見しにくい特徴があります。幼稚園などでも歯科検診はできますが、集団検診などでは歯のレントゲン撮影までは行いません。そのため、虫歯を見逃してしまう可能性も少なくありません。

そんなとき、レントゲン撮影が虫歯の早期発見につながるということもあるので、歯医者さんではレントゲン撮影を行います。虫歯は進行しないと痛みなどの自覚症状が現れなかったり、子どもの場合は歯の痛みを訴えられなかったりと、発見が遅れる可能性もあります。そんな場合でも、レントゲン撮影をすれば深部の虫歯などにも気づくことができるのです。レントゲンは怖いものではなく、とても合理的なものだと理解しましょう。

撮影のタイミングは小児歯科によって違う

歯医者さんで撮影をするタイミングは、小児歯科によって違います。例えば、歯の異常を訴えて歯医者さんに行けば、そのときにレントゲン撮影をして検査をします。撮影をするのは初診時だけであることもあれば、治療の過程で撮影をすることもあります。1年に1回など、定期検診をするときに撮影をするときもあります。

4.放射線量が心配な場合の対処法

放射線量が少ないデジタルレントゲンで

もしも撮影の際の放射線量が気になるのであれば、比較的放射線量が少ないデジタルレントゲンを選びましょう。
センサーの感度がいいので、浴びる放射線量が従来のフィルムで撮影するレントゲンと比べて10分の1程度ですむのです。とはいえ、フィルムレントゲンの放射線量に問題があるというわけではありません。しかし、10分の1の放射線量ですむデジタルレントゲンであれば、余分な不安感を抱かずにすむでしょう。
デジタルレントゲンとはデジタルカメラと同じようなもので、フィルムを使ったレントゲンよりもセンサーの感度がよく、より精細な写真の撮影が可能です。また、すぐに画像を見ることができ、画像の劣化などがないのも利点です。デジタルレントゲンでの撮影を選択したいのであれば、歯医者さんに確認してから受診予約をするといいでしょう。

防護服を来てレントゲン撮影をする

レントゲン撮影用の防護服があるので、それを着用して撮影することもできます。歯医者さんでは歯や顎全体などの限られた部位を撮影しますが、子どもの場合は不意に動くなどして身体の他の部位に放射線を浴びる可能性もゼロではありません。防護服を改めて着ておけば、撮影に関係のない身体などに放射線を浴びる心配がありません。

放射線量が気になる場合は、一度小児歯科に問い合わせてみるといいでしょう。基本的には検査や治療のときには撮影をすることが多いですので、歯医者さんに行ってから「防護服がないから治療をしない」ということがないように、事前に確認してから歯医者さんにいくのがおすすめです。

5.まとめ

小児歯科 レントゲン

歯医者さんでは、無駄にレントゲン撮影をしたりすることはありません。また、レントゲン撮影で浴びる放射線量は身体に対する悪影響もほとんどないため、不用意に怖がらないようにしましょう。虫歯の早期発見ができないと、虫歯が悪化してしまう可能性もあります。不用意に怖がってしまえば治療が遅れ、ひどい虫歯になってしまう可能性もあるのです。その方がデメリットになるので、必要なレントゲン撮影は受けるようにして、虫歯予防に役立てるようにしてください。

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監修医 遠藤三樹夫先生

遠藤歯科クリニック

院長

【経歴】
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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