この記事の目次
1.赤ちゃんの舌が白い原因は…カビ?
赤ちゃんの舌が白いのは一般的
赤ちゃんの舌が白っぽくなっているのは、ごく自然なことで、珍しくありません。
ほとんどの場合、母乳やミルクの白いカスが赤ちゃんの舌に残ってしまうためです。
あまり心配する必要はありませんが、まれに病気が原因で白くなっていることもあります。
赤ちゃんの舌が白いときの原因の確かめ方
赤ちゃんの舌が白くなっているのを見つけたら、まず、水で湿らせた清潔なガーゼを準備し、拭いてみましょう。
きれいに拭き取ることができれば、母乳やミルクのカスが原因です。
拭き取ることが難しい場合は、病気の恐れがあるので対処が必要です。
赤ちゃんの舌がカビで白くなる原因はママの産道
赤ちゃんの舌が白くなる病気で考えられるのは、「鵞口瘡(がこうそう)」という、「カンジダ菌」が原因で起こる疾患です。
新生児の感染の主な原因は、妊娠期間中にお母さんが「カンジダ膣炎」を発症することです。
分娩時に赤ちゃんがお母さんの産道を通り、お母さんから赤ちゃんに感染してしまいます。
ただし、お母さんが定期健診でカンジダ膣炎を指摘されていないようであれば、心配はいりません。
2.赤ちゃんの舌が白いときの原因別の症状
母乳やミルクのカスが原因
母乳をあげる回数が増えると、赤ちゃんのお口の中に残っている母乳やミルクの白いカスが、だんだん舌の上に溜まっていきます。
普段は、よだれで舌の表面がきれいになるので、白さが目立たないことが多いです。
溶連菌感染症が原因
「溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)」というのは、5~12歳くらいの子どもがかかりやすい感染症です。
乳児期の赤ちゃんが感染することはあまりないものの、まれに感染が起こります。
溶連菌感染症の症状は、38度を超える熱、喉の痛み、嘔吐、舌にコケのようなものができて白くなる、などです。
風邪と似た症状ですが、溶連菌感染症を発症すると、別の大きな病気を引き起こす恐れがあります。
早めに病院に行き、抗生物質を処方してもらう必要があります。
鵞口瘡が原因
鵞口瘡(がこうそう)は、カンジダ菌に感染することで、赤ちゃんの舌や頬に「取れない白いカス」や、コケのようなものができる病気です。
ひどくなると、だんだん広がっていきます。
感染してもほとんど痛みはなく、目立った症状もありません。
赤ちゃんが痛みを訴えて泣いたりしないため、お母さんが注意して見てあげることが大切です。
赤ちゃんのお口の中が白っぽくなっているほかに、母乳やミルクを飲む量が少なくなることがあります。
3.鵞口瘡(がこうそう)について
鵞口瘡の症状
鵞口瘡の症状は、前途したように舌や頬の粘膜に白いカスや、コケのようなものが見られることです。
一見、ミルクのカスのように見えますが、こすっても取れません。
ひどくなると、だんだん白く見える範囲が増えていき、お口いっぱいに広がります。
鵞口瘡の感染経路
妊娠中は免疫力が低下するため疲れやすく、通常よりもカンジダ膣炎にかかりやすくなっています。
もし、妊娠後期にボロボロとした白いチーズのカスに似た「おりもの」が出たり、外陰部が痛み赤く腫れたりしたら、カンジダ膣炎の恐れがあります。
気づかずに放置すれば、分娩時に赤ちゃんが産道を通る際、カンジダ菌に感染してしまいます。
感染を防ぐためには、妊娠中に症状が出たら早めに治療をすることが大切です。
鵞口瘡は授乳でも感染する
鵞口瘡には、産道感染のほかにも授乳感染があります。
お母さんの乳首にカンジダ菌が付着し増殖すると、赤ちゃんが母乳を飲む際に感染してしまいます。
母乳ではなくミルクでも、哺乳瓶にカンジダ菌が付着することがあるので、注意が必要です。
哺乳瓶を使用している場合は、乳首部分や哺乳瓶内の洗浄や殺菌を十分おこなってください。
不十分だと、菌が繁殖しやすくなります。
鵞口瘡の治療について
お口の中の症状が気になる場合は、歯医者さんに行くことをおすすめします。
鵞口瘡の治療は、基本的に口内洗浄と経過観察での自然治癒です。
命に関わる重大な病気ではないため、深刻になることはありません。
ただし、お母さんの母乳や哺乳瓶など、赤ちゃんが口にするものにカンジダ菌が残っていれば、いつまでたっても治癒せず、治っても再び感染してしまいます。
赤ちゃんが触るもの、口にするものを全て清潔に保つよう心がけましょう。
4.赤ちゃんの舌が白いときの対処法や病院へ行く目安は?
口腔内を清潔に保つ
鵞口瘡を予防するには、赤ちゃんが触れるものを清潔にするほか、赤ちゃんのお口の中を清潔に保ち、菌が繁殖しにくい状態にすることが大切です。
不衛生な状態が続き口腔環境が悪くなると、菌が増殖しやすくなってしまいます。
乾燥させない
お口の中が乾燥した状態でいると、菌が増殖しやすい環境になります。
赤ちゃんが風邪を引き、鼻が詰まって口呼吸になると、口の中が乾き菌が増殖しやすくなります。
加湿器などを使用し、赤ちゃんがいる部屋を適度な湿度で保つことが対処法です。
口腔粘膜を傷つけない
赤ちゃんのお口の中が乾燥していると、菌が増殖しやすいだけでなく、お口の粘膜が傷つきやすい状態になります。
白いコケのようなものが気になるからといって、ガーゼや綿棒で強くこすると、余計に粘膜を傷つけてしまいます。
長期間にわたる薬の服用を控える
お口の中には、もともとカンジダ菌であるカビが常に存在しています。
健康なときに問題はなくても、免疫力が弱まると菌は増殖します。
抗生物質を長期間服用することは、自然治癒を促す「常在菌(じょうざいきん)を死滅させてしまいます。
いつ病院に行くべきか
鵞口瘡は、赤ちゃんのお口の中をきれいにして、赤ちゃんが口に入れそうなものを清潔に保てば、自然に症状が治まってきます。
ただし、「白い範囲が広がっていく」「赤ちゃんが痛みでぐずる」などの場合は、自己判断せずに、「歯科口腔外科」で診てもらう必要があります。
5.予防が大事!赤ちゃんの口カビを防止する方法
妊娠期からの予防
前途したように、妊娠期間中は病気に対する抵抗力が弱くなっている状態です。
ホルモンバランスの変化も、カンジダ菌が増殖する原因となります。
妊娠期間中は「おりもの」の変化に注意し、異変に気づいたら早めに治療することが大切です。
授乳中のお母さんの予防
授乳中のお母さんが気をつけることは、授乳の前後に、乳首を清潔なガーゼできれいに拭き取ることです。
赤ちゃんはおもちゃをお口に入れたり、自分の手や足を舐めたりしてしまいます。
こまめに周囲のものや手足を拭き取ってあげてください。
ミルク・哺乳瓶を清潔に
ミルク、哺乳瓶からの感染を防ぐためには、カンジダ菌が増殖しやすい哺乳瓶の乳首部分や、哺乳瓶内を清潔に保つことです。
洗浄する際に使うブラシや、粉ミルクに使うスプーンを熱湯消毒してよく殺菌し、常に清潔な状態を保ちましょう。
赤ちゃんの口が乾かないように予防する
一般的に、菌は繁殖しやすい乾燥した環境が大好きです。
風邪などが原因で赤ちゃんの鼻が詰まったりすると口呼吸になり、お口の中の菌が増えやすくなります。
濡れたガーゼで口の中の汚れをふき取る、赤ちゃんがいる部屋に加湿器を置くなどして、お口が渇くのを予防しましょう。
免疫が下がらないように予防する
カンジダ菌は健康な人の皮膚や、お口の中に常に存在している菌です。
免疫力が弱まると、症状を引き起こすまで繁殖してしまいます。
赤ちゃんが元気で、母乳の飲み方も普段と変わらないようであれば、様子をみましょう。
免疫力を高める生活を一緒に送れると、予防にもつながります。
6.まとめ
赤ちゃんの舌が白くなる原因のほとんどが、母乳やミルクのカスによるものです。
まれにカンジダ菌などの真菌が繁殖する「鵞口瘡」が原因の場合があります。
しかし、命にかかわる深刻な病気ではありません。
鵞口瘡は一度発症したら再び感染する恐れが高い病気です。
赤ちゃんの身の回りを清潔に保ち、お母さんの乳首をこまめに拭くことが予防法になります。
哺乳瓶の消毒もしっかりおこないましょう。
心配な場合は、早めに歯科口腔外科へ相談することが大切です。